瞳を閉じて読む物語
ここは銀河系を飛び越えたはるか遠くに浮かぶちっぽけで名もない星。でも、瞳をそっと閉じてみればずっと近くに感じる星。君はそこに立っている。ふわふわした地面を感じるでしょ。君は今そこに裸で立っているんだ。でも、恥ずかしがる必要はないよ。だってこの星には君以外誰もいないのだから。僕の声以外何も聞こえないし、何も見えない闇の中にいるよね。でも僕は近くにいると君は思うかもしれない。残念だけど僕は声以外の何者でもないんだ。ただ響いて消えていくだけ。君は完全にこの星で独りなんだ。
さあ、君はどうする?逃げ出すか?それは無理だ。いくら歩いてもこの星の上をぐるぐる回るだけなんだから。それに第一こんな暗闇じゃ本当に進んでいるのかさえ分からなくなるでしょ。
おやおや、こんな所に連れてきたのは僕じゃないのだから八つ当たりされても困るな。ここに来たのは君の意志なんだ。君が願って裸で突っ立っているわけではないだろうけど、とにかく君がここにいるのは君が選んだ結果なんだ。
さあ、この暗闇の中でどうする?何をする?それとも何もしない?君の自由だよ。
でも、ひとつだけ言っておこう。もし、君が辺りを見渡してどこにいるのか知りたいのなら、懐中電灯なんか持ち込んではいけないよ。闇は光を嫌うものだからね。
君がどこにいるのか気づいたら僕はまた現れるよ。その時には君に触れられるかもしれない。だから、その時には綺麗な服を着ていて欲しいな。その時がくるかは君にかかっていることを忘れないで欲しい。
では、さようなら。