―とある男の最後―
―とある男side―
く、クソッ!なんでこんなことになっちまったんだ!俺たちは明日に大きな騒動が起きるということをボスから聞いて逃げ出すための準備をしていたが、少しでも小遣いを稼ぐ為に罠を張っていた。
すると3人のガキが罠にかかった。俺たちは早速そいつらを捕まえるべく動いた。まず俺とホリズが前に出てババドが反対側に回り込むように指示した。
「おや?、なんでおまえたちみたいな子供がこんなところにいるんだ?もしかして迷ったか?」
「かもしれないな~。お嬢ちゃんたち~、ここは危ないところだから早く帰ったほうがいいぞ~。それか俺たちが安全な場所に連れてってやるぞ~」
「そうそう、本当にここは危ない場所だからな」
どうやらかかったガキは男1人と女2人でどちらも美形で高く売れると思った。その中で白い髪のガキはエルフの中で珍しい髪色で、水色の髪のガキより胸は出てないが、普通のガキにしては少し成長していた。これはかなりの額で売れそうだ。
すると白い髪のガキは帰ると言い引き返そうとしていたので俺は慌てて声をかけて時間を稼いだ。まだ行くじゃねーぞ、ババド!早く後ろに回りこめ!
「あら?そうだったの?てっきりそこにある禁止物と一緒にいる生き物みたいに捕まえるつもりなのかと思っていたわ」
こ、このガキ!あの商品のこと知ってやがったのか!通りで後ろに隠れてる2人のガキが怯えているわけだ。こいつは逃すわけにはいかなくなったな………っとどうやらちょうど良く回り込めたようだな。
「へへへ、どっちをやる?俺はあの茶色髪のガキをもらいたいんだがな」
おいおい、マジかよ。こいつは昔っから美形の男を見ると食い散らしたくなるやつだったな………。まあいいさ、俺も白髪のガキを味見して見たくて仕方が無かったからな、少し値が落ちるがそれでも高く売れるだろ。
俺は後ろにいるババドに合図を送り道を塞ぐように叫ぶ。あいつは巨乳好きだしちょうどいいだろう。さて、早速狩らせてもらおうかな。へへへ、一体どんな声で鳴いてくれるのか楽しみだぜ!
「………はぁ、せっかく見逃してあげようと思ったのに………『パラライズ』」
な、なに!?………か、体が、痺れて………い、いつの間に!
白い髪のガキが何かをつぶやくと俺たちの体に電気のようなものが走り、痺れてその場に崩れた。ば、馬鹿な!まだ10くらいのガキが無詠唱で魔法を使っただと?ありえねぇ!しかも運悪く頭が地面に当たり、俺たちは気を失ってしまった。
それから俺が目が覚めると白い髪のガキが俺の頭を掴んだままこっちを見ながら笑っていた。それと同時に仲間と共に縄で締られていて、両頬が痛いことに気づいた。
俺は悪態をつこうとしたが、白い髪のガキは笑顔のまま俺にビンタをかました。か、かなり痛てぇ!こんな細腕のどこからこんな力が!?しかも掴まれてる頭も全く動けねぇ!
「勝手に喋らないでくださいます?では、質問です。あなた方の目的はなんですか?」
「こ、このがk「てい!」ぐはぁ!」
何なんだよこいつ!?一撃一撃がめちゃくちゃ痛てぇ!頭がグワングワンする、ガキの筋力じゃねーよこんなの!しかも首から下はまだ痺れて動けねぇ!
「答え以外のことは喋らないでくれますか?さぁ、あなた方の目的は?黙っても叩きますからね?」
「ふ、ふざけんじゃ「てい!」めぎゃあ!わ、わかった!喋るからもうやめてくれ!」
も、もうこれ以上叩かれるとし、死んじまう!それから俺はガキの質問に答えた。アジトの場所を聞かれたが、もう一撃叩かれたから素直に『アジトの1つ』の場所を教えた。ついでに案内しろと言われたので速攻で返事を返した。敬語になったのはこれ以上叩かれたくなかったからだ。
白髪のガキは俺の頭から手を離し、他のガキと喋ってからそいつらを見送って行った。すると一緒に縛られていた2人も気がついたようだ。
(おい、何が起きてる?しかもなんだその顔?めちゃくちゃ赤く腫れてんじゃねーか!)
(ああ、俺たちは捕まってあの白髪のガキに目的とアジトの場所をゲロっちまったところだ)
(ば、バカ野郎!どうすんだよ!)
(大丈夫だ、教えたのは1つだけで、そこには多くの仲間がいる場所だ。俺はこのガキを案内することになってる。そこで案内をしてこのガキをとっ捕まえる。なに、ガキ1人に数でかかればどうってこたぁない)
(な、なるほど!じゃあガキを捕まえてずらかれば警備隊に捕まることはないな!)
小声で話をしていると白髪のガキが見送り終わり、さきほどと変わらない笑顔で俺たちに振り返った。俺たちは釣られて笑顔を作った。
「あ、あの~、案内させてもらうのでとりあえずこの縄を解いてもらってはもらえませんでしょうか~?」
「お、俺たちはこいつから大体の話は聞いたんで俺たちも案内させていただきますぜ!」
「ですぜ、ですぜ!」
そうやって笑顔で話しかけるが、白髪のガキは何故か手のひらを前に突き出してこう言った
「いいえ、その必要はないわ」
………え?はぁ?どういうこった?案内して欲しいって言ったじゃねーか?
「だって、あなた方には死んでもらうからよ」
「はぁ!?ちょ、ちょ、ちょっと待った!案内が必要じゃなかったのかよ!」
「ええ、場所は把握したからもいらないわ」
ま、まずい!まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい!このままじゃこ、殺される!
「ま、待ってくれ!実はほかにもアジトがあって、そこは説明だけじゃ説明しきれないから案内させてくれ!」
「おま!俺が案内するからた、助けてくれ!」
「ちょ、お前ら!」
こ、こいつら!自分だけでも助かりたいからって余計なことゲロやがりやがった!
「あら、そうなの?それじゃあ………………………あなたから先に殺すわ」
「へ?――――――――」
ぐちゃという音が響いた。俺は隣にいたホリズを見ると首から上がなくなり、代わりに帰り血を浴びた黒い狼?の頭がすぐ近くにあった。
「…………は?」
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃ――――――!」
俺が突然のことに放けているとババドが悲鳴をあげたが途中でその声が途切れた。俺は恐る恐るババドの方を振り返るとそこにはババドの頭がなく、先程と同じ黒い狼?の頭があった。
「あ、あ、あ、た、助け―――――――」
俺が白い髪のガキに命乞いをしようとしたが、その瞬間俺の意識はそこから途絶え、その人生を終了した。
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―アイリスside―
……………ふぅ、うるさかった。全く、もう死ぬことが確定しているんだから黙って死ぬことができないのかしら、こいういう奴らは?
さて、こいつらから手に入れた記憶からゼロスに教えた場所以外に行こうかしら。できれば多い所に行きたいからね。
「グルルルルルル!」
「あら、もう食べ終わったのね。じゃあ、戻っていいよ」
私がそう指示を出すと呼び出した3匹の黒い狼たちと複数の蝶たちを私の影に戻した。うふふ、まだまだ食べたりなさそうね。安心しなさい、今から行くところはもっと餌が多くいるところだから楽しみにしていなさい。
私は自身の影に入っていった狼たちに微笑みながらその場を後にした。
アイリスがいた場所には彼らの体も血の跡も、着ていた服や装備。山積みになっていた商品すらも残っておらず、冷たい風が吹くだけだった。
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次はまた時間がかかるかもしれませんが、なるはや精神で頑張ります