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そして翌日、

ダリアは王城の入り口に立っていた。



「………………はぁぁぁ。」



でっかいため息をつきながら。


なんとなくだが、自分を呼び出した相手は予想がつく。

やたらニコニコしながら話しかけてくる

あの王弟殿下だろう。

いったい何の用があるというのだ………。


「…………はぁぁぁ。」


もう一度ため息をついて、

ダリアは重い足取りで城門をくぐったのだった。




「ダリア!」


通された玉座でカーテシーをするなり、

自分の名前を嬉しそうに呼ぶ者がいる。


「ご、ごきげんよう………王弟殿下。」


ダリアはなんとか笑顔をつくり挨拶をする。

すこし、いやだいぶ引き攣っていたかもしれないが。


今にもダリアに飛びついてきそうな王弟殿下を

横で抑えている人がいる、国王陛下だ。


「国王陛下におかれましても………。」

「畏まらなくてもよい。

 こちらこそ、急に呼び出してすまなかったな。」

「いえ、とんでもございません。」


ほんとは嫌でした、

来なくていいなら来たくありませんでした。


「………なんで兄上までいるの?」

「当たり前だろうが!

 お前が何をしでかすかわからないからだ!」

「………………。」


目の前で兄弟喧嘩が始まりそうなんだけど………

そんなものを見るためにわたしは呼ばれたのか?

2人で勝手にやっててほしい………


「すまないな、ダリア。

 実は今日はそなたに話が………。」


「結婚しよ、ダリア。」


「………………。」


「だからお前は………っ!!」


少し見上げた先の玉座で、

2人がまた何やら言い合いを始めた。



………いま、なんて言った?

結婚?結婚しよって言った?

わたしが?だれと?………王弟殿下と?


「ダリア。………実はそなたに

 婚約の申し入れをしたいのだ、リージュが。」

「…………な、」


なんだって?

婚約の申し入れ?わたしに?この人が?


「あ、あの?

 よく話がわからないのですが……。」

「………そうだろうな。

 婚約などと急に言われても、

 そなたとリージュは数回しか会ったことがない、

 会話すらまともにしたことのない間柄のはずだ。


 そんな相手に急に婚約しようと言われても……。」

「そんなの婚約してからでもできるでしょ?

 婚約して、毎日会って、毎日喋って、

 それですぐ結婚しよ?」


………こ、怖っ!!

この人、考え方が極端すぎて怖っ!!


「………このように

 あまりにも極端なことばかり言うものだから

 わたしも悩んでな………


 それならば

 まずはダリアに婚約の申し込みをして

 それを承諾してもらってから

 ゆっくり仲を深めても遅くはないと

 リージュに言ったのだ。」

「ゆ、ゆっくり……仲を深める、ですか?」



嫌だ嫌だ嫌だ!!

ゆっくりだろうと早急だろうと

この人と仲を深めるなんて嫌だ!無理!!



「こ、

 国王陛下……王弟殿下………

 大変申し訳ございませんが…………

 わたしにはその申し入れを受けることは………。」


無理でございます、と返事をしようとしたダリアに


「断らないよね?ダリア。」


カツカツと玉座の階段から降りてきたリージュが

ダリアの目の前に降り立つ。

ダリアよりもリージュはだいぶ背が高い、

そのリージュが目の前に立ち、ダリアを見下ろす。


「………ダリアがいい、

 ダリアじゃないとダメなんだよ………。」

「な、なんで………。」


そんな捨てられた子猫みたいな目で見ないでよ!!

わたし、あなたのことなんてつい最近まで知らなかったし

どこでわたしを気にいったの?!

そんな要素、どこにもなかったじゃない!!


頭の中でグルグル回る思考と、ダリアは戦っていた。


なんで?なんで?

どうしてこんなことになったの?

やっぱりあの時、声をかけたのが間違いだった……!!


「……で、殿下?

 きっと殿下のそのお気持ちは気の迷いです!

 わたしなんかと婚約されたら

 後悔なさるのは殿下のほうです!


 もっと素敵な方がたくさんいらっしゃいます!

 殿下ならよりどりみどり選びたい放題です!」


早口で捲し立てるダリアに

リージュは表情を無にしたまま見つめる。

………な、なんとか言ってくれ。

そしてさっきの発言は無かったことにしてくれ!!


「…………いやだね。」


そうポツリとつぶやいて

リージュはダリアを抱きしめた。


「リージュ!!!」


がばっと玉座から国王が立ち上がり、

早足でこちらに向かって来ようとしている。


「………無理だよ、離せない。

 ダリアは俺の『モノ』になるの。

 ………運命だよ、ダリア。」



耳元でささやかれて、

ダリアは考えるのをやめた。

………なにも考えられないほど

ダリアの思考はストップしてしまったのだった。
















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