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パーティー会場の階段の踊り場に

国王夫妻、王弟殿下とその婚約者が顔を出すと

パーティーに来ていた者たちから声があがる。


「おめでとうございます!王弟殿下!」

「おめでとうございます!!」


………お祝いの言葉をかけてもらっているのに

どうしてこうも嬉しい気持ちになれないのか。


それに隣に立つこの人、

さっきからずっと手を繋いだまま離してくれない。

子供じゃあるまいし、

それになんだかこっぱずかしいから離してほしい。


「今日は我が弟リージュの婚約披露パーティーだ。

 皆の者も楽しんでいってくれ!」


国王陛下の言葉に、さらに歓声があがる。


中にはハンカチを握りしめて、

ダリアを睨んでいるご令嬢もいるが…………


また自分の知らないところで恨まれている。

わたしだって好きでこうなったんじゃないわ!!

と、ダリアは心の中で抗議する。


「ダリアも友達のところに行く?」

「!

 いいんですか?」

「いいよ、行っておいで。」


そう言ってリージュは、ダリアから手を離す。


「そのかわり、ちゃんと戻って来てね。」

「わ、わかってます!」


それでは、と声をかけ

ダリアはマリーや友人の姿を目で探しながら

その場から離れた。


「………………。」


ダリアから離した自分の手を、

名残惜しそうに見るリージュを残して。




「ダリア!!」


数人の友人と一緒にいたマリーが

きょろきょろしているダリアを見つけて声をかける。


「マリー!みんなも!」


きゃあきゃあと話しかけてくる友人達を見て、

やっとダリアは気を抜くことができた。


「おめでとう、ダリア!」

「薬草マニアだったダリアが

 まさかあんな"大物"を捕まえるなんて!」

「幸せ者ねーっ、ダリアは!」


矢継ぎ早にかけられる言葉に、

ダリアはそんな素敵なモノじゃないと返す。


「もー!!テレちゃって!!」

「わたしもダリアみたいに

 王子様とお近づきになれないかしら。」

「ここにいるかもしれないわよ?」


そう言って友人達は、

若い男性たちが集まっているテーブルを見ている。


「ちょっと行ってみる?」

「ダリアにあやかって、

 もしかしたら私たちも婚約できるかもよ?」

「向こうもさっきからこっちを見てる気がするし!」


よし!行ってみよう!と、

数人の友人たちがテーブルに向かって歩いていく。


「マリーは行かなくていいの?」

「………タイプじゃないのよねぇ。」


テーブルに集まっている男性たちは

ダリア達と同じ年頃のように見える。

このパーティーに参加するぐらいだから、

いいとこの貴族のご子息なのは間違いない。


「………あいかわらず、

 マッチョでムキムキな人が好きなのね。」


マリーの好きなタイプは、昔っから変わらない。

筋肉隆々の、ムキムキマッチョな男性が好みなのだ。


「ダリアのお父様みたいな年上の男性、

 どっかに落ちてないかしら?」


確かに父は、大男のムキムキだ。

幼い頃からファティール家に遊びに来ていたマリーは

父を見るたびに目を輝かせていた。

………かっこいい………と目をハートにして。


そのおかげか、

マリーはダリアの母、リリアンヌと話が合う。

どうやら好きなタイプが同じのようだ。


「王弟殿下は細マッチョよね。」

「は?」

「細身だけど、

 ついてるとこにはちゃんと筋肉がついてる。」

「そ、そうなの?」


確かに、見た目より力は強いらしい。

ダリアに巻きついて来たときも、

どんなに力を込めてもびくともしなかった。

筋肉マニアのマリーには、どうやらわかるらしい。


「少しクセっ毛の、ホワイトブロンドの髪。

 背はすらっと高く、

 目元のホクロがセクシーな見目麗しき王子様。」

「きゅ、急になに?」

「あんたの婚約者のことよ。

 また"いらない敵"が増えたわね、ダリア。」


ふと少し先を見れば、

リージュも誰かと話しているところが目に入った。

リージュの友人だろうか?

若い男性に混じって、数人のご令嬢もいる。


「………まぁ、おモテになるみたいだから?」

「もう!自分の婚約者でしょ?

 ちゃんと捕まえておかないと、

 ハイエナみたいなご令嬢たちに盗られちゃうわよ?」

「………ハイエナねぇ………。」


あれはどう見ても

ハイエナを"捕食する方"でしょ?

………あの蛇みたいな目で。



そんなことを話していたダリアとマリーに



「お話よろしいでしょうか?」



と、声をかけてきた人がいた。





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