―暗躍―
夜の方が集中できるけど暖房つけないと寒い時期になりました。
―――とある暗雲たちこむ城の一角にある室内。そこには楕円状の机で、そこには6人の男女がお互いに向かい合って座っていた。1人は機嫌悪そうに指で机を叩き、1人は手の爪を磨き、1人は机の上の料理をひたすら食べ、1人は机に突っ伏して寝ていたり、1人は手に持っている宝石をひたすら眺めていたりなど、ここ様々なことをしていた。
そんな部屋にノック音が響いた。そして1人の老人の執事とマントをつけたローブ姿の男が現れた。
「申し訳ない、少し立て込んでて遅くなった」
ローブを着た男は部屋で待っていた者たちに謝罪すると不機嫌そうな男が顔を横にしながら目だけその男を見た。
「ふん、いいから早く始めてくれ」
「わかっている。では、揃ったところで報告会を始めようか」
そう男空いている自分の席に座り顔の前で手を組むとそう宣言と共に始まった。この男は魔族の中で『七つの大罪』と呼ばれる魔王に仕える魔族の頂点とも呼ばれる7人の魔族の内の1人『傲慢』のルシファーである。彼は同じ七つの大罪である6人のまとめ役でもあり、『東の門』の番人を任されている魔王に使える四天王の1人でもある。
「セバス、報告を頼む」
「畏まりました。こちらからはご報告が2つございまして、1つ目は数日前に続き、人族の東国境付近の町の進行を任せていたデモンド様が例のメイドたちによって討たれました」
その報告を聞いた6人はまたかと言わんばかりにため息をついた。
「くそ!メイド共め、どれだけ我らの邪魔をすれば気が済むのだ!」
ドンっと机を叩き、怒りをあらわにするルシファーと同じ『七つの大罪』の1人『憤怒』のサタン。彼は主に軍備関連のことを任されており、防衛及び侵略を任されている。
「これで人族の国に潜伏している魔族は巨大な国以外は大体は潰れたわね。所詮貴族といってもほとんどが力が弱い奴らだったなのだからやられるのは当然だわ」
そういいながらまるで興味がないような態度で爪の手入れをする女『嫉妬』のレヴィアタン。彼女は情報収集を担当しており、各地に潜伏している部下どもに情報を収集させている。
「……以後人選は気を付けよう。新しい者を送るが、ベルゼブブよ、一緒に送る悪魔はどうなっている?」
「もぐもぐ、新しいやつ、もぐもぐ、のことなんだけど、もぐもぐ、今回ので、もぐもぐ」
「おいおい、食べるか喋るかどっちかにしてくれないか?」
「…………もぐもぐもぐもぐもぐもぐ」
「って、食べる方優先するのかい!早く報告をしてくれ!」
「もぐもぐ、ごっくん。あはは、すまんすまん」
そう言いつつまだ食べようとする男『暴食』のベルゼブブと呆れた様子でツッコミを入れる男『色欲』のアスモデウス。
ベルゼブブは軍備補給や兵士や魔物の生産と教育を担当しており、生産した魔物を世に放ち、教育し終わった兵はサタンのところへ送くる仕事をしている。アスモデウスはレヴィアタンと同じ情報収集と各国の有力者を引き入れ、魔物や魔族へと変える仕事をしている。
「それで話の続きだけども、まだ送るやつだけど、今回のでそいつに貸した上級の魔族の数が減ってしまったから中・小級ぐらいしか送ることができてないんだ」
「ふむ、それなら中級や小級を数体送り、余計なことをせず監視させておいてくれ。そして早めに上級が揃うように努めてくれ」
「りょうかーい。できるだけ早く揃うようにするね~」
ルシファーは再び小さく溜息を吐いたあと顔を上げた。
「では、2つ目の報告を頼む」
「かしこまりました。先ほどのメイドたちですが、次の行き先が判明しました。彼女らはエルフの国の『水の都ウンディード』になります」
「ほぉ、未だ奴らの目的は不明だが、その街には何があるんだ?」
「はい、その街は近々『水神祭』という祭りが開かれるらしく、恐らくメイドたちはその祭りに参加する気ではないかと思われます」
「祭りか……ちょうどいい、多くの人が一カ所に集まることだし、生贄の魂を集めるために奴らも一緒に始末してしまうか」
「それだったら僕にまかせてもらってもいいかな?」
そう笑みを浮かべながら手を挙げて答えた男『強欲』のマモン。彼は財政や軍事開発を担当している。
「おいおい、お前だけで大丈夫なのかい?なんだったら俺様も一緒に行こうか?」
そうからかうようにアスモデウスがそう答えるとマモンは首を横に振った。
「いいや、心配はご無用さ。一応策があるからね。ベルゼブブ、後で話あるからよろしく」
「もぐもぐ、りょうかいしたよ~もぐもぐ」
「ふむ、まあいいだろう」
「………あのさ、私からそれに関して1つ報告があるんだけど……いいかしら?」
爪の手入れをしていたレヴィアタン手入れを止めて手を上げた。
「ふむ?何かあったのか?」
「実は例の『黒竜』についてなんだけど……もしかしたらその街に現れるかもしれないわ」
「な、なんだと!!あの『黒竜』が現れるというのか!?」
それを聞いたサタンは興奮し、ベルゼブブは食事の手を止め、アスモデウスは驚愕の顔をした。そんな中マモンは口角がさらに釣り上がった。
「………ふむ、ではマモンよ、メイドの件も含めてよろしく頼んだぞ」
「ふふ、任せてください。必ず『黒竜』を必ず引き入れ、ついでにメイドどもを何とかしてみせよう」
「私からは以上だ。次誰か報告する者はいるか?」
ルシファーはそう訪ねると、皆それぞれ無いと返事した。
「……ではこれにて今回の報告会を終了する。皆それぞれ奮闘するように!」
そして皆それぞれ部屋を出ていった。
ちなみに、ずっと寝ていて全く会議に参加していない少女は『怠惰』のベルフェゴール。彼女は手が足りないところに手伝いに行くだけしか仕事がない。ないというか任せると寝てたりサボったりなどで全然仕事してくれない。見た目こそ少女だが、皆と同じ『七つの大罪』の1人である。
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部屋から廊下に出てたあと少し離れたところで足を止め、ベルゼブブはマモンに話しかけた。
「もぐもぐ………それで?話って何なんだい?もぐもぐ」
「……ああ、実は、いくつかの魔物を貸してほしいんだよ」
そう言いつつ懐から1つの紙を取り出してベルゼブブに渡した。ベルゼブブは渡された紙を開いてそこに書かれている魔物のリストを見ていく。
「ふむ、……なるほどね…………ん?こいつも使うのかい?もっと他のほうがいいと思うんだけどな~」
「ああ、大丈夫。実はそいつで試したい薬があってね。きっとお面白い事が起きると思うんだ」
「ふーん、まあいいけどね。今から準備するからちょっと待っててよ」
「ああ、頼んだよ」
ベルゼブブはその紙を持って手を振りながらマモンとは別の方向へ歩いて行った。
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「………さて、僕の方でも準備を始めるとするかな」
ベルゼブブを見送り終わり、僕は再び歩き出した。
しかし、噂のメイドか……確か情報だと現れ始めたのが『黒竜』が現れたかもしれないという情報から数ヵ月後だ。目的は未だ不明だけど、奴らが訪れた街や国は殆どそこを管理していた魔族を倒している。だけど奴らは魔族だけではなく、人族おも倒している。僕の推測だが、奴らはたまたま目的の邪魔をされて仕返しに潰している可能性が高い。なぜなら奴らが訪れた街や国でそんなに動いてない者や監視のみ行っている者は未だ健在であるからだ。
奴らの面子はメイド服を着た竜人の女と同じ格好をした獣人のガキ2人、執事服を着たガキ、なんか普通そうな男の5人って話だったな。正直ガキとかには興味はないけど竜人の女に興味がある。なんでも『黒竜』と同じ黒い鱗らしい。
部下たちの話では「そいつが『黒竜』ではないのか?」という話が出たらしいが、もしそれが本当ならそれはそれでチャンスかも知れない。もし僕のものにすれば魔族のトップになることができるだろう。
………欲しいね……実に欲しいね……しかも見た目もかなりレベルの高い美少女って話だ。必ず僕の手にしてみたい!
ああ……今から楽しみで仕方がない!楽しみだ……非常に楽しみだ!手に入れた暁には……彼女を……じゅるり……。アスモデウス並ではないが少し疼いてきたな、今夜は少し彼女たちで楽しませてもらおう。
「………待っててね、必ず僕の物にしてあげるよ。ふふ、ふふふ、ふははははははははははははは!!」
さあ、戻ったら早速準備だ、必ず手に入れてみせるぞ!竜人の女!
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―とある街道近くの草原―
「…………へっくしゅん!」
「……エリーゼさん、風邪ですか?」
「……ずずず、いえ、誰かが私の噂でもしていたんじゃないですかね……そもそも私は風邪になることはありません。菌が入った瞬間殲滅されます」
「そういえばそうでしたね。『状態異常無効』のスキル持っているんでしたね」
「ふふ~ん。メイドたるもの、主人や自身の健康管理を怠ってはいけません!」
エリーゼは自慢げに胸を反らした。そしてリルは「おお!」と軽く拍手をした。
「さすがエリーゼさんですね、参考になります!」
「……まあ、そのせいで『ご主人様に看病してください作戦』をすることができなかったんですけどね(ぼそ)」
「ん?何か言いました?」
「いいえ、なんでもないですよ(キリッ!)」
「そ、そうですか……それにしてもあと4、5日で街に着きますね」
「そうですね……運良くその街で見つけれたらいいですけどね……まあ、なるようなりますよ」
そして話合っているとドドドドとメイド服を着た小さな獣人族の少女エクレアが2人に向かって走ってきた。
「リルお姉ちゃーん、エリーゼお姉ちゃーん、出発の準備できたなのー!」
「わかったー、あとで行くからまっててくれー!」
「はーい!わかったなのー!」
そのまま彼女はUターンして馬車の方へ走っていった。
「……では行きますか?」
「そうですね、行きましょうか」
そうして彼女たちは馬車のもとへと歩いて行くのだった。
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