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パーティーから一夜が明け
ダリアは王城にいた。
昨日のパーティーがお開きになった後、
ダリアはファティールの家に帰ろうとしたのだが
「え?なんで帰るの?」
と、リージュに止められた。
「いや、帰りますけど………。」
いくら婚約者したとはいえ、
わたしはまだダリア・"ファティール"だし
帰る家はここではなく、ファティールの屋敷だ。
「え?だめでしょ。」
「え?なんでですか?」
押し問答を続ける2人に、国王陛下が仲裁に入る。
「リージュとはもちろん別の部屋を用意するから、
今日は城に泊まっていったらどうだ?
ファティールにはこちらから連絡をいれておこう。」
「……………承知しました。」
国王陛下からの提案とあらば
嫌ですとは言いにくい…………
まぁ明日は仕事も休みの日だし
お言葉に甘えさせてもらおう。
………というわけで、
パーティーから一夜が明けた今、ダリアは城にいるのだ。
「おはようございます、ダリア様。」
「………お、おはようございます。」
すごく上品なメイドさんがいる……
うちにいるアンリとは全然違う……
もともとファティール家に仕える使用人たちは
主人一家と距離が近い。
一緒におやつを食べたりするし
ダリアの薬草採取にも付き合ってくれる。
両親や兄がいない夜などは、
ダリアは使用人たちと夕食を共にしている。
「リージュ王弟殿下様より
ダリア様の支度が整いましたら
食堂にご案内するように申し付かっております。」
「さ、さようでございますか………。」
こっちまでつられて丁寧な話し方になってしまう。
自由奔放に生きてきた自分に
こんな丁寧な生活がこの先できるのだろうか…………
それではご案内いたします、と
とても上品なメイドに案内されながら
ダリアは食堂へと向かった。
「おはよう、ダリア。」
そう言って出迎えてくれたリージュに
「おはようございます、王弟殿下。」
ダリアは挨拶をした。
…………したのだが、
「…………………。」
じーっとリージュに見つめられ
え?朝の挨拶っておはようじゃないの?
王室ともなると、朝の挨拶も違うの?
「その呼び方、
いいかげんなんとかならない?」
「………呼び方、ですか?」
"王弟殿下"と呼ばれるのが
どうやらこの人は気に食わないらしい。
べつに間違ってはいないと思うんだけど。
「…………リージュ様。」
「!」
「朝の挨拶は、おはようでいいんですよね?」
ダリアはニッコリ笑って聞いてやった。




