砂糖の伝令
まるで砂糖のようだね
そう言われたらどんなに嬉しいだろう。
あんな小さな粒からは想像もできない甘さ、一瞬で溶ける儚さ。どこを切り取っても決して私にはない魅力に包まれている。
私は考えることがなくなると決まってこの事を考えてしまう癖がある。
テレビの時計を見るともうお昼を回っていた。画面には甲子園の試合が流れていて、どうやらピンチらしくベンチから凄い勢いで伝令の選手がマウンドに向かっていくところだった。
私は高校時代野球部のマネージャーをしていたので他の女子に比べれば野球は詳しいと思う。でも最近は一試合を見終えるほどの集中力は無くなってしまったのがなんとも悲しい。挙げ句に訳の分からない妄想までしてしまうのだから本当自分でも自分を気持ち悪いと思う。
とりあえず昼食をと思ってレシピ本を眺めていると携帯が鳴った
「今日って何してる?今新宿にいるんだけど、もし暇だったら飯でもどう?」
謙はいつでも突然だ。思えば約束して待ち合わせとかした事もない。
普通に考えたらこれで付き合っているというのもおかしな話だけど別にそんなの気にしない
「ちょうどお腹空いてたし、すぐ行くね。伝令の選手みたいに」
「伝令の選手?なんだそりゃ、まあいいや、じゃあ東口のとこにいるから着いたらまた連絡して」
わかったと言って電話を切った。
そしてまるで伝令の選手のようにアパートを飛び出した。