8掘 : 九州上陸
九州は大分に船は到着。もともと岬から九州が見えていた。
大して遠いわけではない。強者ならば泳いで渡るものもいるだろうが、
クラーケンがいなくともサメがいるはずなので、泳ぎたくない。
地球の日本でも何度かニュースで聞いたことがある危険地帯だ。
海沿いの平野地帯にある大分の街は、松山と同じく交易のための街であり、
ともにさほど大きくもない。それでも、関アジや関サバがあるかも知れない
と探したところ、酒場で扱っていた。地球でも食べたことがあるが、
非常にうまい。地球ではお高くて、そうそう食べれないが、こちらでは
ただの地魚扱いでリーズナブルであった。
食事を済ませた俺たちは、王都行きの乗合馬車に乗って王都に向かった。
九州の山は深く、ソネットのアホに追いつかれて5人となった俺達は、
定員オーバーになり、眼鏡犬での移動はできなくなったからだ。
平野部を抜け、山深くなってきても、道はしっかりしている。
鉱物好きなドワーフたちは、鉱物が出る山々に好き好きに
住んでいるようで、王都以外にも広い範囲で住んでいるようだ。
採掘した鉱物の輸送のため、阿蘇ー大分間は、馬車が通れるだけの道
をしっかり作っている。
深い山々を眺めていると無性に掘り掘りしたくなるのだが、
鉱物にたいした執着を持たないエルフと違って、
ドワーフの領域で異世界人とはいえ、人である俺が勝手に
採掘するのは、親方から止められている。
まあ、採掘権というやつである。
仲良くなって一緒に掘るか、王都に行って採掘権をもらってからである。
魔物にも運よく合わず、そうそうに阿蘇の王都へと辿りついた。
ドワーフ王への謁見もすんなりと許され、
親方がそのままドワーフ側の責任者に任命された。
取敢えず、新たな危険人物登場フラグが折れた。よし!
「おお、勇者殿、遠いところ、よく参られた」
「勇者ちゃう! これ重要!」
見た目も、性格も豪快な冠のせた髭ダルマの最初の一言には、
強く否定させてもらった。
その後の歓迎の宴を受ける最中は、ドワーフ王に蒸気エンジンを見せ、
高速道路を有効に使うために、蒸気自動車を開発するための協力を
入念にしておいた。
ドワーフ王たちは、蒸気エンジンを甚く気に入り、
開発量産を約束してくれた。
これが、暴走産業革命の始まりである。
このあと、ドワーフ達は自動車の開発に熱狂することになる。
暴走の要因のひとつに、
眼鏡犬の強化改造立案に忙しかった俺が、
ドワーフたちがの自動車に関する質問責めをめんどくさがり、
技術汚染も気にせず、
現在の自動車技術上っ面だけ教えたり、
実家で誇りを被っていたエンジンラジコンカーを与えたり
壊れた灯油で動く発電機与えたり、
山の中に捨ててあった原動機付自転車持ち込んだり、
頭〇字Dのアニメ見せたり
したからかもしれないが。
俺としては眼鏡犬の改造が大切だ。
5人になったんで3号機も必要だ。
改造というかミスリルでの再製作ですけど。
素材が変われば、強度も重量も変わる。
それに、合わせて構造もバランスも変わるのだ。
安全のため、開口部には、強化ガラスを追加しよう。
ヘッドには、望遠レンズとかいらないけどつけてみようとか考えた。
暗視機能は不要だった。
俺は探査スキルで代用できるし、皆さん夜目が聞いた。
見えないのは人族ぐらいらしい。いいフラグ立てた。
更なる強化素材を求め、オリハルコンとかヒヒイロカネとか
ないか聞いてみたが、知らないという。
俺の探査でも検知できなかったのは、存在しないからか。
チタンやウランは存在しているが、放射能が怖いからやめた。
あまり知られていないことだが、チタンは放射性物質が
混ざった化合物の形で埋まってるらしい。
チタン、チタンと喜んでいる日本は放射性物質も
バンバン出していることになる。
まあ、よく政府発表のように大したことないのかも知れないが。
その中で、ドワーフが硬いわ、溶けないわで、加工できない
鉱物があるという。アダマンタイトかなと期待して調べてみたら、
タングステンだった。日本でもタングステン採れたんだ?知らんかった。
タングステンは融点4000度弱だっけ?
そりゃドワーフの技術でも加工できないわ。
これ化学処理とか必要な上、精錬すればするほど
粉にしかならないんじゃなかったけ?
しかし、ここは異世界ファンタジー。
オリハルコンがないのなら、ミスリル以上の金属がないのなら、
造ってみせよう製造系チートのスキルで。
というほど大したことしません。
地球でもあるタングステン合金を、ミスリルで造るだけですよ。
違うのは地球のタングステン合金はタングステンが溶けないから、
溶けて混ざり合った合金ではなく、他金属に硬いタングステンの
粉混ぜただけのものだけど、こっちじゃ溶かしますよ。意地でも。
タングステンが溶ける状態は、普通なら炉も溶けてます。
しかし、そこは異世界ファンタジーに製造チートスキルがある。
耐熱特化で魔導被膜重ねかけしたり、ミスリルで造った炉に
魔力で耐熱強化したりできるはず。ファジーなスキルなんだから
やれるはず。
ドワーフはタングステンはいらないというから掘りに行こう。
弾頭にしてよし。リアル斬鉄剣作ってよし。
夢が広がる。採掘穴も広がる。
でと、埋蔵量の多いところ探すと、屋久島でした。
どうやって行こう?
そこは、いつものオカメインコの女神便。
どんなとこでもすぐ参上。使えるものは神でも使う。
それが異世界クオリティ!
到着しました。憧れの島 屋久島。
樹齢が凄そうな樹もいっぱいです。
だれも来ない島なので、丸ごと食っていいと女神様は
地元の精霊無視しておしゃってます。
まあ、樹の精霊さん達も、誰も来ないのもさみしい
ということで四国へと引っ越したいそうです。
女神様、ここタングステン以外美味しくないからいりません。
アネットたちに精霊のお引越しを任せたあとは、ミスリルゴーレム君中
100体ほどで、バンバン樹を根元から抜いて無限収納に回収していきます。
ミスリル製になったことで、俺から受ける魔力の効率も大幅アップして、
出力・速度も大幅アップです。
あとは自己判断機能とかで使い勝手をあげたいですね。
そして、掘り掘り。こちらは鉄ゴーレム君で十分です。
俺もミスリルツルハシ天誅丸 で掘り心地を堪能しています。
最近、掘り掘りしてなかったので、とてもコリコリしたこの
地層の感触は、とても美味しいです。さすが神秘の島!
1週間かけて、屋久島での生活を堪能しつつ、掘りまくりました。
最終的には、露天掘り中に海水が溢れ出したので、
2000メートルは掘ったみたいです。
さらば屋久島、美しい思い出をありがとう。
さあ、王都に帰って、タングステンの為の炉をつくりましょう!
タングステンをも溶かす4000度を超える溶鉱炉。
それはまるで地上に落ちた太陽のようなもの。
つまり、命名 『太陽炉』 です。
太陽炉は、ガン〇ムのやつが有名ですが、実際にいくらでも存在します。
フランスのやつは3000度まで上がるそうです。