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生きる

作者: 積 緋露雪

仮令、天使を(みなごろし)にしても

それが生きるに相応しい道ならば

迷はずそれを実行し、

何としても生きるのだ。

手を穢すことを厭はず

何食はぬ顔をして

平然と天使を鏖にし、

ホモ・サピエンスならばホモ・サピエンスらしく

大地に屹立し、

不敵な嗤ひをその浅黒い顔に浮かべて生きるのだ。

(なま)(ぬる)い幻想に縋り付くことは禁忌で、

神と刺し違へることでしか生き延びられぬのであれば、

迷はず神を殺し、

それでも尚、生を選ぶのが人類に課された宿命なのだ。

とはいへ、神がその御姿を隠して久しいが、

神はそれでも生きてゐて、

最後の最後に何時もへまをやらかす人類を嗤ってゐる。

さうして神に対するRessentiment(ルサンチマン)が昂じて人は人を殺す。

さうやって身を滅ぼすことにCatharsis(カタルシス)を感じる哀しい人は、

大概、自殺願望を抱いてゐて

無差別に人を殺しては、

自らの欲を満たして、

社会的な抹殺に身を委ねることで、

神を殺す疑似体験をしては悦に入る。

しかし、それは神に対する全的な敗北を意味し、

神は腹を抱へて嗤ってゐるに過ぎぬ。

さうしてへまばかりやらかす人類に

神は尚も神殺しを命じ、

それでゐて神は人殺しを暗に奨励してゐるに過ぎぬのだ。

殺人を犯したものは、神の詭計にまんまと嵌められ、

神殺しと自殺の両方を成し遂げたと大いなる勘違ひして、

(よこしま)なRessentimentのCatharsisを恍惚の態で味はひ、

その罪として無残な自死を甘受するのだ。

さうして、人類は何時も神の気紛れに翻弄されながら、

虫けらの如く殺されることで、神の人類に対するRessentimentを晴らしてゐる。



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