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僕と魔術師と究極者  作者: かずひこ
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第五話『人為的魔力暴発』

その日の夜、公立高等『帝律高校』では一人の少女が窓辺から差す綺麗な淡月を見上げていた。

そこには民衆の喧噪など犇めきは無く、ただ静寂と季節特有の寒風が流れている。

そして、もう一つ。黄土色の円周450m程の広大なグラウンドを遮る懐中電灯の光彩。

それを女は窓辺からそれを見下ろした。視界からも認識からも豆粒のように小さな存在。

この夜になれば帝律学園内に数少ない人員の警備員が配置される。

以前、窓ガラスが割られたという事例が発生してから警備が強化されたと言われている。

しかし、人員不足か予算不足なのか警備員の中では時々日直のように担当が変わるが教師も含まれているらしい。


少女は深くため息を吐いた。肌を凍てつかせる風は何処までそのため息を運んでくれるのだろうか。



「今日が……最後の日……。」



蒼と紅、双眸の瞳を細め揺らりとその時が来るのを待った。







転移時間まで一時間を切る。準備は万全……寧ろ万全所か青葉海斗にとっては丸腰も同然だった。

考える策は特に無くノープラン。

エリスは特有の勘違いを発生させ「ヴェーシャの光速技くらい避けられるんだから二人でなんとかなるわよね。」と。

あの時はあり得ない骨髄反射が働いたのか、それとも第六感が事前に察知したのか、どちらにせよあの時は偶発的な奇跡だと主張を重ねても、

魔法諸事情特有の不思議詭弁発言が披露され、逆に相手からの期待とその重圧が重なる羽目に。

自分も桜井や連司の為にと期待に答えようと試みたのだが、

その結果、右手に料理用のナイフ一本サングラスに複数のジャケットやタンクトップを重ねた防寒装備。

魔術師というか人殺し以前に不審者の装備だ。



「それで、次に魔術書が何処に現れるのか予測できるのかよ?」

「ええ、目干しい所が二箇所ほど……。」

「何処なんだよ、そこは。」

「あの形、法則性からしては体育館か……屋上ね。」



淡々そうに語ってみえるが、その後に海斗を見ればクスクスと笑い声が聞こえる。

まるで小馬鹿にしたような、センスが無い中年を見ているかのような、兎に角その瞳はサドとしか言いようがない。



「笑ったな!? 笑ったな!! 俺が戦力になるって期待したお前が馬鹿なんだよ!!」



大声が響かせたら、静かにしなさいとエリスが耳元で囁いてくる。

ようやく学校の門……黄土色の地面を懐中電灯の光が遮ぎっている。

外の見回り警備員。

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