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僕と魔術師と究極者  作者: かずひこ
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第五話「人為的魔力暴走」B

「警備員ならお前くらい簡単に突破出来るよな。」

「ええ。」



エリスの体は、風船のように軽いのだろうか。

脚を動かしただけで2メートルはある校門を難なく飛び越えていた。

感嘆の声を上げたいところだが、そんな猶予はそこまで無い。

校門に手を伸ばし腕力の力でよじ登り、校内へ侵入。



「で、警備兵の突破だな。」

「正直、眼中に無いですわね。」

「酷い言いようだな。」



眼中にないという言葉を聞けば、早速エリスから異形の紋章、魔術式が発生して。

エリスが海斗の手を繋ぎ、景色はいつの間にか薄暗い廊下の方へと。



「そうか……こういう時に転移魔術が役に立つ訳だな。」

「それにしても驚いたぞ、手を握るなら最初に言えば言い物を……。」



恥ずかしがるように、海斗は頬をかくけれど。

エリスの返事はない。しかし、手にはなま暖かい手の感触が続いている。

横に返ると硬直したエリス、蛇に睨まれたように石の如く固まっていて。

海斗は怪訝な目を向けて訪ねた。



「エーリスさんっ」



返事がない。固まっている。

しかし、返事の変わりに手元から汗のような湿っぽい感触が。



「エーリス・フォン・シュトーレゼ、エリス・フォン・シュトレーゼ。」

「…………。」

「マイケル・フォン・シュトレーゼ。というか・早く行こうぜ・シュトレーゼ」

「…………。」



返事がないようだ。寧ろ手の湿っぽさは増すばかりで。

しかし、返事がないなら都合の良い機会では無いかと海斗の思考が回る。

二度ことは三度在るとも言う此までの鬱憤を晴らそうと、



「サドチック・貧乳・シュトレ……」

「どうてぇぇぇぇぇい!! 聞こえてるわよっ!!」



三度目の正直。

途轍もない握力で海斗の右手で握りしめ。ボンと、鈍い音が複数炸裂した。

まだ始まっても居ないのに、RPG世界のダンジョンに入ったばかりなのに、そこにはボス級の般若が現れている。

複数の打撲を受け、童貞と決めつけられ。そして結果的には体力的にも精神的にも瀕死状態の主人公が呆然と佇んでいた。

自分の所業も含め、こんなんで先に進めるのか、と。



「とりあえず、い、い、いくわよっ。」

「はぁ……。先ずは職員室じゃね。」



言葉を何度も噛みながらエリスは震わせ、海斗は静かに言った。



「しょしょしょしょしょ、職員室ぅぅぅ!?」

「体育館の扉を開ける鍵が必要だろ?氷川の鍵を借りたときも職員室からじゃないか。」


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