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「……………うーん。」



リージュは悩んでいた。

………それはもちろん、ダリアのことだ。


森で初めて会った時から、

リージュはダリアが気になって仕方なかった。


自分の"宿命"というべきか、

ダリアをなんとしてでも手に入れたかった。

まだ2回しか会ったことのない少女に

ここまでの執着をみせることになるとは。



………自分の血のせいか。



「…………リージュ。」

「…………………。」

「返事をしなさい、リージュ。」


兄に何度も名前を呼ばれ

やっとリージュは頭を上げた。


「………やっぱり、

 『先祖返り』が出てるんだな?」

「………………。」

「だからダリアのことばかり聞くんだろう?」



『先祖返り』………

この国の紋章には、蛇が使われている。

なぜ蛇かといえば、

この国は建国時、蛇の加護を受けたのだという。

だがその加護の代償に、

一人の少女を差し出すことになった。

………蛇が愛した少女を。


それが、この国の建国時のはなし。

それがすべて本当ではないだろうが、

蛇との関係は少なからずあるらしい。

そのためか、その後に生まれる王家の子孫たちに

『先祖返り』というものが現れるようになった。



………蛇のように、一度狙った獲物は巻きついて逃さない

『執着』を強く持つ者が。


そしてその『執着』を見つめる瞳には

縦に光る線が見えるのだ、まるで蛇の目ように。


そしてその『先祖返り』がリージュだった。


代々『先祖返り』が出た者は、何かに執着した。

宝石、金、骨董品や美術品など人によって違うが、

どうやらリージュにとってのそれは、ダリアのようだ。

そしてその執着心は、ある日突然あらわれる。


リージュとディアスの両親である前国王と王妃は、

リージュを留学というかたちで国から出すことにした。

『先祖返り』があらわれた者は

その『執着』を見つけられないと

早死にしてしまう者が多かったからだ。


………ソレがないと、

生きる意味がないといわんばかりに。


だからリージュにとっての執着を見つけさせる為に

さまざまな国を見て回って来いと言ったのだ。

まさか自国にあるとは、

両親も思ってもいなかっただろうが。


「たしかに初めてダリアに会った時から

 すごく気になったんだよねぇ…………

 あの髪も、目も、手も、足も、

 全部自分のものにして自分だけの………。」

「わかったからやめなさい!!

 ………ダリアは物じゃない、人だ。

 いくらお前の執着がダリアだとしても

 無理矢理はダメだ!!」

「じゃあなに?

 兄上は俺に死ねって言ってんの?

 『先祖返り』が執着を手に入れられないと

 早死にするのは兄上だって知ってんでしょ?


 ………ダリアが手に入らないと死ぬよ、俺。」

「なんでそうなるんだ!!

 ………少しずつ距離を縮めていけばいいだろう?

 いきなり執着を見せて

 はい婚約、はい結婚、

 そんな簡単にいくと思ってるのか?」

「いかなかったら監禁すれば………。」

「それがダメだって言ってるだろぉ?!」




兄と弟の話し合いは、深夜にまでおよんだ。






 

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