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王妃様と連れ立って
王弟殿下のもとに向かおうとしていたダリアに
「シェリー?」
聞こえてきたのは、王妃様を呼ぶ陛下の声だった。
王妃様は"シェリル"という名前なのだが、
国王は"シェリー"と愛称で呼ぶのだ。
「陛下!
リージュ様もご一緒ですのね?」
そう、国王陛下のとなりには
ダリアが話をしなければいけない相手が立っている。
「先ほどはリージュがすまなかった、ダリア。
………もしよければ、リージュと話を。」
「そうなんです、陛下。
わたしも王弟殿下とお話がしたくて探しておりました。」
「!」
「………少しよろしいですか?王弟殿下。」
そう言ってダリアは、
リージュに話し合いを申し込んだのだった。
「………大丈夫だろうか。」
「?………お二人のことですか?」
「またリージュが暴走して、
ダリアに変な事をしなければいいが………
!もしかして
婚約の申し込みを受け入れて………。」
「お断りしようとしていますわ、ダリアさん。」
「…………そうだよな。」
「ダリアさんには
『先祖返り』のことはお話していないのですか?」
「伝えようかとも思ったんだが………
ますますリージュを避けるのではないかと思ってな。」
「………少しだけダリアさんとお話をしましたが
とてもしっかりした方だと思いますわ。
自分の意見や気になることは
はっきりとお伝えになられるし、
お聞きになられる、
王弟の婚約者には適任だと思います。
…………ただダリアさんはどうやら
恋愛事にはとっても疎いようですわね。」
「………‥やっぱり。」
「ですから余計に可愛らしくみえるのだと思いますよ?
リージュ様がすべて初めての相手になるのならば
余計に『執着心』は増すはずです。」
「シェリー………
あいかわらず人間観察が得意だな………。」
「見たまま、感じたことを言っているだけですわ。
………ダリアさんは
婚約者になる気はないとおっしゃっていましたが
ですがわたくしも…………
できればあの方と、義姉妹になりたいですわ。」




