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僕と魔術師と究極者  作者: かずひこ
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第二話『異界人』F

「そうね。これ以上は推測になるから何も言わないけど、彼らが得をしていて現界が格好の舞台だとなっていることは事実よ。」



下からにも上からにもスポットライトを浴びた世界。此だけ注目されているのにも関わらず、その脚光を浴びた一般人は本の人摘みだ。

それでも海斗のような例外を除けば、そんな諸事情に関わった人間は舞台場の脚光を浴びるどころか、血を飛び散らす羽目になっていただろう。そんなのも言いくるめて、此はスポットライトじゃなくてブラックライトも同然だった。



「そんなお前は、この世界の素っ晴らしい魔術組織の勢力に荷担してると?」



海斗は皮肉を込めてオーバーに言う。こんな諸事情に巻き込まれるのに反吐が出ていた。



「いいえ、私の対立は違うわね。」

「じゃあ、何なんだ。愉快そうに変態男と踊ったあれは……。」

「あれは、対立があったからじゃないわよ。あっちから喧嘩を売ってきたから買ったまでよ。」



ヴェーシャの事については一言で返すと、そうかい、と海斗は詰まらなそうに言った。



「最近新聞の記事で見かけた『行方不明事件』知っているかしら?」

「え……?ああ、知ってるけど」

「その八割は異界人と魔術師の戦闘に巻き込まれて死んだ一般人だと思った方が良いわ。」



確かに、此処最近行方不明事件が起きているのは事実だった。

特に海斗が住むこの町では……報道はされてないものの何人か行方不明なった事が学校での会話で持ち上げられていた。



「私が此処に来たのは、此の近辺に発生する行方不明事件があまりにも多かった事。」

「私は此処に沢山の異界人が居ると睨んで来た訳。組織の命令とかじゃなくて、私自身の単独行動でね」



その日の晩は彼女の一言で締めくくられた。


エリスの言葉を何処まで信用して良いか、海斗には解らなかった。けれど、言い分からして現状と辻褄が合うのは事実だ。

彼女が海斗を見つけた時、仲間の可能性を考慮しなかったのも独断行動を小さく裏付けているし。

また此までの行方不明事件の原因が異界人との戦闘の余波で発生したというのも納得の行く理だ。


だから、海斗は理解した。


日常の裏に潜む非日常の実態について、

そして彼女が此の町に『居座り続ける』という事も……。



キンコーンカンコーン。鐘の音が響いた時、ふと海斗の意識が蘇った。

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