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王城の奥、

木々に囲まれたそこに、薬剤室はある。


王家の健康を守るため

駐在している医師はもちろんいるが、

薬はダリアたち薬剤師が作ることになっている。

ほかにも、薬や治療に使う包帯など

定期的に薬剤師がチェックし、足りなければ届ける。


だから在庫管理に王城に行くのは

べつに特別なことではない、仕事の1つだ。



「おや、

 今日はいつもの子じゃなくてダリアがきたのかい?」


そう言って声をかけてくれたのは

王家お抱えの医師、クレイグ先生だ。


「お久しぶりです、クレイグ先生。」


ダリアは頭をペコリと下げながら挨拶をした。

先生とは幼い頃の付き合いで

ダリアの父の友人でもある。


「元気そうでよかったよ。

 仕事には慣れたかい?薬草好きのダリアには

 うってつけの職場だろう?」

「はい、毎日楽しいです!」


幼い頃から家業のせいか

薬草と関わることが多かったダリアに

きっとキミなら立派な薬剤師になれるよ、と

優しい声をかけてくれたのがクレイグ先生だった。


「そうか、そうか。

 いつかダリアが

 王家お抱えの薬剤師になってくれるのを

 楽しみにしてるよ。」

「そ、それはちょっと………。」


ダリアたちのように研究所にいる薬剤師とはべつに、

王城に駐在している薬剤師もいる。

王家の方に薬を処方したり、服薬指導や健康管理など

様々な仕事をこなしているエリートだ。


「わたしは今のままでもいいです。

 王家お抱えになったら、

 自由に外に出られなくなりますから。」


そう言ってダリアは笑った。


「そうかい?ダリアもグレンと同じことを言うんだねぇ。

 2人が王城に来てくれれば、わたしも嬉しいんだけど。」


グレンとはダリアの父のことだ。

父もダリアに負けず薬草マニアだが

王城のお抱えになることは拒否している。

理由もやはりダリアと同じで、

王家に縛られるのが嫌だからだろう。


またグレンに遊びに行くと伝えてくれ、と言って

クレイグ先生が出て行くと


………さて、わたしも仕事しますか。



よし!と気合をいれて、ダリアは仕事に取り掛かった。






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