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祝賀会、当日の夜。
「ダリア!」
そう声をかけてきたのは、
昔からの友人のマリーだ。
「よかった!
ちゃんとドレスを着てきたわね。」
「………何を着てくると思ってたの。」
マリーは、
ダリアが薬草バカだということを知っている。
幼い頃から一緒に遊んでいても
あ、あれは腹痛に効く薬草なの!
あ、あれは捻挫した時に湿布がわりになるよ!
と、薬草のことばかりマリーに教えてくる。
時には危ないところに生えている薬草を2人で取りに行き、
お互い両親にこっぴどく叱られたこともある。
「白衣でも着てくるんじゃないと思って。」
「さすがにそんなことしないよ!」
いや、ダリアならありえる。
………だってダリアは、着飾るのが嫌いだから。
ミルクティー色の髪にぱっちりとした瞳、
色も白く、そしてなによりその童顔が
ある一定の男子には大人気なのだ。
そのせいで色恋沙汰に巻き込まれるのを
ダリアは心底うんざりしていた。
よそ見する男なんてロクなもんじゃない、
そう言ってよくマリーに愚痴っている。
(この子にもいつか、王子様が現れるのかしら?)
マリーはダリアを見てクスクス笑う。
「な、なに?
やっぱり似合ってない?」
「そんなことない、とっても似合ってるわ。」
今日ダリアが着ているのは
首元から袖口にかけて総レースがあしらわれた、
紺色のハイネックドレスだ。
もちろん自分で選んではいない、母のチョイスだ。
「マリーも似合ってるよ、そのピンクのドレス。
………今日こそ王子様を見つけられるといいね。」
いじわるに笑うダリアに
「本物の王子様を見に来たのよ!」
マリーはそう笑ってみせた。
………まさか、
あんなことになるとはつゆしらず。




