変わり行くとき
またまた間が空いてしまいましたが、やっと最新話です。上手く出来たか分かりませんが読んで頂けると嬉しいです。
「ほら、どうした勇!お前はこの程度か?」
「くっ!まだまだこれからです!」
今勇とアールブは互いに剣を交えていた。
といっても真剣ではなく、木剣でだが。
というのもシャルンが
「アールブ、貴方は手加減が苦手なんだから勇君が怪我しないように木剣にしなさい!」
と言ったからである。
勇はこの言葉を聞いて内心不満だらけだったのだが、実際打ち合うことで、力量もさることながら経験の差を思い知っていた。
こちらが一撃打ち込もうとすると、軽く受け流され逆に打ち込まれそうになる。今はまだ互いに隙を探ってはいるがもう少し時間が経てば打ち込まれるのがオチだろう。
それは少し離れたところにいるレミィの目にも明らかだった。
しかし、レミィを抱えるように抱きしめているシャルンはというと
「へぇ、あの子なかなかやるわね。劣勢なのは変わらないけど、まだアールブに一撃も入れさせてないなんて。」
その言葉を聞いたレミィが不思議そうに首を傾げるとそれを見たシャルンが
「貴方逹はまだアールブの実力を知らないから仕方ないだろうけど、ああ見えてSTランキング上位記録保持者よ?」
にやりと意地の悪い笑みを浮かべながら言った。
それを聞いてレミィは大きな衝撃を受けた。
STランキングとは剣の技術を競う大会のランキングである。毎年腕に自慢のある剣士逹がこぞって参加する大会で比較的田舎のこの村でも有名だった。
「何でそんな人がこんな田舎の村近くにいるんですか!?」
「あっ!これ言っちゃいけないやつだった。まあ言っちゃったものはしょうがないか。」
ーー実は私達極秘の任務で動いてるの。最近魔王の動きが妙だってことでその調査でここに来たのよ。ーー
とあまりにも軽い調子で驚くべきことを言い出すシャルンにレミィは呆然としてしまった。
そんな話をしている間にも勇とアールブは剣を交えていた。
そんな中、アールブが突如短刀を手にしたのを見て勇が身構えるとアールブはいきなりシャルンに向かって投擲した。
「ちょっとアールブ!危ないじゃない!まったく」
と飛んできた短刀を軽くいなした。
「シャルン、お前というやつは何故そうペラペラと機密を話すか!」
「別に良いじゃない。貴方とそこまで打ち合えるんだから。今の内から育成すれば十分な戦力になるんじゃない?」
「まあ確かに戦力にはなるだろうが、まだ子供だぞ?何よりリスクが大きすぎる。」
「だ~か~ら~、そんな固いことばっかりいってるからいつまでたっても仲間が増えないんでしょ?」
「それはそうかもしれんが、それとこれとは話が違...」
そこまでアールブが言いかけたところでシャルンが被せるようにして
「もう!めんどくさいわね!勇君ちょっとこっち来て!」
アールブがシャルンに投擲したところからそれまで蚊帳の外だった勇はその言葉を聞いて我に帰り、シャルンに駆け寄った。
「突然だけど、これから話すことは全て事実よ。知ったら貴方に危険が及ぶかも知れない。貴方にその覚悟はある?」
勇は心配そうに自分を見つめるレミィを安心させるために微笑み、シャルンに向かってこう言った。
「もちろん」
と。
この日から自分を取り巻く日常が一変するとも知らずに...。