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異世界に高速道路をつくろう!  作者: 土木研究会
四国 エルフ領 編
3/40

3掘  : 巨鳥襲来!

眼鏡犬ネタわかりますか?

 異世界に入り浸ってばかりに思われているかも知れないが、

俺は、日に数回は地球に帰って来てはいる。


 俺は実は重度の持病もちで、何日も異世界に行ったままには

できないのだ。


 持病の名は、インコ中毒。


 世界のインコを飼う多くの人々が患っている有名な病気だ。

インコのモフモフとインコ臭と呼ばれる特殊な匂いを定期的に

取り込まないと精神に重大な支障をきたす。


 本当ですよ?インコ臭のする香水とか売ってるんだよ?


 俺は、自室でオカメインコのがっちゃんを両手のひらで包み込み、

モフりながらインコ臭、いや、俺的にはインコニュウムを体内に

チャージしていた。


 そして部屋の中に大量に飾っているチョー合金やプラモデル、フィギュアの

ロボット達を観察しながら、考察していた。


 鉄ゴーレムは造れるようになった。やつらは、砂鉄製のゴーレムである。

高レベルの精錬を再度施せば、数は半数以下になろうが、

玉鋼のゴーレムを造り出すこともできよう。

 

 それに対して、今の俺の技術では、それに見合った機能・造形を与えて

やれない。俺は悩む。巨大ロボットは不思議エネルギーでもないと

ファンタジー世界でも無理だろう。ではリアルロボットと呼ばれる範疇は

どうだろう?核融合とかだからやりたくない。

そもそもあいつら大概、自立すらできないし、構造的に強度考えてないの

多いし。やはり、ちっちゃいのしかないよなー。

 俺の前にあるのは1体。

眼鏡犬と呼ばれる、赤く塗られた肩アーマーが特徴の機体だ。

かなり古いアニメの主人公機にして量産機。

全高4m、ドラム缶に手足がついただけみたいなもんだ。

駆動部はともなく、動力部と制御部がみあたらなかった記憶がある。

まあ、異世界ファンタジー技術で、動力部俺、制御部俺なんだが。

これをベースにゴーレム開発を進めようと思う。


 ネットで情報検索するために、そろそろ がっちゃんを小屋に戻そうかな。


「わたしが、面倒みますよ」

「ありがとう」 


と振り向くと、女神様がいた。


「下界に降りると影響があるんじゃなかったのか?」

「それは、私が造った異世界の話です。 

 こちらの世界では問題ないです」


 それじゃあ とばかり、俺は、がっちゃんを預けた。

女神様は、赤ちゃん言葉でモフモフしている。

もうすぐ、噛まれることだろう。


「工事は、まだ始めないのですか?」


 気楽にのたまう女神様。


「資材も無えよ」


 俺がやるんだから、魔法で出しましたみたいなのはやりたくもない。

できるだけ経過を楽しみたい。


「それより、資材集めに数人で飛び回りたいので、

 便利な乗り物ないんですか?」


 高速道路を所望なのである。

馬車で運んでいては、意味がないような気がする。

車とかいるんじゃないか?作れないかな?作っていいかな?魔導自動車。


「自動車とかどうするんですか?石油とか出るんですか? 」


「そんな公害一直線のもの作るのやめてください。 

 火晶石という熱を発し続けるものがありますから、

 それを利用してください」       

    

「蒸気自動車かよ。まあ十分だろうね」


 当然、フラグ回収する羽目になる一言でした。


「資材集めに飛び回る前に、エルフの王に会っておいてください。

 王都の神殿にも信託を出して準備しておいてもらいますから。

 行く手段は、向こうに行ったときには用意されてますから」


「女神様?なんか気楽に神託バンバンされてますが、

 なんで人族に神託出して諌めないのですか?」


 女神様は背を向けてのたまった。


「人族の領域に私の神殿はありません。いないものとされてます」


 さいですか。

 がっちゃんをもうちょっとモフっててもいいよと慰めておいた。

喜んで強くモフったため、当然、鼻の頭を噛まれたけどね。


 しばらくして、調べものも終わったので、お出かけすることにした。

女神様を追い帰し、眼鏡犬片手に異世界に突入だ。


 到着早々、アネットに声をかけ、王宮への挨拶の手続きをお願いする。

1週間ぐらいかかるそうだ。


 その間に、親方とともに鉄ゴーレムのブラッシュアップといこう。

親方もノリノリだ。掘り掘りしないから、俺の魔力量アップはないが

散々掘りまくったので、常人の数十倍の総量がある。自然回復する分で

ゴーレム開発はできるだろう。


 まずは、材質の見直しだ。このあたりの砂鉄は上質ではあるが、

砂鉄を結合させただけの今の強度では、使い物にならない。

高機能な構造にするつもりなので、鉄の塊ではなく、鎧のような

装甲にするつもりだ。


 砂鉄を精錬して玉鋼を造ることから始める。

スキルで精錬用の炉 爆熱ゴッド精錬君を造りだし、

鉄ゴーレム君を生贄に投入する。

鉄は純度が高過ぎる純鉄になると柔らかい。

僅かな添加物を含む炭素鋼などは硬くなる。

でも炭素量が多くても硬いが脆いものとなる。

日本刀の古刀が現代の刀より優れているのは、

精錬技術が低いのでいい感じに不純物が残っているからと聞いたことがある。

だから、徐々に精錬レベルを上げていき、出来上がりを確認する。


 いやー、加熱冷却の時間が短い 爆熱ゴッド精錬君 便利だわ。


 それでも、数十回の精錬で満足できるものが仕上がるのは一日掛りだった。

そのかわり、親方も大興奮の一品ができあがった。

まさにこれがただの鉄なのかと。


 翌日、鉄ゴーレム中隊は、玉鋼ゴーレム小隊20体分の玉鋼に精錬された。

もともと張りぼて構造だったから、こんなもんだ。


 親方にデザインサンプルとして眼鏡犬のフィギュアを見せると

気に入ってくれたようだ。

こだわって、焼き付け塗装なんかもしたいので、

伝手を探してもらっておいた。


 アネットは、農耕協力者のとりまとめで忙しそうだったので、

防御壁のおかげで絶賛ひまひまのソネットに火晶石の入手をお願いした。

代金は、今回の工事中に僅かに分離できた砂金である。

動力としての実験に使う分には足りるみたいだ。


 俺と親方は鍛冶場で開発だ。スキルで 部品製造機 3Dプリンタ君 

をつくり、眼鏡犬のフィギュアのパーツをもとに

1/1眼鏡犬のコピーパーツを造っていく。

あとは、親方と2人で叩いて鍛造、

俺のスキルで溶接の代わりに引っ付けて、また鍛造。

巨大な自立鎧の製作に熱中した。


 親方と眼鏡犬の製作に没頭すること1週間、

エルフ王への謁見の準備が整った。


 眼鏡犬は、外骨格である装甲に塗装を施し、

手足の駆動には、魔力で伸び縮みするシリンダを組み込んだ。

胴体には操縦席である。

今のところ、俺が直接接触してしか動かせないし、

動きも遅い。走れない。武器もない。移動シェルターってとこか。


 王宮への出立の朝、いつもの4人で街の裏門の農場に集合したが、

馬車が見当たらない。

そもそも、新しく作った防御壁には出入り口はないんだけど、

どうしたいのかな?


「女神様に、ここに集まるように神託をいただきました」


 アネット君、何そのちょー不安フラグ。

俺は緊張して身を固めると、上空より鳥の鳴き声がする。


「がっちゃん?」


 間違いない。あれはうちのがっちゃんだ。

女神の野郎、屋外に連れ出すどころか

異世界に連れ出しやがった。なんとしても捕まえて地球に返さねば。


 俺は手を叩きつつ、力の限り叫んだ。


「がっちゃん。おいで」 


 うちの子、手を叩いたぐらいでくるようなやつではないが、

今回は気づいて、降りてきてくれた。

しかし、随分ゆっくり降りてくるなと見ていてら、何か遠近感がおかしい。

そして、暴風を引き起こしつつ、がっちゃんは地上におりたった。


「ぴぴっぴぴーーーーー!!! 」


 とても上機嫌、でも俺たちは失神しそうなほどうるさい。


 体長30メートル、翼長30メートル、約100倍の大きさだ。

女神の野郎、なんてことしやがる。


「大丈夫ですよ。私の加護がありますから」


 がっちゃんがしゃべった?親父がぴーちゃん としか呼ばないから、

ぴーちゃん としかしゃべれないはずなのに。


「この子をこの世界での私の憑代にしています。

 私の加護で、空腹も怪我も病気もありません。

 さあ、背中に乗りなさい」 


 背中まで7,8メートルはあったので、ゴーレム作って運ばせた。


「さあ、行きますよ!」


「女神様、ちょっと確認ーーーーん」 


という間もなく、飛び立ちやがった。


 オカメインコはオーストラリア最速の鳥である。その速度は時速60Km。

この巨体で思いっきり飛ぶと、時速6000Km、即ち、マッハ6。

衝撃波で地上も俺たちもがっちゃん自体もミンチである。


 エルフの王都まで直線で約200km。当然、高知市にあたる位置に存在する

ので四国山地の山超えがある。馬とエルフの徒歩で往復1週間以上。

がっちゃんは計算通り2分で飛んだ。

 

 エルフ王都前で、降りた俺たちは疲れきっていた。

加護の力で、物理的被害は無かったが、納得はできない。


「女神様、さっさと がっちゃん 返してこい。

 あとこっちで力使っていいのかよ」 


「私の力は、この子の周囲に留まってるので、

 周囲には影響をあたえません。

 理想の憑代ですよ、この子」


 がっちゃん襲来で、王宮と本神殿からから兵が出てきていた。

こちらの到着が気づかれてしまった為、早々に王宮にいく必要があるそうだ。

がっちゃんは女神が憑依してる上、神鳥扱いだから、身の危険はなさそうだ。

納得できないが、任せるしかない。


「おま、覚えとけよ!」


 俺は、捨て台詞を吐いた後、引きずられるように連れてかれた。


 王宮にて王様と貴族たちと謁見させられた。

本神殿より、大神官が出向き、高速道路建設のための資源採掘の許可と協力を

王に進言した。王様はほそマッチョな若く見えるがカッコいいエルフだった。


「許可する」


の一言ですんだが、当然、セコイ貴族はどこにでもいる。


「異世界から来たなどと信じられません。女神様の依頼など嘘です。

 こいつは、我らの資源を盗もうとする卑しい人族です」


 すばらしい人材だ。物語の展開には欠かせない人物である。

謁見の間の横の中庭に開放されたベランダから、

その女神様が憑依している巨大オカメインコの

がっちゃんがジッと見つめているのにも気づかずに、

その台詞を吐けるなんて只者ではない。


 王以下の貴族もその事実を知っているようで、顔が青い。

俺の首も散々絞めてくれた女神様のことだ。黙って見ているわけがない。


 勇気ある貴族殿は、さらに調子こいて、


「建設予定地の平原には、私の所有地が含まれている。

 代わりとしての領地か、買取っていただきたい」 


と高額な金額を要求してきた。

こちとら、ただ働きだっちゅうの!


 ついに女神様はキレた。毛繕いして尾羽を1枚抜くと、

その貴族に投げつけ、「ぎるちぃーー!」と鳴いた。


 うちのインコの羽、勝手に抜くなよ。まあ、生え変わりの羽みたいだけど。


 巨大オカメインコの尾羽は、大きかった。

それを起用にも弥7みたいに投げれたもんだ。

長さ10メートルもあるのによ。デカいから刺さらなくてよかったよ。


 がっちゃんの躰で殺生とかやめてよね! 


 貴重な人材な貴族様は強制隠居で、僻地に幽閉となった。

所有地の一部は神殿に寄贈という形で、俺が資源掘りすることを、

もともとの資源掘り予定地と同じく許可された。


 貴族に天罰を与えた巨大な尾羽は、神殿も王もご神体として

欲しがったが、俺は渡すつもりはなく、身を守る武器の素材にすると

いって回収した。


 この巨大尾羽、実はとても軽い。いや重さがない。

普通のオカメインコの尾羽の重さしかない。女神様の加護で

おおきくなっているので、加護に重さがないからか重さもそのまま。

しかも俺の意志で大きさは0~100倍で変化するみたいで、

ちょうど持ちやすい大剣サイズにもなった。

しかし、武器としての威力は皆無で、でかい羽箒でしかなかった。

紋犯みたいなモンスター素材武器みたいになるのかな。


 謁見終了後、神殿に寄贈された土地へ移動した。

女神様 INがっちゃんは厳しく叱って地球に帰らせた。

当然、俺も一旦帰って、確認ついでにモフってきた。


 広域探査してみると、鉄が結構ある岩山があった。

さっそく麓までいってみる。大きい岩山であったが、美味しく

いただくとしよう。

 

 アネット達には、しばらくここで採掘生活できる準備をお願いし、

俺は親方と岩山の頂上までいっきに登った。

 開けた場所で、玉鋼ゴーレム君10体を出し掘り掘りを開始する。

天誅丸の手応えがとても良いので、ガンガン掘ってると、親方になぜ

頂上から掘るのか聞かれた。答えは、鉄鉱石採集のためでなく、

俺が成長するために掘り掘りするためだ。どうせ大量に鉄鉱石が必要なんだ。

露天掘りするのが一番だ。俺は岩山を丸ごと食い尽くすつもりだった。

 

 鉄鉱石はまだ出ないが、俺の魔力は漲っていく。眼鏡犬を動かすために

覚えた魔力操作で、天誅丸と玉鋼ゴーレム君たちを魔力で多い強化する。

なんかバターを熱いナイフで切るように岩が削れていく。

夕方には頂上付近は消失し、野球場ができるぐらいの平地が出来上がった。


 夜の野営では、ひまひまで影の薄いソネットが見張り役をかってでたが、

昼間に採取した岩石から岩ゴーレム君大1000体以上作成できるほど、

俺は既に強くなっているので、200体ほど作って、野営地を何重にも

囲ってやったので出番がなくなった。


 あまりにも不憫なので、鉄鉱石が取れ出したら、玉鋼製の剣を造ってやると

約束し、明日からは寄贈された土地の開拓の話し合いにいくアネットの

護衛ということで仕事をあげた。 


「ありがとう!」


と元気ながらも健気に答える彼女をみて、戦闘チートじゃなくてごめんねと

星空を見上げる俺であった。


 翌朝、岩山の麓は立ち入り禁止としてもらった。

いよいよ、全力全開で暴走掘り掘りを行うためである。

なんでこんなにテンションが高いのかいうと、使えない

道具の進化カスタマイズが使えるところまで成長したのだ。

やはり存在した金銀パールにダイヤのツルハシを超え、

ミスリルツルハシ 天誅丸君にまで成長した。


 ミスリルの特性として魔力を通しやすいこともあり、

俺の魔力操作と合わせ、すばらしい強度を叩きだす。


 おまけにカスタマイズモードも発動し、形状選択でステークが選択できる

ようになった。炭鉱なんかで、おじさんが使っている、ガガガガガガってなる

杭が上下するあれである。


 結果、凄い勢いで山を削っていくので、麓は落石で危険なのである。

あとの理由は、金とミスリルの埋蔵が少々あるのでエルフさん達には

隠しときたかったぐらいかな。


「すべての大地に感謝を込めて。 イタダキマス!」


 感謝の意味で手を合わせたあと、ミスリルステークで暴食掘り掘りを

開始した。途中で鉄鉱石が産出し始めたこともあり、随時、鉄ゴーレムを

ネズミ算式に増やしていったため、周囲では採掘音が地響きのように

聞こえていたことであろう。その日の終わりには、鉄ゴーレム中隊200体

が軍団に加わり、岩山は消失した。


 翌日、採掘はまだ続いていた。目的は鉄ゴーレムを作るためではないのだ。

工事作業員の鉄ゴーレム軍団を確保しつつ、高速道路用の資材を大量に確保

しなければならない。ここには、まだ資源が眠っている。根こそぎ掘り掘り

しなければならない。露天掘りモードに突入した。


 アネット達が、数日して帰ってきた。どうも迷子になったようである。

原因は目標となる岩山がなくなったからである。いま、ここにあるのは

広大な露天掘り採掘場、その直径は1Kmを超えていた。働く、鉄ゴーレム

は1000体を超え、今も爆熱ゴッド精錬君1号機から10号機が精錬を続けている。

 

 穴の底からは大量の水が湧き出し、俺自身は採掘する間もなく、

湧水を無限収納に回収しているだけである。

資源は、まだ埋まっているが採掘するには限界のようである。

なんせ、俺がいる穴の底は、地表から500m下である。

水がこれだけでるようでは鉱山としては終わっている。


 俺は、稼働中の鉄ゴーレム君たちを地表に退避させ、退避完了を待って

脱出した。この水の勢いでは、ここは数十年したら湖になるかもしれない。


 アネット達ももはや慣れたのは、特に苦言はなかった。普通に農地

開墾の協力をお願いされた。


 農地開墾は数日で終わった。防御壁付きでである。


 最終的に1000体の鉄ゴーレム君で開墾を行い、岩山で採取し、

必要な資源を絞り取った岩石から岩ゴーレムを大量作成して防御壁

をつくれば早いものである。


 さあ、次は石灰石の採集だ。

山を食い尽くす頃には、今の総所有鉄鋼重量1万トンを全投入した

鉄ゴーレム軍団5000体も総稼働できるようになるだろうか?


 


    




 


 


 


 

  


   

そろそろ戦闘シーンにチャレンジしてみます。

武装製造ネタを先に仕込んでからですが。

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