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異世界に高速道路をつくろう!  作者: 土木研究会
九州 ドワーフ領 編
11/40

11掘 : 暴走!〇文字 Dwarf

 この暑さの中で生まれた

実にバカバカしい妄想です。

よく妄想しながら、お読みください。

 俺が、太陽炉の開発とその後の眼鏡犬の開発・改造で

暴走していた頃、王都のドワーフたちもリンクするように

蒸気自動車開発で暴走していらしい。


 この世界に季節があるのか知らないが、

この暑さからすれば夏なのかもしれない。


 夏。情熱の夏。それは人を狂わせるのかもしれない。

 

 俺から仕入れた知識ともらった数々の地球産ガラクタから、

俺の想像の斜め右上を行って、更に斜め左上行った

二段跳びのような技術進化爆発が引き起こされていた。

 

 簡単に地球にあったような蒸気自動車は作るだろうなとは、

考えていました。


 ハンドルがあって、ブレーキがあって、アクセルがあって、

変速機があって、バックもできて、複数座席でといった具合です。


 でも、異世界だし。魔法でライトぐらい作るかもしれない。

ゴムタイヤぐらい妙な素材を探し出してくるかもしれない。

ダンプとかバスとかデカいの作ってるかもしれない。

このへんまででしょうか?


 実際には、参考に渡したものの中に、発電機や

壊れた原動機付き自転車があったため、

発電機がコピーされていました。

電球があったため、ライトもウインカーもコピーされていた。


 電気機器つくられちゃってた。


 スピードメータとか魔力残量計とかまである。  

アニメ映像から拾ってきたのか?

なんかエルフたちも協力して、電子制御だけじゃなく、

魔力制御されているらしい。


 完全に地球産技術に技術汚染されている。


 もう立派な自動車です、それ。


 ここまでの斜め上二段ならよかったんだけどね。


 俺が、太陽炉を完成させ、眼鏡犬の製作と3人娘に操縦指導を

行ってた頃、ソネットがこんな噂を拾ってきた。


「夜な夜な内環状で自動車バトルが催されているらしいですよ?

 ドワーフたちの間で大人気みたいなんで

 皆で見に行きましょう」


 オーーウ!






 内環状とは、正式には『阿蘇外輪山内環状道路』だ。

このドワーフの王都も含み、阿蘇外輪山内の平野部には

ドワーフの村が多数存在する。

 

 そして、各村々をつなぐ石道路がもともと存在している。

各村で集められた重くて大量の鉱物を運ぶため、王都近隣なら

峠とかでも、結構、広くて頑丈に作られているらしい。


 どうもドワーフたちは、技術汚染で高機能になり過ぎ、

高速で走る自動車の魅力取りつかれてしまっているらしい。


 ライトも再現できているため、馬車の走れない夜の内環状で、

アニメ映像をまねて、互いの自動車の自慢と運転テクニックの

競い合いといった催しを夜な夜なやっているようです。


 技術汚染どころか文化汚染まで発展しているみたいです。


 さすがに、交通事故死という社会問題を導入した

パイオニアには、なりたくなかった。


 騒ぎを収束させるは、すぐには無理だろう。


 安全指導とか安全ルールの制定とか安全意識の刷り込みとかは、

適当な時期をみてやるつもりではあったのだ。


 随分、前倒しで必要になってしまったので慌てて、

そのバトルを見に行くことにした。


 皆さんもお誘いしたのだが、


 親方は眼鏡犬の技術のほうに興味がいってるみたいで

行かないという。


 カミーユはおねむだと言う。

 

 アネットは、ソネット曰く、もう寝ているそうだった。









「王都の正門前がスタート地点らしいですよ」


 ソネットは、事も無げに言うが、夜中に門の外に、

集まってていいのだろうか?

普通、夜は出入り禁止じゃないんだろうか?


「主催はドワーフ王です」


 そこまで汚染が進んでいるのか。対応は緊急を要するな。

眼鏡犬関連の仕事は、一時中断するしかない。

 

 正門前には老若男女のドワーフが多数集まっている。

なんか貴賓席まであるぞ、おい!





 車は2台、1対1のバトルのようだ。


「内環状をぐるっと一周というわけじゃなく、

 近隣の村まで行って折り返してくるそうです。

 スタート地点がゴールで、王都のここがそうなんですよ」


「いつからこんなことやってんだ?」


「2ヶ月前ぐらいかららしいですよ?

 自動車が動くようになった頃からやり始めてたみたいでね?

 なんでも、勝ったほうが自分の車の優れた技術を

 自慢できる場が与えられるそうです」


 そういうカラクリか。

大人数で競って開発して、毎日、研究発表して情報共有して、

優れた技術取り込んでりゃ、どんどんメガ進化していくわけだ。

そもそも、俺が渡したお手本はあったわけだし。


 進化爆発の理由に独り納得していると、2台の車が

スタート地点に、やってきて止まる。


 一台はまるで、デッカいミニ四駆。

軽量で、操作性を狙った車体に見えた。


 もう一台はタイヤが6つある。

なんか昔のレーシングカーみたいだ。

一体、何をサンプルにしたんだ? 










ーーーside ??ッ?ーーー


 蒸せかえるような真夏の夜。

虫の声も、風の音も聞こえない。ワタシには。

 

 正門前に集まった王都のドワーフ達の鉄火場にいるような咆哮

とワタシの相棒の心臓の猛き鼓動は、

まるで野獣の雄と雌が呼び合っているようだ。


 それでいくと、隣でキンキン甲高く喚いている雌猿は、

狙っていた雄を横取りされて怒って吠えているようだ。


 いい加減、ウザい。


 だからと言って、ワタシはこの雌猿を舐めたりはしない。


 相手のマシンは強敵だ。

空気抵抗を抑えるための低い重心と切り裂くようなシルエット。

大地に噛みつくような6つの車輪。

鼓膜を引き裂くような他者を寄せ付けない狂った排気音。


 このエンジン音は!バカな!12気筒か?


 開発され始めて、まだ僅かな歴史しかない蒸気自動車の

進化の歴史とはいえ、独創的、いや異端とも言えよう。


 だが、それは移送手段として異世界からもたらされた

趣旨とは反している。


 ただ速く走るために生まれてマシンなど、人に従わぬ魔獣に過ぎない。


 蒸気自動車とは、人の手足の延長であり、

人の意志を宿すものでなければならない。


 ドライバたるワタシと人機一体を体現する、

このマシンこそ正しい進化の系譜なのだ。





 時間がきたようだ。スタートの合図の準備に入る。


 雌猿は、未だ目を見開いて猛然とワタシをやじってくる。


 レース直前でアドレナリンが全開なのは、

ワタシも同じなのだが、ちょっとひく。


 だが、何を言われても、今はどうでもいい。

その時をただ待つ。


 合図の旗が振られる。

 

 車体が軽いワタシのマシンの方が先に飛び出す。

ヤツのは速度特化のマシン。

この程度の先行、このカーブの先からしばらく続く直線で

詰めてくるだろう。

 

 スタート地点先のカーブを専攻し、直線に突入する。

バックミラーに映る六本脚の魔獣は、直ぐに追いついてきた。

余裕を見せ、背後から嬲るように、こちらを煽ってくる。

そして、追い抜き様に、雌猿が何か叫んでくる。


 どうも『ウスノロ』っと言っているようだ。

どこまでも下品な雌猿だ。同じ女性としては情けないばかりだ。


 ワタシはやつのマシンの後ろにつけ、引き離されないように

ついて行こうとしたが、直ぐに距離を開けられた。なんて馬力だ。

折り返し地点のある村手前の峠にある連続ヘアピンカーブで

この差を詰められるだろうか。


 峠の頂上を越え、村へと続く下りの連続ヘアピンカーブに

突入する頃、先行するヤツの尻尾を捉えた。速度と馬力に

特化し過ぎたマシンでは、操作性も足回りも殺してしまって

いるようだった。

 

 ワタシは、この連続カーブの内にヤツの前に出ようとするが、

ヤツは薄汚く、車線妨害を繰り返す。

勝てればいいのだろう。汚い山猿だ。

この先はすぐ、村の折り返し地点の広場だ。

あの広さでは、車線を全て塞ぐ事はそこではできまい。


 そしてワタシは、折り返し地点で大きく膨れたやつのマシンを

インから躱し、先行した。


 再び、峠に突入する。

ヤツのマシンは後ろから追ってくる。

ワタシは進路妨害などしない。

この峠で、抜けるものなら抜いてみな!


 ヤツのマシンは曲がる度に、大きく荒狂う。なんて荒い運転だ。

ヤツのマシンは曲がる度に木々に触れ、へし折り、自らも

傷ついていく。恐ろしい。

まるで、本当に魔獣に追いかけられているみたいだ。

この程度の差では、この後の直線で詰められてしまう。

ここは引き離させてもらおう!


 アクセルを踏込み、果敢にコーナーを高速で攻めていくワタシ。


 以前のおとなしく、影の薄いワタシからは考えられない攻めの

ドライビング。


 蒸気自動車は、ワタシに新たな命をくれたのだ。


 そう今のワタシはこのマシンと人機一体。


 峠を越え、直線に入ると、やはりヤツが追いついてきた。

後ろから迫って来る。また、いたぶるように煽ってくるのかと

思いきや、様子がおかしい。


 ワタシのマシンの後ろから衝撃が伝わってくる。

ぶつけてきた?


 雌猿め!狂ってやがる!


 この直線でワタシを楽に躱せるだろうに、

一時であろうと抜かれたことが許せないようだ。

 

 ヤツのマシンを躱し続けていると、王都が見えてきた。

もうすぐ最終カーブだ。


 ヤツは頭に血が上って気づいていないようだ。


 バックミラーに映るヤツの姿は、もはや狂戦士だ。


 蒸気自動車という大剣を振り回す狂戦士。


 この雌猿にこそふさわしい字名だ!


 ついに最終カーブに突入したが、気付くのが遅れた

ヤツの魔獣は、道路の外に飛び出した。

観客が、ゴール前に集まっていることが幸いした。


 ワタシの勝ちだ!


 ワタシのマシンのクルーが、ゴール先に停車した

マシンに集まってくる。


 観客のドワーフ達も興奮のあまり駆け寄ってくる。


 皆の祝福を浴び、胴上げさらるワタシ。


 今までのただおとなしかったワタシじゃない。


 もう影の薄いワタシじゃない! 









ーーーside 主人公---


 激しいレースだった。というより酷かった。


 広域探査スキルで2台の自動車の挙動ぐらいは

確認できていたのだが、負けた方の非道っぷりは、

半端ではなかった。


 やはり、安全ルールの制定と安全講習は

すぐにでも必要だなって考えていると

負けたほうの自動車が、ヨレヨレと戻ってきた。


 車から出てきたドライバーは、既にボコボコの相棒を

ゲシゲシと蹴りまくっている。


「女神様の神官たる私のいうことを聞かないとは、この異端車め!神罰です」


 さらに、ゲシゲシ蹴り続けていたので、

寄ってきたドワーフたち、多分、あの自動車を作った

工房の者たちだろうが、凶暴なドライバーは

車から引き剥がされて、取り押えられていた。


「あ、アネットお姉ちゃん!」


アネットだった。





 眼鏡犬の操縦はやはり、難しい。


 そこで、まずは自動車の運転なら簡単だろうと、

親方に適当な工房を紹介してもらうように、

以前、言ったことがあるような?








 フラグは彼女に立ったようだ。


 まあ、死亡フラグのほうじゃなくてよかった。


 眼鏡犬参号機の操縦者は彼女に決まりだ。


 その覚醒した力とキャラを目一杯、前に押し出せるように

造ってあげよう。


 もう、人のカタチじゃなくてもいいや。


「ソネット、もう帰るぞ。

 明日から、やることがたくさん増えた。

 お前にも仕事をくれてやろう」


「えー、せっかくだから蒸気自動車を近くまで

 見に行きましょーよう!」


「うるさい!

 それから、参号機はアネットに任せることにした。

 お前もただのフラグ立て要員のボケキャラだけだと

 出番が減るぞ?生き残れるように精進しとけよ?」


 宵闇の中に消えゆく俺の背中に、遠くから勝利者への

祝福の歓声が微かに届く。


「ベレッタやったな!おめでとう!」


 真夏のドワーフたちの祭りは、今宵も熱かったようだ。





 

次こそ、ちゃんと工事します女神様!

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