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【書籍化&コミカライズ】双子の妹に殺された姉、二度目の人生は初恋のイケおじ王弟にフルベットします!  作者: 黒猫ている
3章:策謀の王都

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53/56

52:王太子の婚約者は囁く

本日、小説の発売日です!!

https://cnovel.bushiroad-works.com/novel/hatukoifullbet_1/


1巻には第一章のエピソードに加え、

・ディアナ&コーデリア幼少時の誘拐事件

・アラン青年期

・転生前の悪夢

上記を書き下ろしで収録しています。

憂先生の素敵な装画も、どうかお見逃しなく。


コミカライズ版とあわせ、どうぞよろしくお願いします!

「……どういう意味だ」


アランの声は低く、凄味を帯びていた。

華やかな庭園が、今だけ緊張感に包まれる。

歴戦の勇士の放つ圧を真っ正面から受け止め、なおもクライドはじっとアランを見据えていた。


「そのままの意味でございます」

「場合によっては、その発言は見過ごせぬぞ」


アランの言葉にも、クライドが怯む様子はない。


「ローレンス殿下は、自身に従わぬ者に圧力を掛けている。その最大の被害者が、王弟殿下──貴方だと思っておりましたが」


アランの端正な眉が、僅かに歪む。

王家の圧力によって、手足を封じられている──そんなことは、誰に言われるまでもなく、アランが一番よく理解していた。


「それを、貴殿が言うのか。将来の義弟になる相手ではないか」

「なればこそ」


ふ、とクライドの顔に自嘲気味な笑みが浮かぶ。


「妹を託すに足る相手かどうかは、慎重に見極めねばなりません」


今度は、クライドの表情をアランが窺う。


「して、結論は出たのか?」

「その結論が同じものであるか、殿下にお尋ねした次第です」


本心は口にせぬままに、互いの出方を待つ。

どちらともなく、強張っていた表情が和らいだ。


「貴殿がそこまで妹思いとは、知らなかった」

「僕も、王弟殿下がそこまで夫人を大事になさっているとは、思いませんでした」


決して、否定はしない。

相手を不敬と問い詰めることもしない。

その事実こそが、二人の考えを如実に表していた。




一方、ディアナはケイリーに案内されて、色とりどりの花が咲き乱れる温室の中に居た。


「流石は、自慢の温室ですね」

「気に入っていただけたようで、なによりです」


噎せ返るような花の香りに包まれて、ディアナが瞳を閉じる。

二人に付き従った護衛騎士達は、温室の外に立っている。

二人だけの空間で、ケイリーが僅かに声を潜めた。


「時に、コーデリア様はお元気ですか?」

「え?」


ディアナが、一瞬呆気にとられる。

ケイリーの口からコーデリアの名が出てくるとは、予想外だった。

王太子ローレンスに付き纏うコーデリアは、婚約者のケイリーにとって、いわば邪魔者ではないか──そんな先入観に、彼女も囚われていた。


「最近は、私も別邸で過ごしておりますので……」

「そうですか……」


返答を濁しながらも、ディアナの紫色の瞳が、じっとケイリーの表情を観察する。

物憂げな眼差しは、本気でコーデリアの身を案じているように思えた。


未来の王妃となることを望まれたケイリー。

彼女は真に恋敵の身を案じているのか、それとも──。


不意にケイリーが顔を上げ、視線がディアナと真っ直ぐ交差する。


「ディアナ様……貴女は、もう、お目覚めなのですか?」

「……目覚め? とは、一体……」


ケイリーの言葉に戸惑い、ディアナが言葉を返す。

そんなディアナの反応に、ケイリーの美しい顔には、僅かな落胆の色が浮かんでいた。


「いえ、戯れを申しました。忘れてくださいませ」


次の瞬間には、にこやかな貴人の微笑みで彩られていた。

一瞬だけ見せた表情、それが何を意味するのか──今のディアナに、推し量る術はない。




エルドレッド家から、別邸に戻る馬車の中。

アラン、ディアナ共に言葉少なながら、抱えた不安をひた隠すように、静かに寄り添っていた──。

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