25掘 : 魔族
突発的事故のように現れた人族の神を騙る厨二病、クソ無視、
ニセ神、ゴキ、ガン細胞、エボラウィルス、蛇神と呼び方は
いろいろあるが、2匹の内、1匹は処理できたのは喜ばしいことでは
あった。いまだに、なぜ止めがさせてのかは、女神様を含めて、解らず
終いではあったのだが。
蛇神消滅後、しばらくして魔族の活動が再開された。残るもう一匹
の厨二病患者は、ゲームの相方が消滅したことで素直にゲームを止め
るという選択肢はなかったもようで、魔族対他種族という形でゲーム
を続けるつもりのようである。
この魔族についてであるが、古来よりある設定では、ズバリ悪魔。
人の悪意を好んだり欲望を好んだりするやつらである。滅びの願望を
もつなんて設定のものも有名である。最近では、魔力・魔法に優れた
生物としての一種族であり、敵対こそすれ純粋な悪ではないどころ
か、ものによっては、ただのお仲間であったりもする。
さてこの世界。あの女神様が造ったのだから、普通ではないかもし
れない。でも、この世界、世界創造講座のテキストの付属におまけ
サンプルから造られた世界である。サンプルだから複雑ではないもの
の簡単な初期設定はすでにあったらしい。らしいというのは設定を
操作できるほど頭の出来がよろしくない女神様にデフォルト設定の
変更などできたわけもなく、残りの一匹の厨二病の好きに設定された
魔族が、現在のものであるという。
「もともとは、どんな設定だったんですか?」と女神様に聞くと、
「知りません?」とお答えなさる。なぜ疑問形?
「テキストには載ってると思うんですけど」
おいおい、じゃあ、魔族のニセ神、厨二病だからまさに邪神なの
だが、倒したとしてどうするおつもりなのか?何も考えていない
なら、もう邪神ごと放置というか、異世界勇者ズに任せるのが王道
ではないかと思うんだけどね。でも積年の恨みというか邪神だけは
滅殺しておきたいらしい。
どこからか取り出したテキストで、バカがバカなりに健気に調べて
いる。テキストがとても薄いことへの突っ込みは止めておいてあげ
よう。
「ありました。デフォルトは魔族だけの世界を目指す悪の組織って
あります」
「で、今は?」
「強いものとの戦いを求める戦いの求道者。戦闘民族、脳筋ってとこ
ろでしょうか?」
「それはデフォルトよりましな気がするんですが」
「強い者を求めて、王都とか人の多い所目指してやってきて、暴れ
たらどうするんですか?」
「それこそ、勇者と兵を前線に集めとけばいいんですよ。
他に仕事ないでしょう?」
「それに本当にもう手を引きますから。夏休み中に、南米とか旅行に
行きたいですから。がっちゃんの連れ出しはもう禁止です。動ける
身体が欲しいなら、ご自分でどうにかするように」
「雛とかできたらくれませんか?」
「アイツはオスだし。それに複数飼いする甲斐性は俺にはありませ
ん。そのへんで雀かカラスでも見繕ってきてください。最大限に
譲歩して、ご自分で育てるなら伝手で、雛もらってきてもいいで
すよ?」
「本当ですか?ぜひお願いします!」
予想外の食いつきだ。この女に育てるということがまともにできる
のだろうか?サボテンすら枯らしそうだ。現に、その失敗例の中
に、今いるわけだし。雛を育てるぐらいは手助けするべきだろう。
「今、地球の日本は夏なんで、雛はあまりいないんで、まあ、秋まで
待ってください。それまでは、アネットとかの神官とか巫女が一応
いるんですから、神託で我慢しといてください。もう、エルフも
ドワーフ達も十分反映してますし、異世界技術もかなり普及してます
から、いくら魔族が強かろうと勇者たちと科学技術でなんとかして
くださいよ?」
「クドウは、もうこの世界に来ないつもりなんですか?」
「もうちょっとやり残したことがあるんでそれを試してからですね」
「あのソルカノンの試し打ちとかはダメですよ。
世界こわれますから!この世界狭いんですから!
没収しときましたけど」
「いいですよ、あげます。好きに使ってください。
やっぱり、武器といったら、目標だけに無限のダメージ!何故か
まわりはあんまり壊れないのが理想ですから。やり残したこっての
は、蛇神を倒した力の調査というか実験というか特訓ね。莫大な
魔力によるものなのか、次元の壁を超える力なのかは、わかりませ
んが、力を使えて、周りをぶっ壊しても文句の少なく、片付けも
自分でできるこの世界でやっときたいんですよ」
「西日本でやるのはやめてください。あなたがボコボコに掘り返した
東北地方か、蛇に荒らされた関東でやってください」
「俺は魔法が使えるわけではないんで、こっそり修行する分には、
魔族に見つかるわけでもないんでいいですよ。ついでに新たな地形
を修行用に造っときます」
この世界にもファンタジーな地形は必要でしょう?




