―祭り前のちょっとした騒動―
更新できました。この調子で更新スピード上げていきたいですね
―ゼロスside―
今日は祭りの準備日だ。俺たち風紀委員会はこの街の兵士と一緒に異常がないか見回りをすることになっている。
「へ~、祭り前の街ってこんな感じだったんだな………なんだか新鮮だぜ」
「そうなの?ああ、そっか。ザックスは祭り当日に来てたんだもんね」
「そのせいで出店があんまないけどな、もぐもぐ」
「えっと、ゼロスくん。一応見回りだからあまり買い食いばかりしないでね………というかさっきお昼食べたばっかりだよね?」
「はっはっは、今回の学生たちはなかなか面白い子たちだな」
俺がそこらへんに開いている出店で買った食べ物を食べながら周りをキョロキョロしているザックス、シエルと一緒じゃないため少しつまんなそうにしているフレデリカ、真面目に見回って欲しいと思っているが、小心者ゆえあまり強く言えなくて苦笑いしているブランダール会長、俺たちのやりとり見て笑っている兵士のおじさんの5人で街を見回っている。
それからしばらく歩いて昼過ぎになった。やはり祭りの準備のためだろうか、あまり店を出している出店はなかった。どこもかしこも明日の祭りのために店を閉じて準備をしていた。
それでも開いているお店のほとんどが海の幸関連のものばかりだった。この世界に来てから川魚はよく食べたが海系の魚はあまり食うことはなかったから新鮮でうまかった。昔に食べたことがあるやつからこの世界にしか生息していないものまでたくさんあった。祭り当日になったらもっといろんなものが食えるんだなっと思うとヨダレが出そうになる。当日は楽しみだな~
「あ~暇だな。なんかおきねーかな~」
「おいおい、怖いこと言わないでよ。平和が一番なんだから起きないほうがいいよ」
「あたしもザックスに賛成かな~暇すぎ。ああ、早くシエルに会いたい………」
「確かに、喧嘩とか起こってたら殴り込みに行きたいな」
「フレデリカくんやゼロスくんまで………って、あんだけあったのにもう食べ終わってる!?」
すると遠くで争う声が聞こえた。いや~、言ってみるもんだな。俺とザックスは顔を見合わせると走ってその場へと走った。少し遅れてフレデリカが追いかけてきた。
言い争いの場所に着くと数人の柄の悪い冒険者風の男たちに取り囲まれた執事服を着た獣人の少女がいた。
少女は少しボサボサではあるが肩まで伸びた綺麗な水色の髪にピンと伸びた獣耳に綺麗な毛並みの尻尾、背中には背の丈より長い槍を担いでいる。歳は俺たちとタメに近いかも知れない。執事服を着ているがそれなりに美人で腰もスラっとしていて、女性特有の胸のふくらみが見える。うちのアイリスといい勝負しそうだ。
そんな少女を取り囲むように20人近い数の男たちが剣呑な視線を向けている。その中にはすでに剣やナイフを抜いている者もいた。
「お嬢ちゃん、さっきはよくもやってくれたな」
「…………はぁ、しつこい連中だな、いい加減諦めてくれないか?」
「はぁ?ふざけんなよ!俺らの仲間に手をだしておきながら無事で帰れると思ってんのか!」
「先に手を出してきたのはあんたらだろ。俺は普通に買い物をしていたらしつこく話しかけて来て、挙句の果てに暴れたあのクズが悪い」
「こ、このガキ!やっちまえ!」
男たちが少女に向かって一斉に襲いかかるが、その少女は全て躱し、一人の手首を取って軽い感じでくるりと手前に投げた。投げられた男は背中から叩きつけられて悶絶して動かなくなった。
少女はそのまま続けざまにこぶしを握って2、3人の顔面目掛けてパンチを繰り出す。殴られた男たちは拳の痕を残して倒れていく。ふむ、いいパンチだ。鍛えればあいつらの頭をトマトみたいに吹っ飛ばせるに違いないな。
そんな中後ろから隙だと思いナイフを構えて突っ込んでくる奴がいた。そろそろ加勢するか。隣のザックスやフレデリカもウズウズしてるみたいだしな。
「よし、行くぞザックス!右は任せた!」
「おっしゃ!任せろ!」
「ちょっと!あたしにもやらせなさいよ!このストレスをぶつけてやるわ!」
まず俺は少女の後ろからナイフで突っ込んでいる目掛けてドロップキックをかます。続けざまにザックスが手に魔力を込めて顔面にパンチを食らわせる。そしてフレデリカは魔法で体を強化をして一気に相手の懐に潜り込み風魔法で足を強化して一気に男の足の間にあるモノ目掛けて思いっきり足を蹴り上げた。
うむ、ザックスはいいパンチだ。だいぶ魔力の使い方が上手くなったようだな。どうやら修行の成果が出てきたようだ。そしてフレデリカよ、お前もだいぶ上手くなったけど男のそこを蹴ってはいかん。しかもかなり強化した状態で蹴り上げるなんて………あの男生きててもきっと元には戻れないんだろうな………
「加勢するぞ」
「………ふん、好きにしろ」
すれ違いざまそう言うと少女は興味なさそうに返事した。
しばらくして俺たちは男たち全員を倒した。全員のびており、半数は俺がぶちのめし、4・5人フレデリカが蹴りまくった。もちろん全員急所を狙われ男としての何かを失っただろう。
ザックスやフレデリカは暴れることができて満足そうにしていた。俺は少女のところへ行き声をかけた。
「どうやら無事片付いたようだな。まあ、必要はなかったと思うけど一応な」
「…………」
すると遅れてきたブランダール会長と兵士のおじさんが数人の兵士を連れてこちらに走ってきていた。俺が振り返ると少女はいなくなっており、気配をたどると屋根の上を走っていた。それなりに高い建物だがよく上れたもんだ。
するとアイリスから念話が来た。
『ねえねえ、今からこの街の『悪の組織』の掃除するんだけどやる?』
『………はぁ?』
おいおい、いきなりだな………だがゴミ掃除か………悪くないな。
『ここは『仕事しろ!』って言うところだが………いいぜ、ザックスたちに声かけて見るから詳しく教えろ』
『んふふ~そうこなくちゃね!じゃあ今からマーカ指したところに行って潰してきて!』
アイリスがそう言い俺はスキル「マップ」を発動させると頭の中にこの街の地図が表示され、いくつか赤い点が付けられていた。ちなみに青い点がアイリスたちがいる場所である。
『了解、確認した。それじゃあ一番近いところから潰してくよ』
『はいはーい、よろしく~。私も近いところから潰して行くから競争ね!』
『ほほう………じゃあ勝った方は負けた方に1回だけなんでも言うことを聞かせるっていうのはどうだ?』
『いいわよ。じゃあどっちが多く潰せたか勝負!』
ふっふっふ、面白くなってきたぜ。そしてこの勝負は負けられないな!
「………なあ、ザックス、フレデリカ。こいつらブランダール会長たちに任せてゴミ掃除しないか?」
「ん?それって………」
「ああ、今からどっちが多く潰せたか勝負することになった。勝ったら負けた方に1回だけなんでも言うこと聞かせることができるって話なんだけど一緒にやるか?」
「っへ、おもしれぇ………まだまだ暴れ足りないと思ってたとこだ!」
「なんでもね………いいわよ乗ってやろうじゃないの!」
「そうっこなくちゃな!じゃあ、行くか!」
俺たち3人は顔を合わせてニヤリと笑い一応収納魔法から何本か縄を出して男たちを縛っておいた。四角い板も取り出して『お店に迷惑をかけましたので捕まえてください』と書いて手前の男の首にぶら下げた。
そして俺たちは縛った男たちを置いてその場から離れた。遠くで兵士のおっさんやブランダール会長が俺たちを探していたが無視した。帰ったら怒られるだろうがこの町のゴミが片付くなら許してくれるだろ、きっと。
さて、ゴミ掃除を始めるとするかね。
なお後日談になるのだが、フレデリカに蹴られた男たちはたまたまその日に来ていたある人物により今のパーティーから抜けてその人物の下で修行することとなり後にギルドの中で有数の大きなパーティーが誕生するのであった。
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