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賑やかなパーティー会場をぬけ
ダリアはひとり、王城の庭園に来ていた。
どうにも人混みは苦手だ。
普段、
静かな森や川の近くで薬草採取をしているダリアにとって
たくさんの人が集まるところには慣れていない。
それにどうせいたところで、
結局みんな自分の"お相手探し"を始める。
まぁ、そういった目的で参加してる人が多いんだろうけど。
マリーのように、王子様みたいな人と結婚したい!
なんてことは思わないが、
ゆくゆくはダリアも結婚する時がくるだろう。
…………くると信じたい。
でも相手は王子様じゃなくていい。
ダリアの仕事に理解を示してくれる、
優しい人に出会えればそれでいい。
そんなことを思いながら庭園を歩いていると、
「…………様っ!」
女性の声が聞こえる。
誰かに話しかけているのだろうか?
せっかく人がいないと思ってきたのに、
まさかこんなところでも
"お相手探し"をしているのだろうか。
そーっとダリアが来た道を引き返そうとしたとき
「リージュ様!お待ちください!」
耳にとびこんできた名前は
さっきマリーから教えてもらった王弟殿下の名前だった。
(…………王弟殿下の逢引き現場に出くわすなんて。)
マリーが知ったら悲しむだろうなぁ、と思いつつ
ダリアはその場に身を隠すことにした。
なにかの拍子に音でも立てれば、
自分がここにいることがバレてしまう。
………じっとしているのが正解だ。
「どうしてです?
わたくしと一緒にいてくださるのではなかったのですか?!」
「……………………。」
「あなた様と一緒になれると思って
ずっと待っていたのに………
わたくしのことが好きではなかったのですか?!」
………なんてこった、修羅場じゃん。
王弟殿下、遊びに留学にいってたのかな。
王族なんだから、女性関係は気をつけないと……
「…………いつ、好きって言った?」
聞き耳を立てていたダリアに
聞き覚えのある声が聞こえてくる。
(この声………!?)
「いつ俺が、キミを好きだと言ったの?
ただの友人として接してたのに
………なに勘違いしてんの?」
「勘違い……?」
「それにキミ、国に婚約者がいるんでしょ?
早く帰ってその人と結婚したほうがいいよ。
………悪いけど、キミとどうにかなるつもりはない。」
バシっと言い切った王弟殿下の言葉に
言われたご令嬢は泣き出し、走り去っていった。
………なんてところに出くわしたんだ………
早々にここから立ち去らねば……………
そう思ったダリアは、
静かに腰を上げ、そろりそろりと屈んだまま歩き出す。
「…………そこにいるの、バレてるよ?」
「!!」
「隠れてないで出ておいで?
…………殺したりしないから。」
バレてる!!
………しかも、物騒なことを言われた気がする。
このまま隠れてたら、わたしは殺されるんだろうか。
それはちょっと、いや大変困る!
………そっと立ち上がり、
ダリアは下を向いたまま言った。
「何も見ておりません、聞いてもおりません。
ここにいたことすら記憶から消すとお約束します。
ですからこのまま………。」
どうか行かせてください、と言おうとしたダリアに
「…………キミ、あのときの?」
王弟殿下が驚いたような声で言った。
おそるおそる顔を上げ、王弟殿下を見たダリアは
(…………あのときの酔っぱらいだ。)
そっくりさんでは無かったか………と、絶望した。




