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魔法貴族シリーズ

魔法貴族とひと夏の(4年目・IFルート)

作者: 猫の人

 夏が絶好調になると、海水浴がしたくなる。


 グラメ村には海があるんだし、じゃあ泳げばいいと言われそうだが、俺が言いたいのはそうじゃないんだ。日本の夏、そんな海水浴がしたいのだ。

 やる気の無い出店、伸びたラーメン、具の無い焼きそば、約束された(ぼった)観光地価格(くり)のアイス。浮き輪にボディボードにサーフボード。ライフセーバーが監視しててジョーズが乱入してショットガンをぶっ放すような海水浴がしたいのだ。

 もちろん全裸で泳ぐのではない。男女ともに水着だから水着回と言われ、「時代考証無しのご都合主義乙っす」などと感想欄で揶揄される、古き良き時代の海水浴。それに憧れて何が悪い。


 スイカ割りをすれば「食い物を粗末にするな」に「※この後スタッフが美味しく頂きました」で返し、夜になったら本物の幽霊を使って肝試しをして、夜空に核の大輪を咲かせ、砂浜でロケットランチャーを打ち合い、神社の裏にある林でひと夏の経験をするような、そんな甘酸っぱい青春。

 可能なら、ヒロインマシマシ(ツユ)ダクでお願いします……っ!



 しかし、現実は残酷だ。


「何を嘆いてるのさ?」


 サヴ(ロリ枠)が俺の顔を覗き込む。

 こいのぼりの様に真っ直ぐな(外見だけだが)ロリっ娘とのスキンシップなど俺の本意ではない。


「海を見てましたけどー? 何にも無いですよねー」


 ヨカワヤ(×き×れ)が不思議そうな顔をした。

 む。頭の中を不穏な考え(殺されたいですか?)がよぎった気もしたけど。きっと気のせいだ。そうに違いない。

 目の前で微笑むヨカワヤを幻だと言ってくれ。誰かこんなの嘘だと言ってくれ。それか助けろ。



「だいじょぶ、ですか?」


 僅かに記憶が飛んでいたけど、婚約者の一人が俺の頭を撫でてくれた。

 この子も、ロリ枠なんだよな……。できれば16歳ぐらいの、メリハリのきいた体の娘さんとチェンジしてください。


「えっちなのは、めっ()、です」


 考えていたことがバレたのか、ぺちんと頭を叩かれた。バレているなら仕方が無い。甘んじて叩かれよう。

 あれ? 何か今、変じゃなかったか?




「大将! 今日も豊漁ですぜ!」

「大将ー! 活きのいいカニです! 鍋にしやしょう!」


 気を取り直して海に向かえば、そこには罠にかかった魚やカニを捕まえるグラメ村漁師軍団の姿が。

 筋肉ムキムキの男たちが、全員赤フン一丁で、お仕事をしている。

 そこに百合の花は無い。薔薇の香りがする空間が広がっている。いや、奴らはノーマルであり、ゲイではないんだが。俺のライフが一気に削られた。


 俺は膝から崩れ落ちた。





 疲れた時は風呂に限る。

 今日は予定に無かったけど、癒しを求めて風呂の用意をする事にした。


 村のみんなは予定に無かった風呂に驚きはしたが、やっぱり風呂が好きなのだろう、好意を持って受け入れてくれた。


 俺は肩まで湯につかり、大きく息を吐く。

 そうするだけで疲れが抜けていくようだった。


「一体どうしたのさ、疲れた顔をして」


 そんな俺の隣にサヴが寄ってきた。上から下まで見るが、やはり目に映るのは幼女のそれだ。幼女でも童女でも何でもいいけど、俺のストライクゾーンから大きく外れている。アンパイアの顔面にヒットだな。

 俺はサヴから視線を外し、娼婦のおねーさん(22)に目を向ける。うん、やっぱり女と言えばああいうのが良いよな。


「ほほぅ。それが心配した者への返答か」


 サヴが俺の頬をつねるが気にしない。俺に必要なのは心の栄養なのだ。物理的ダメージなど、魔法で癒せばいい。今日の自分にご褒美を、目の保養で心に栄養をあげる方が重要なのだ。


 効果が無いと分かってサヴの頬が引き攣るが、気にしない。サヴが誰かに手招きをしたけど、気にしない。

 はぁ、癒される。



 ゆっくりと癒えていく心の傷に再び爪が付きたてられたのは、そんな時だった。


「だんにゃさまー?」


 婚約者がまたやってきた。ロリ枠の身体で抱き付き、俺の視界を完全に塞ぐ。


「えっちなのは、いけないとおもうです。わたしでがまんするです」


 子供に乱暴をする趣味など無いが、いいようにされたままでいる気も無い。


「はいはい、だったら抱き付くのもダメだよー」


 俺は婚約者の身体を抱えると、反転させて膝の上に乗せる。後ろから抱きしめれば彼女はもう何もできない。俺は安心して目の保養を――


「甘いさ」


 目の前にあったのは、アニキの硬い尻。いや、アニキじゃなくて村民の誰かなんだろうけどさ。とにかく男尻だった。サヴという名の悪魔によって召喚された男の尻が、目の前にあった。


「それを見て、少し反省するさね」

「おーまいがー……」

「おまいが?」


 サヴや婚約者が何か言っていたけど、既に馬耳東風。俺の意識は闇に解けていった。


 いいじゃないかちょっとぐらい。

 これぐらいのご褒美、あってもいいじゃないか。


 15歳の男の子にはエロが必要なのだ。おっきなおっぱいが必要なのだ。

 既婚者とはいえ、エロ禁止な婚約者しかいないんだから、ちょっとぐらい別の所で補充するのは認めて欲しい。直エロは我慢するからさ……少しぐらい大目に見てよ…………。



 夏なんだからさ、ちょっとぐらいは遊びたい。もちろん、イケナイ方向で。

 海水浴がしたい。そしてひと夏の出会いが欲しい。


 そんな俺の、15の夏。

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