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僕と魔術師と究極者  作者: かずひこ
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第四話『魔術』B

昼休み、その時間は曇りのせいか廊下は薄暗くて寒かった。

魔法探索で来るはずのエリスと海斗の二人。加えて学校探検という名目だと勘違いして付き添った二人の生徒。

言うまでもなく海斗の悪友、連司と桜井だ。


しかし、単に学校探検の付き添いと言うよりはそれは違っていた。

連司は「おまえだけ美少女独占して抜け駆けは卑怯だぞ」という妬みから、

桜井は「二人の邪魔をしないように杉守君を監視する」という名目で付き添っている。

その事で連司は兎も角 桜井が来てしまったと言う事実は喜ばしくなかった。

この一週間、桜井とエリスの交流は少なかったものの。

僅かな短期間であのエリスも「あの子と話すと気づかれそうで怖い」と恐れる程なのだ。


桜井の前で魔法諸事情を切り出すことは最早タブーとなっている。

珍しくも海斗とエリスの意見が合致した時だ。



「それよりも、二人は何時出会ったの?」



早速、二人の背筋が凍ったのは言うまでもない。

質問の前提「転校する前から出会った」が桜井の中で決定事項であるからだ。



「えーと何時だったかしら……ねぇ? 青葉君? 」

「はっ!? なんで俺に振るんだよ。えーと……転校する前にちょいとトラブってね。」



こういう土壇場でエリスは取り繕った表情を浮かべたまま、海斗は焦りつつも装い切れない冷静を醸し出した。

歩きながら桜井の目線が海斗に迫る。



「トラブルって?」



言及された直後に、頭の非常用スイッチを押されたかの如く、海斗はうるさい程思考を巡らせた。

桜井の火炎ついきゅうを沈静させる水が近くに無いか、と



「道に迷ってた所でバッタリ出会ったね。それ以来会話が弾んでたのさ。」

「えぇ、そうよ。うろ覚えだからよく覚えてないけどね、少し揉めたような気もしたわね」



冷静を取り戻したエリスが事の詳細を作り上げた。

恐らく揉めたというのは、昼休みに海斗を無理矢理引きずり回すという荒技を裏付けるためのでっち上げた説明だろう。

海斗へ慣れ慣れしかった理由が強調される。

自分で賢いと言ってる分、確かにそういう気回しに頭は回っていた。



「へぇ、やっぱり会ってたんだね。」



心臓を一突きされた気分が生まれた。桜井の方が一枚上手らしい。

質問の『出会っている』という前提は会っているか否かを確かめる為の罠。

それも知らず目先に食いついた二人に痛烈なダメージが入る。

やはり、敵に回したくない、と二人は思う

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