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僕と魔術師と究極者  作者: かずひこ
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第五話「人為的魔力暴走」D

海斗は恐る恐る背後を見る。

エリスの胸の鼓動が高鳴り、堪えるように涙袋に水滴が溜まっている。

そして背後に居たのは……。



「でーたーぞー!!」

「キャァァァァァァァァァ!! 」

「……は?」



懐中電灯の光彩が下から上へ、その顔がおぞましく現れれば海斗の平静にエリスの悲鳴が。

耳を塞ぎたくなるような寧ろ女性オペラ歌手のような、凄まじい音響が廊下中に響きわたっている。



「アアアアアアアアアァァァァァァ!! 」

「うぉぉぉぉっっ!?」


それに釣られ背後から裏返った男の声。

流石の海斗も意表も突かれたように腰を抜かす。

敵なのか味方なのかもわからない。

ただ懐中電灯の光と男の声、エリスに確認を取ろうと見回すと。



「ちょ、エリスっ」



そこにエリスの姿が消えている。

とっさに転移魔術式を発動したのか、そんな言葉が頭の中に浮かんだ頃。

闇に包まれた黒い人影を呆然と見上げる。

戦闘態勢に構えようとしても腰を抜かした所で、不利な状況にたたされている。

そして護身用の料理包丁もさっきの意表によって暗闇のどこかに紛れ去っていた。

何重にも着衣した防寒用のジャケットの中から、着すぎたせいで新陳代謝が回ったのか、

それとも恐怖心によるものなのか、あまり感触の良くない汗が流れていた。

そして、黒い人影が前かがみに海斗の方へ迫ると……。



「ったく、何だよあの転校生。俺を見た途端喘ぎやがって。」



よく聞けば聞き慣れた声、海斗にではなく近くの懐中電灯に手が伸びると。



「はぁぁぁぁぁ?!」

「ったくよう。こんな寒い時期に肝試しかよ? いちゃいちゃしやがって、しかも女に逃げられてやんの。」

「何でお前が此処に居るんだよ……!? 氷川!!」



懐中電灯を取り出した男の顔を再確認。

警備服を着た氷川淳教員。



「そりゃぁ、お互い様だろ。俺はなぁ……理科室の人体模型に抱き枕カバーをかけてだな。」

「てめぇの頭の中は結局エロしかねぇかよ!! 」

「ちなみに今のは杉守に頼まれた事でな。明日、愛しの人体模型を使って……。」

「おい、嘘も大概にしろ。流石に連司はそこまで墜ちていないぞ!!」

「……まぁ冗談は止して、担当が回ってきたから警備してるのよ。俺は空手柔道ムエタイとかあらゆる武道を嗜んでるから警備員の補佐に最適だろうって。」



懐中電灯をクルクル回しながらと辺りを見回す。



「そういえば、彼女は?」


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