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僕と魔術師と究極者  作者: かずひこ
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第三話「日常」A

この時間の授業は些か異様で、なかなか気まずかった。


男子は盛り上がり、女子の多数は頬を真っ赤に染めながら気まずい表情を浮かべている。

無論、その中で青葉海斗はそのどちらにも該当せず、エリス・フォン・シュトレーゼは「最低」と呟きながらも、その様子は後者に該当していた。


そして、教壇の前に立つ男『氷川 淳』だ。

彼こそ、この女子と男子のジグザグなテンションの起因となった張本人である。

その後ろは際どく描写された本の表紙が複数。参考資料という名目で張られていた。


しかし、何故このような事が起きたのか。


そう、事の発端は授業開始時、氷川が教壇に入ると複数のエロ本を黒板に張り付け『保険体育の授業を行う』と言った事から始まった。無論、本は18禁指定物ではない。然し、そこにエロがあるという事実に男子の歓声は高まっていた。



無論、言うまでもなく女子はその対照的だ。

けれど氷川は理科、数学の担当の筈。授業担当は溝淵教諭が来る予定ではないのかと驚きを隠し切れない。けれど、この日に限って溝淵は風邪で休暇を取り、副担任の氷川が授業を執り行うと異例の事態を知れば、呆然よりも先に黒板の描写物に視線がいって赤面するしか無かったのだ。


起立、礼、着席が済むと授業は執り行われるが、



「もう既に別の意味で起立している奴は、ずっとし続けろ。そこで着席したら負けだ。何故ならば、それが男と言うものだからだ。」



女子が選ぶ教師にしたいランキングベストⅢの株は、早速この瞬間から暴落しつつある。

下ネタが炸裂するのだから仕方ない、純情系の桜井が困り果てた儘、頬杖をついている。一方のエリスは耐えきれないのか恥ずかしがった鬼の形相を浮かべ握った拳を震わせていた。


そして、黒板を叩きつける音が響いた。

そこには普段見せない無気力な表情が鋭く真剣な表情に変わった氷川の姿が。


端から見たら、その表情に時めく女性も少なくは無いだろう。

しかし、それが保健体育の授業の為に用いられたと考えれば苦笑い所か失笑するしか無い。


そこで早速、誰かの右手が上がっていた。

海斗はそれに視線を向けると案の定と呟いた。その目先に杉守連司は氷川に食いついていた。



「先生、なら着席するにはどうしたら良いでしょうか。」

「ふつう、着席は愛する相手に礼儀良くお辞儀をした後だろ。」

「先生、お辞儀をする相手が居ません。」

「なら、起立をしないほうが無難だ。」

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