34掘 : そして、再び 幻想異世界へ
ようやく日本に帰ってきた。やはり、自分ちが落ち着くねえ。
久しぶりに思う存分、オカメインコをモフってインコニュウムを
補給する。当のがっちゃんは気持ちよさに目を閉じ、くわぁ~と
呻いている。ええのんか?ここがええのんか?
「お帰りなさい。今度はどこ行きます?」女神様が現れた。
どこでもドアで移動して、全部奢ってもらうこのアマにとっては、
近所のファミレスにいくようなものなのだろう。
彼女の左手首には、ケニーがマチュピチュで買ったはずの
ブレスレットがついている。ケニーが俺にくれたお礼のひとつで
あり、その後、彼女に回収されたものだ。まあ、彼女に渡そうと
思って選んでいたものではあったので、構わないのだが。
ケニーからのお礼のひとつというのは、他にもあるからである。
アメリカ入国後、再び、ケニーの自宅に連れて行かれた。
そこで、ケニーの母親を紹介される。彼女、クールビューティーで
会社の経営を握っている影のボスである。確かにあの親父さんだけ
では無理そうである。全滅しかけたし。コロンビアの作戦は、彼女
に話を通さず、電撃的に行われたものであったため、ああも杜撰な
ものになってしまったようだ。
彼女いわく、ケニーの誘拐に巻き込み、命の危険にさらした上、
ケニーの命を救ってもらった。それなのに、コロンビアに無理矢理
連れ込んで全滅必至の作戦に参加させて、ご苦労様でお別れしたな
どと、どんだけ失礼かましてんだと親父さんとお姉ちゃんを折檻し
たそうな。そして、このまま俺を返すわけにはいかないという。
でも、俺そろそろ日本に帰りたいんですけど。
命がけの作戦に参加したこともあり、お礼としても報酬を払いた
いとおっしゃる。まあ、あれだけやらされたのだから、迷惑料程度
なら構わないだろう。
彼女の提示は日本円にして1000万円。
ケニーの救出・コロンビアでの作戦参加を鑑みれば安いものだそう
だ。ただ、会社の経理処理上、ただ渡すわけにもいかないので、
社員として契約して、契約料として渡して誤魔化したいという。
なに、後方支援要員として登録するだけだし、今後も命の危険は
ないという。いや、何で今後の話をするのよ、おかあさん!
だめだよ、俺、働かないからね!
1000万は本当にお礼。次があったら別途支払うということで
解放してくれた。帰り際には、親父さんや作戦をともにした社員の
皆さんから、様々な装備を選別に戴く。皆さん、俺が帰るのは、
日本ですよ?まあ、もったいないから、異世界に送っといた。
ケニーの誘拐犯から没収した装備もあるから、日本へ帰ったら
一度回収に異世界に行かねばなるまい。
「夏休みも残り少ないんだから、時間がもったいないですよ?
ゆっくりしたいなら私の異世界でゆっくりしたらどうですか?
時間の節約になりますし」
ずいぶん、異世界行きを勧めてくるのが、いつもと違うのだが、
まあ、久々に顔を出してもいいだろう。素直に、女神様の導きに
従い、異世界へと送り込まれる。
北海道。そこは、戦場だった。
数が少ないながらも強力な魔族たちとエルフ・ドワーフ・獣人・
人による同盟軍の戦い。同盟軍は、女神の勇者と女神の武器、進化
した攻撃兵器をもって魔族たちに押し勝っているようだった。
しかし、いきなり戦場に投入されたことには、納得はいかない。
女神様に呼びかけても返事はない。まずは、状況確認しよう。
まず現在位置だ。広域探査のスキルで確認する。ここは、札幌の
北、羊蹄山の麓のようだ。見たことのある富士山のような山が
見える。
事情を確認するために、知り合いを探す。まずは、獣人の女王で
あるカミーユ。反応なし。その息子の獣人の勇者、反応なし。
ドワーフである親方、反応なし。俺は、あせった。この世界は、
あの世界ではないのだろうか?また、違う世界に送り込まれたの
だろうか?いや、スキルが使えるなら、ここで正しいのだろう。
なら、どうして反応がない?焦る気持ちを抑え、さらに探査を
かける。アネットにソネット、反応がある!場所は仙台。
眼鏡犬を取り出し、飛行機能で急いで彼女たちのもとへ向かう。
仙台には、立派な大砦が存在し、そこに彼女たちはいた。
「アネット!ソネット!無事か!他の皆はなぜいないんだ?」
「クドウさん、お久しぶり!」ソネットの軽い挨拶が響く。
「カミーユとか親方とか探査かけても反応がないんだ!
皆な戦争で死んだのか?」
「そうですね。親方もカミーユもその息子の勇者も亡くなって
もうかなりたちます」
アネットが悲しそうにつぶやく。
「そうだよな。魔族との戦争してるみたいだもんな。
知っている奴だって死ぬよな。
ごめんな、俺がいないばかりに死なせちまって」
「いえ、これは、彼らの運命だったんです。
避けられないことなんですから。お気になさらないで」
「そうですよ!ドワーフも獣人も200年は生きられませんよ!」
「200年?どういうことだ」
「いや、そのままですよ?最後にあってから200年経ちます」
「じゃあ、反応のない皆なは?」
「寿命ですが?皆さん大往生でしたよ?」
そっけなく、答えるアネットさん。
こいつら、エルフだから外見変わってないんでわから
なかった。
「そうか、ならもう会えないのは淋しいが仕方ないよね。
しかし、お前らもういい年だし。ひ孫ぐらいできたか?」
二人から強烈な殺気が噴出する。どす黒い。
「わたしたちは、まだ未婚です。うら若き乙女です」
「そうですか。すいませんでした」やぶ蛇だったようだ。
「クドウ、もうあなたでいいから子種をよこしなさい!」




