―街に潜む悪を追え―
更新しました。次は少し早めに投稿できるかも?しれないです。
―アイリスside―
ゼロスたちに念話を入れるちょっと前、アイリス・シエル・ジャックの3人は昼食を終え次に手伝いに行くお店へと向かっていた。
「ふあ~、次はどこだったかしら?」
「次は『漢マーマン亭』て言うところだよ。それなりに大きい宿屋で、サービスでマッサージしてくれて一部の男客に人気のお店らしいよ」
「うわっ!聞いただけで暑苦しそうな名前ね。どうせなら『乙女マーメイド亭』って名前だったら嬉しかったのに~」
「あはは……一応あるよそのお店」
な、なんですって!?ふふふ………きっと綺麗なお姉さんでいっぱいに違いないわ!
「ああ、そこって今行くところの裏にあるお店だよね?確か『漢マーマン亭』の店主と夫婦でやってて、若い男性客がよく訪れるらしいよ。何故か出てきたらやつれて出てくるらしいよ」
「ふーん、なんかちょっと楽しみになってきたかもしれないわね」
「ああ、でも従業員は共有してるらしいから、多分違う意味でやつれるかもしれないと思うよ」
「………………そう」
………なんだ、そういうことね。期待して損したわ。はぁ、なんか行きたくなくなってきたわ。
アイリスは話を聞いてがっかりしながらしばらく歩いていると何かの気配を感じた。その気配の方を向くと人気ない薄暗い道があり、そこから動物の小さな鳴き声が聞こえた。
「………今、あっちからなんか聞こえたんだけどちょっと行ってみない?」
「ん?そっちに何かあるのかい?」
「でも、今はお手伝いの途中ですよ?後のほうがいいじゃないかな?」
「うーむ、確かにそうだけど………でも気になるから行くわ!さあ!レッツゴー!」
気になった私はその道へと向かった。シエルとジャックは慌ててアイリスについて行った。そこへ向かうと数個の木箱が置いてあり、手前の木箱の上に1匹の動物が入った金属のかごがあった。
「こ、これは!」
「キュー?キュー!」
「おお………かわいい!」
「確かに可愛いです。何て言う動物ですかね?」
金属のかごの中にいた動物は白い毛並みに青い瞳をしており、手足は短くて胴体や首、尻尾が長く、ほっそりとした体つきをしたイタチみたいな動物だった。私とシエルが動物を見てキャッキャしているとジャックは驚いた顔をして顎に手をやってブツブツ呟いていた。
「どうしたのジャック?もしかしてこの動物知ってるの?」
「ああ、実はこの動物は『ジュエルイズナ』っていう生き物で、本来は魔力溜りのある極限られた地域に住むんでいて、幸運をもたらしてくれると言われているんだ。他にも相手の魔力をもらうことで魔石を作り出してくれるかなり珍しい生き物なんだ」
「へ~、魔石をね~。そんなに珍しい生き物なんだ」
今までの世界にはそんな生き物はいなかったな~。いや、似たようならいくつか会ったことがあるような気がする
「僕も書物の絵でしか見たことないんだけどね。でもジュエルイズナは狩猟禁止指定の生き物だっていう話らしいはずなんだけど………」
「そうなの?」
「そうだったはずだよ生息地が戻りの森とは違う森があって、一部だと神獣として崇められているんだ。だから国が法としてジュエルイズナを捕まえてはならないと言われているんだ。ただ、懐かれて連れて行くのは問題ないとされているんだ。」
「へ~そうなんだ。ということはこの子は捕まっているって見てよさそうだね」
私が人差し指を近づけるとその指の匂いを嗅いだあとペロペロと舐めてきた。………ナニコレ、ものすごく可愛いわ!
「そう見るしかなさそうだね。ちなみに魔力だまりの近くは魔物が大量に発生しやすく、たまに強い個体が生まれてくるからね。並みの冒険者じゃ近づくことすら困難だからだよ」
ふーんこっちにも存在するみたいね。
冒険者になったら積極的に見つけてみようかしらね。確かあれって掌握することで自由にその魔力を操ることが出来るものらしいし、見つけたら何をしようかしら~召喚する?創造する?それとも『吸・い・と・る』?
そんなことを考えていると道の奥にある曲がり角から何者かが近づいてくる気配を感じた。恐らく人数は2人だ。
「………こっちに誰か来るわね」
「えっ!?まずいですよ!よく見たら他にも禁止にされているものもありますし、もしかしたらその手の人たちかもしれないですよ!」
「それって………は、早く逃げないと!」
「そうね。でも、もう遅いわ」
すると奥からフードをかぶった2人の男たちが現れた。よく見るとその2人にはエルフである特徴の耳がないことから人間であるというのがわかった。
「おや?、なんでおまえたちみたいな子供がこんなところにいるんだ?もしかして迷ったか?」
「かもしれないな~。お嬢ちゃんたち~、ここは危ないところだから早く帰ったほうがいいぞ~。それか俺たちが安全な場所に連れてってやるぞ~」
「そうそう、本当にここは危ない場所だからな」
奥から現れた男たちはニコニコと笑顔でこちらに近づいてきた。アイギスの後ろにいるジャックとシエルは顔を歪ませながら少し後ろに後ずさっている。
………うわ~、何その態度?胡散臭い。いかにも「怪しくないよ~」っていう感じだし。
「わかりました。私たちはたまたまこっちの道に来ただけなので帰らせてもらいますね。ではさよなら」
私はそう言いながら来た道を帰ろうとした。だが、男たちは慌てて声をかけてきた。
「遠慮しなくていいぞ~俺たちは今暇しているから迷惑でもないぞ~」
「あら?そうだったの?てっきりそこにある禁止物と一緒にいる生き物みたいに捕まえるつもりなのかと思っていたわ」
そう答えると男たちの笑顔が固まった。次第に真顔へとなっていく。
「………っち、頭のいいガキのようだな。これはますます逃がす訳にはいかなくなったな」
「へへへ、どっちをやる?俺はあの茶色髪のガキをもらいたいんだがな」
「っけ、物好きだなぁオメエも。じゃあ俺は白髪ちゃんをもらおうかな?お前は青髪のやつにでもしとけ」
男たちは腰からナイフを取り出して1人は私たちの後ろの方にそう声をかけると同じフードをかぶった男が現れた。てかもう1人の方は同性愛者なのね………気持ちわるいわ~
「見れば見るほど結構な上玉じゃねーか。白い髪のやつなんて滅多に見ねーし、こいつは高く売れそうだ」
「………はぁ、せっかく見逃してあげようと思ったのに………『パラライズ』」
アイギスはそうつぶやくと男たちは驚いた顔をしながらバタバタとその場に倒れ、その衝撃で気絶した。後ろに居た2人は突然の出来事に少し混乱していた。
「………?助かった?」
「ええ、大丈夫よ。それよりも………どうしようかしら?」
「………どうしよう?」
「キュー………」
撃退はしたがそのあとのことは決めていなかった。とりあえずこの生き物を開放してあげよう。
金属のかごのてっぺんに向かって弱めの風魔法を放って破壊した。かごを破壊するとジュエルイズナは周りをキョロキョロしたあと、中から出て私の体を登って頭の上に座った。
「………えーっと………これは気に入られたってことかな?」
「そうみたいだね、ジュエルイズナ自体滅多に人に懐かないって言われてるんだよね」
「ふーん、そうなのね……」
ということは珍しいってことなのかしら?まあ、可愛いからいいや。とりあえずこの後だけど、こいつらから情報を聞き出そうかしら。一般的な方法で。
私は倒れた3人の男たちを縛り上げて、1人だけを左手で頭を掴み、右平手でビンタしながら叩き起こした。ようやく目覚めた時には男の頬は赤くなっていた。
「う、うう………」
「おはようございます。早速で悪いですがこれから尋問を始めたいと思いますので、素直にしゃべることをオススメですよ?」
「な、なにを、言って―――ぐはぁ!」
男は何かを言おうとしたが私はニッコリと笑顔のままその男の顔にビンタをかました。
「勝手に喋らないでくださいます?では、質問です。あなた方の目的はなんですか?」
「こ、このがk「てい!」ぐはぁ!」
「答え以外のことは喋らないでくれますか?さぁ、あなた方の目的は?黙っても叩きますからね?」
「ふ、ふざけんじゃ「てい!」めぎゃあ!わ、わかった!喋るからもうやめてくれ!俺たちはボスから今日の夕方ぐらいに大きな騒動が起きるから集めた商品を騒動に合わせて運び出すように言われているんだ!」
ふーん、大きな騒動ね………もしかしてあの予言のことが起こるってことかしら?
あ!いいこと思いついたわ。
「なるほどね、次の質問よ。あなた方のアジトはどこかしら?」
「はあ?そんなの教えるわけ「てい!」ぶるふぁ!に、西にある古い建物だ!」
ふむ、ここからだとだいぶ遠いわね。そこはゼロスに任せようかしら?
「なるほどね、じゃあ案内してもらおうかしら。もちろん嫌とは言わないわよね?」
「は、はい!もちろん案内させていただきます!」
「………というわけだから2人とも、先に帰ってて。私は少しこの人たちと遊んでから行くわ」
私は男の頭を掴んだまま2人の方へ振り向いた。2人ともすごく微妙そうな顔してたけど気にしないわ。
「………はぁ、いつものあれだね?わかった。僕たちは先に先輩たちのところに行って少しでも時間を作ってくるけど、無茶だけはしないでね」
「ふふふ、いつもありがとう」
「アイリス、本当に気をつけてね?」
「ええ、わかっているわ。そうだシエル、この子預かってくれるかしら?」
私は空いた手で頭の上にいるジュエルイズナの襟首を持ってシエルの方へポーンと優しく投げた。シエルはアワアワしながらも両手でキャッチした。そしてキャッチした時にシエルの胸でポヨンと少しだけ跳ねたところを私の覇王アイは逃さなかった!眼福、眼福!
さて、ゼロスにも連絡入れないとね!
『ねえねえ、今からこの街の『悪の組織《ゴミ》』の掃除するんだけどやる?』
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