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僕と魔術師と究極者  作者: かずひこ
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第四話「魔術」H

きめ細かに説明するエリスに対して海斗は感嘆な声をあげながらも、魔術に関してはアバウトに捉える。

しかし、そこで本題へ切り替わるわよ、とエリスが話を切りだしてきた。



「そして理科室で見つけた魔術書は今まで見てきたのと違って異様なのよ。」

「普通魔術書に魔力が宿ってるのは”文字”だけなんだけれど、私が見たあれは本自体に魔力が宿ってたのと同然だったわ。」

「それほど魔力の強力な魔術書って事か……。」

「強力な魔術は異例だけど、それが”転移”しているって事が不思議なのよ。」

「え?」



エリスが感じた魔力の気配は複数だった。

その複数の性質はどれも同じ、そして理科室で感じた魔術書の魔力性質も同様。

つまり、魔術書が転移をしながら気配を放っている。

もう一つ、魔力の気配が12時間毎に定期的で発生していると言うこと。

エリスは帰り道に向かいながら思考を巡らせると、



「挑発を見せかけて魔術師を絞り出す罠なんじゃないか? 定期毎に複数の場所に魔術書の魔力を発生させ、そこに現れた人間を何回も重ねて絞り込ませ顔の知らない魔術師を算出する。」

「そうすることで、情報的に相手の方が有利になるし邪魔者を探知するための自己防衛にもなる。魔力の気配が抑え、誰が魔術師か解らない状態なら尚更のことだ。」

「誘導トラップ……。成る程、賢いわね。」

「お前の話は大まかにしか理解できてないけど、俺だってこの魔法事情からはオサラバしたいんだ。伊達にただ頷いて聞いてる訳じゃねぇんだよ。」



感心したようにエリスは言うが、その言葉は立場が上であることが前提になっている。

解ってたからこそ、悪態をつくように海斗は言うと立ち止まる。

視線のすぐ先には壁が白いペンキで塗られた建造物。

塗り固まっているが所々ピースが欠けたように剥がれていて、ペンキの上からは墨のような黒い汚れががにじみ出ている。

一定間隔で距離を置かれた扉は全体的に黒く、黄色の細い線が複数引かれ、綺麗な額のように扉を彩った。

一階の右から二番目の扉に海斗の右腕は伸びた。



「着いたぞ。」



帰宅時間を報告する市役所の鐘の音はまだ響かない。

その頃に海斗とエリスはアパートに帰宅した。いつものように薄暗く殺風景な畳の景色が広がり。

居間の壁のボタンに手を伸ばし電気を付けると、エリスは卓袱台の方に腰を掛け適当に転がっていたチラシの裏とペンを拾い上げる。



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