―異世界転生―
もう1個の方の気分転換がてら新しい方を作りたくなって作りました。反省はしない。こっちが人気になったらこっちにシフトする可能性あります。
とある世界で、1つの城があった。
その城は巨大な要塞のような城で、周りは水が干からび、草木も生えない乾いた荒野が広がっていた。空気は瘴気に塗れ、空は常に黒い雲が太陽の光さえ遮るよう広がっていた。
そんな城に1人の男だけが住んでいた。
彼の名はテロス・ディアヴォロス。人、妖精、悪魔、神、この世界の全ての種族を敵にし、全て滅ぼした破壊の王だ。
そんな彼は玉座に座り片膝ついて退屈そうに呟いた。
「………暇だのう………。」
そうつぶやいていると彼が発していた探知魔法に何かが引っかかる。彼はため息をつきながら遠視の魔法で覗いてみる。そこには地上には数千万の種族様々の兵士や兵器、上空には数百万の空飛ぶ兵士や飛行艇がこちらに向かってきていた。
「……はぁ、また来たのか、懲りない奴らだのう……。」
彼は手をかざし、手のひらに魔方陣を展開させた。そして遥か遠くにいる軍団の目の前に倍以上の魔物を召喚した。
やつらは突然目の前に現れた魔物に驚き焦りと同様を感じたがすぐさま態勢を建て直し、現れた魔物と対峙していった。
そんな中その軍団とは別の4つの個体がこちらに転移してくるのを感じた。
「ほぉ、直接我と対峙するか……面白い。」
そしてどこからともなく4人の男女が現れた。光り輝く剣を持った男剣士、盾と剣を持った女剣士、赤色の宝珠が付いた杖を持つ魔術師の老人、十字の形をした杖を持つ僧侶の女がいた。
「お前が破王テロスってやつか?」
光り輝く剣をこちらに剣を突きつけて大声で叫んできた。
「いかにも、我の名はテロス・ディアヴォロス、破壊の王だ」
「俺の名前は斎藤輝、お前を倒すために異世界から召喚された勇者だ!」
異世界からの勇者か、我も幾度か転生したが、異世界から来た勇者と戦うのは初めてかもしれないな……。
「異世界からか……面白い、貴様の実力……試してやる‼」
彼は体から膨大な魔力を出して勇者たちを威圧した。勇者たちはその膨大な魔力を浴びて恐怖で手が震えてたり、滝のような汗を流したり、生まれたて小鹿のように脚が震えていた。中には歯が合わずガチガチと鳴らしている者もいた。
だが勇者の斎藤輝は冷や汗を滴ながら笑っていた。彼もそれを見て頬が少しつり上がった。
「いくぞ、破王テロス‼」
「ふん、かかって来るがよい、勇者サイトウ・ヒカル‼」
彼は久々に少しは楽しめると思った。
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どれくらいの時間が経ったのだろうか……彼らが戦っていた場所は激しい戦闘でメチャクチャになっていた。回りには戦闘でボロボロになった勇者の仲間たちがいた。
部屋の中央には仲間たち同様ボロボロで膝を着き、剣を突きつけられている勇者斎藤と見下ろすように勇者に剣を突きつけている破王テロスがいた。
「……これで終わりぞ勇者よ。」
「ははっ、まだまだ諦める訳にはいかないよ。」
絶望的状況でもう戦う力がないのに勇者斎藤は笑っていた。そんな彼の行為に違和感を感じた。
「……こんな状況の中で何故諦めないのだ?」
「そりゃまだ死にたくないじゃん?それに俺が負けたらもう世界終わっちゃうし、冒険できなくなるんだもん。」
「何だと?……く、く、く、ハッハッハッハッハッ!」
破王テロスはそれを聞いて可笑しそうに笑っていた。それを見ていた勇者斎藤はきょとんとしている。
「ハッハッハッ!なるほどな、それはまだ諦める訳にはいかないの。」
「ああそうさ、だから……」
「なあ勇者サイトウよ、冒険は楽しいか?」
立ち上がろうとしたとき破王テロスはそう訪ねられ勇者斎藤はカクンと肩を透かした。
「……何でそんなこと聞くかは分からないが、冒険は楽しいぞ。仲間と共に知らない土地に行き、色んな町や人と出会い、時には笑ったり泣いたり……辛いこともあるけどいっぱい楽しいことがあるんだ!」
「ふむ、なるほどのう……のう、お主の話に興味が沸いてきた。少し我にお主の冒険の話を聞かせてはもらえぬか?」
「お!いいぜ。そうだな~まずは冒険の初めるきっかけからかな?最初はあんたを倒すのが目的じゃなかったんだがな。」
「ほうほう、それは興味深い……。」
破王テロスはその場で腰を下ろし、勇者斎藤の話を聞くことにした。
そして幾許の時が経ち、勇者と破王の語らいはまだ続いた。いつの間にか勇者たちの仲間は意識を取り戻し異様と思えるその光景を黙って見ていた。
「……それでな、そこの酒屋のオヤジがな、浮気バレて奥さんにぶっ飛ばされたんだよ!」
「ハッハッハッ!それはそれはその男は災難じゃのう。我は嫁を作ったことがないが、なんとなくおかしく思えるのう!」
「それからそれから!」
まだ語ろうとする勇者斎藤の言葉を切るように手のひらで止めた。
「ふふ、もう良いぞ。お主の話はとても優雅であった。」
「む!そうか、まだまだ話し足りないんだがな……。」
勇者斎藤は残念そうにし、破王テロスその場で立ち上がった。勇者の仲間たちは武器を構え直しいつでも戦えるようにした。
「面白い話を聞かせてもらった礼を与えんとな……お主の話を聞いて我も興味が沸いた。我はこれからこことは別の世界へ転生をすることにした。」
「転生って……あんたそんなものできるのかよ!」
「うむ、なにせ我は破王だからな。」
破王テロスが玉座に座り手を下に向けると魔法陣を展開する。そして徐々に破王テロスの体を光で包まれていく。
「そうだ、忘れておった。安心するが良い。我がいなくなった後はこの城の周りの瘴気はなくなり、元の生命が住める土地に戻るようにしておいた。」
「それはまじか!このままだったらどうなるか正直大変だったよ。」
「ふふ、造作もないことよ。もののつでだ。」
「はー、やっぱなんでもできんだな~。転生したあとは何するんだ?」
その答えに少し考え口角が上げながら答えた。
「平和に生き、冒険を楽しむことにする。楽しみしておけ、我がお主より楽しい冒険をしてお主に自慢しに行くゆえ待っているが良い!」
「ああ、いいぜ!俺も平和になったらもっと楽しい冒険をして逆に自慢してやるよ!」
「くっくっく、そいつはいい。我とて負けぬぞ?勇者斎藤!」
「ああ!俺だって負けないぞ破王テロス!」
お互いにそう宣言ししばし見つめ合ったあと口角が上がる。
「次に再開した時、」
「勝つのは、」
「「俺(我)だ!!」」
そして破王テロスを包む光がより強くなった。
「さらばだ我が友よ!また再会できることを楽しみにしておるぞ!」
そう言葉を残し、破王テロスは強烈な光を発してその場から消え去った。
「………行っちまったな、あいつ案外気が合うかもしれないな。」
「ゆ、勇者殿!外をご覧下さい!瘴気が消えていきます!」
仲間の老人に急かされ外を見ると青い空が広がり、大地を覆っていた瘴気が消えていた。遠くでは魔物と戦っていた連合国の兵士たちが見えた。
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』
兵士たちの歓喜の声が聞こえた。皆勇者によって破王が倒されたと思い喜んでいた。
勇者たちはその声を聞きながらその場から離れた。
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暗いまどろみの中、目が覚めると見慣れない天井だった。手を見ると小さくて柔らかそうな赤ん坊の手だった。どうやら無事に転生できたようだ。
周りを見渡すと木造家屋の屋内のようだ。隣で気配があり横を見ると気持ちよさそうにぐっすり眠っている白い髪で耳の長い赤ん坊がいた。恐らく俺は双子のエルフとして生まれたのだろう。
ふむ、現状視界でしか情報がなく、俺がエルフだってこと以外はわからない……仕方がない索敵魔法で周りの情報を得るか。
目を閉じて魔力を込めて周囲に薄く拡げて行くイメージで索敵魔法を使った。
周囲には森しかなく、少し離れたところに似たような小屋が淡々と有り、規模は少し大きめの村といった大きさである。所々に大人のエルフがおり、畑を耕す者がいたり、露店を出して商売をしている者がいたり、僕らより少し大きくて元気に走り回っている者たちがいた。
まさに『平和』といった雰囲気の村だが、俺は一番気になる存在が隣にいた。
…………隣から膨大な魔力を感じた。
私は転生してから周りの状況を確認しようとしたが眠気がまさり少し寝ていたが隣から膨大な魔力が集まるのを感じて目が覚めた。
隣を見てみると黒い髪のエルフの赤ん坊が驚いたような顔でこちらを見ていた。
(お前は転生者か?)
いきなり少年のような声が聞こえた。どうやら隣の赤ん坊から念話で話しかけてきたようだ。
(そうですよ。あなたもですか?)
念話で隣にいる赤ん坊に話しかけると向こうからも念話で返事が来た。
(……そうだ、ちなみに俺の前の名前はテロス・ディアヴォロスだ。)
そう答えると隣の赤ん坊は目を開いて衝撃を受けたような顔をしていた。
……………………は?どういうことだ?なんで私と同じ名前なんだ?
(驚くと思うけどが、お前の前の名前もテロス・ディアヴォロスじゃないか?)
(はぁ!?、何を言っているの?そんなことありえないわ!)
(……嘘だと思うなら俺の魔力を見てみろ)
私は言われた通りに彼の魔力を覗いた。
…………え?どういうこと?いや、まさか……そんなことがありえるのか?
(もしかして……)
(そう、俺たちは……)
((両方とも中身が同じテロス・ディアヴォロスなんだ[なの?]))
中身が同じで双子として異世界に転生した破王テロスたちの物語が始まったのである。
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