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僕と傘と  作者: 空椿
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僕と傘と 纏編

 あの後から一ヶ月が経過しましたとさ。


 部屋に戻ってみれば、二人の為に購入した服は綺麗サッパリ無くなっていた。でも食した分のカップラーメンの容器は変わらずそこにあったので、ちゃんと居たんだなって実感はある。

 とは言え、それが僕の生活に何か変化をもたらすという事は無かった。強いて言えば、僕が知り合いに小傘の事を語る時に多少の実感が混じるようになった事だろうか。本人に会ったからこそ分かる事だし。ぬえは僕から語る事は少ないし、紫さんは……うん。


「おはよー」


 しかしまぁ、数日とは言え激動……してないな、うん。あの数日も結局はのんびりしていたし、僕はどうにも性根からゆったりしているらしい。

 でも終わってみれば、多少懐が寒くなった以外に変わった事も無いし。一生忘れなさそうな出来事のはずなのに、何故か日常の一部として脳が処理してしまったのか……それが明日からに尾を引く事はあまり無かった。


「朝ご飯は……カップ麺で良いかな? ってカップ麺もう無いし……」


 それでも流石に忘れるっていうのは無理だなぁ。うん。

 僕は小傘が大好きだし、ご本人が目の前に現れたっていうのは衝撃だったし。あれを忘れろと言う方が酷な気がする。少なくとも、僕には無理だ。


「……サイフに千円札が無い。しょうがないし崩すかな……」


 それはさて置き食材がピンチだ。あれだけあったカップ麺がもう無くなったってどういう事なの……

 あ、三人で食べたからか。いやでも流石に減りが早くないか? 小傘が勝手に食べたのか?


 う~ん、気になる。まぁ要因が何であれ、買いに行かないと困る事に変わりは無いか。とりあえず、サイフとエコバックを持って外出。ドアを開く。


「こんにちは」


 閉じる。


「閉めないで下さる?」


 ……えっとだな。


「いきなり現れないで下さいよ……」


「善処しましょう」


「絶対直す気無いですよね、紫さん」


 本当に神出鬼没なお方だ。

 体の大半はスキマの中で、縁に肘を立ててこちらを見つめている状態。思えば、今初めて八雲紫という人物を見たかもしれない。予想よりずっと妖艶で不思議な顔立ちだ。


「……じゃなくて!?」


「『こんな所でスキマはマズいのではないか』問題無し、です」


 だから台詞取らないで下さい。


「私と貴方を外部の干渉の無いようにしていますので」


「結界ですか」


「私の予備知識を持っているのは及第点と言えるでしょう」


 そういう所もちゃんと分かっているんですね。


「……で、何の御用でしょうか?」


「ええ、ちょっと……」


 言いながら、僕の足元にスキマを……はい?


「ご招待を」


「ちょ!?」


 成す術などありはしない。そのまま僕は自由落下してスキマに消えた。


「あの、紐無しバンジージャンプとか相当マズいんですけどぉぉぉぉ!?」


 割と本気で生命の危機を感じている……のだけど、終点は案外早かった。


「げっと!」


「げほっ!?」


 急に視界が開けたと思ったら、誰かにゲットされて急停止。運動エネルギー君が僕にダメージを与えてきた。


「ちょ、一体何が……」


「やっほーリド」


 小傘。


「ワォ!?」


「あ、驚いた? 驚いた!?」


「滅茶苦茶驚きました」


「やったー!」


 喜ぶあまり、僕を支えていた手をそのままバンザイ。僕は地面に落ちた。


「イテテ……って、ここは……」


 神社。恒例の博霊神社かな?

 と思ったんだけど、少し遠くに見える『遊園地』に思考が停止した。


「……何処ですか?」


「幻想郷!」


「は予想出来たんですけど。アレは一体……」


「河童が一ヶ月で作ったんだってさー」


 ここでぬえも登場。


「小傘の面倒見てくれたからお礼しなきゃねって八雲の居る所で言ったらさー」


「『じゃあ、どうします?』って紫さんがにゅって出てきながら言ったんだよね~。だから遠慮なく言っちゃった」


「な、何て言ったんですか?」


「『もう一回遊園地で遊びたい』」


「……ハハハ」


 その結果が、河童総動員の遊園地建設という事ですねよく分かりました。河童さん達、お疲れ様です。


「じゃあリド!」


「は、はい」


 小傘が笑顔でこっちを見てきた。


「今度はこっちで思い出作ろう! 良いでしょ?」


「……ふむ」


 小傘は現代の遊園地で楽しんだ。から、今度は僕が幻想郷の遊園地で楽しもうという事らしい。

 つまり一緒。思い出を貰ったから、思い出で返そうという発想がこの結果なのだろう。それなら……


「じゃあお供します、お姫様」


「うん!」


 乗るしかないでしょう。


「ひゅーひゅー、おあついねぇー」


「こらソコ、茶化してないで一緒に行くんですよ」


「え、あたしも?」


「だって三人揃わないと一緒の思い出にならないじゃないですか」


 ……と僕が言うと、ぬえが少し考え込む。そして多少照れながらの返事をしてきた。


「し、仕方ないなぁ~もう! そんな事なら、一緒に、行ってやっても……良いけ」


「よ~し、しゅっぱーつ!」


「ちょ、小傘!? 置いて行かないでよ~!?」


「あの、僕飛べないんですけど!? ちょっと~!?」


 …………ああもう、締まらないなぁ。

 結局、幻想郷の遊園地でもあちこち歩く事になったのです。

 そりゃもう面白いのが色々ありましたよ、コーヒーカップならぬ回転湯呑みとか、本家妖怪さんがキャストの妖怪屋敷とか、河童の技術を駆使して作った高速ジェットコースターとか、幻想郷の風景が楽しめる観覧車とか、ジェットコースターとかジェットコースターとかジェットコースターとか…………


「……そんなにジェットコースター気に入った?」


「うん」


「ヨカッタネ」

「ソウダネ」


 ええ、楽しかったですよ。トッテモ……








「お腹空いたなぁ」


「売店も用意してあるよ」


「ほう、メニューは?」


「らぁめん」


「……僕の部屋から拝借したとか言わないで下さいね?」


「「ギクッ」」


「…………ハハハ」


 拳打『げんこつスマッシュ(偽)』


「ふにゃっ!」

「イテッ!」


「もう……」


 まぁ楽しいなら、良いか。



 どうも、空椿です。


 この作品ですけど、大体半年と少し程度ずーっと暖めて、やっと公開に漕ぎ着けたという経歴があります。いや、遅すぎでしょう? と言われても私はハイしか言えません。い、命だけはご勘弁を……


 さてこの作品、実は当初は短編の予定でした。

 しかし書けば書くほど次へのネタが現れ、気が付けばこの通りです。長続きしても四話にしようと考えていたのですが……


「あれ、これだと終編が長すぎないか?」


 って事で、急遽いらないと判断した部分を削減。更に後日談を切り離して五部構成にしました。いやぁ私は阿呆ですなぁ!

 結局この有様になりましたが、完結という事には出来ました。多少強引ではありますが。ので、取り合えずは自分を褒めたいです。ちゃんと終わりには持っていけたので。


 それ以上の反省点があるのはご愛嬌。なんだあのストーリー構成は! なんで一話に纏められなかったんだ! 小傘可愛いよね! もっと早く公開出来ただろう! ぬえも可愛いですよ! というか何で途中でぬえ出てきた! 等々……あれ?ちょっとおかしい?



 はてさて。では問題の『沖傘リト』について言わせて頂きましょう。


 この沖傘リト君は実在の人物が元になっています。

 誰なのかという事ですが、彼は『ニコニコ生放送』の方で放送主をやっている『リド』さんが元です。作中で愛称になっていますね。

 主にメイプルストーリーの放送をしていますが、髪型等に拘って小傘を作るという小傘大好きさんです。性格は……概ね『沖傘リト』と同じです。あくまで私から見た感じですけど……

 全体的にのんびりした雰囲気で居させてもらっています。そんな感じの生放送なので、興味が出たのなら是非行ってあげて下さいな~(co1153499)


 と、露骨な宣伝をさせて頂いた所で、これにて締めとさせて頂きます。

 ではお疲れ様でした! またねっ!

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