6話 冒険者入団試験
穴の中に入ると、ツタや草木に覆われている家がいくつもあった。
そう言えば学校で、結界は魔力という存在が確認されてから貼られたものだから、結界の外には町があったりするから歴史家達が結界外に出ることは珍しくないって聞いたな。
確かに、ここにある建物は中世の頃の建物がほとんどだった。
「じゃあ、試験の内容を説明します。これから私に付いてきてください。出現する魔物を討伐するか逃亡するかはご自由に。脱落者はサーディアを使って司令塔に連絡してください」
そう言った後、すぐにロイターさんは走り出し、遠くに行ってしまった。
「早い……」
追いかけるが、ロイターさんが早すぎて着いていくのが精一杯。
追い抜く事なんて出来る気がしない。
「クラウスじゃねえか!お前もここに?」
「ガイトさん!」
声を掛けてきたのは、昔バイトをした時の先輩、ガイト・オリスさんだった。
そういえば冒険者になるって言ってたな。
会うのは1年振りくらいか?
「お久しぶりです!」
「元気そうだな。学校はどうしたんだ?」
「飛び級制度使って卒業しました」
「マジか……」
とは言っても、転生特典と思ってるから自分では凄いとは思っていない。
忘れている所も結構あるから勉強はちゃんとしたが。
「敵襲!」
戦闘は突然始まった。
「小型4体 中型2体!」
「前方の小型2体は俺が!」
魔物がいる方へ飛び出した。
少し態勢を低くし、魔物の攻撃を回避する。
回避したらすぐに回転斬りをし、2体の魔物を同時に撃破した。
魔物は倒れ、即座にその場を離れた。
「逃げろ!」
中型1体が近くにいたことに気付かなかった。
「ヤベ……」
魔物に喰われるギリギリの所で、後ろから何かが飛んできた。
何があったのかよく分からなかったが、魔物はそれによって倒された。
「君、大丈夫?」
「他に魔物は!?……いなさそうだな。助けてくれてありがとう!」
助けてくれたのは同年代くらいの白髪の男の子だった。
「あれ?君、英雄ルークの息子さん?」
「え?何で分かったの?」
「やっぱそうなんだ。昔テレビで見たことあって」
4年前のことを覚えてるとは。
……なんかちょっと恥ずかしい。
「同じくらいの年に見えるけど、何歳?」
「14歳!俺はクラウス・アレリウス!よろしく!
「同い年か。僕はカイル ……エルライト。よろしく」
「よろしくねカイル君!頑張ろうね!」
「カイルでいいよ。君付けなのは慣れてないし」
「……分かった!俺も呼び捨てで大丈夫だよ」
「ありがとう」
冒険者ではパーティーで行動する人の方が多い。
今後のことを考えると、仲間は多い方が良い。
「カイルはどこから来たの?」
「ああ、ベルフェルトから来たんだ」
「ベルフェルトか~。……え?」
ベルフェルトは昔からずっと鎖国状態のはず。
独自の結界を貼るくらい科学技術がかなり発展してる国。
確か結界は、神ゼウスが残した技術の1つで、未だに謎が多いらしい。
そう考えると凄い国だ。
けど外交などは一切なし、結界の影響で外からじゃどうなっているか分からない国。
だからベルフェルトは孤独の国だとか言われているけど。
「ベルフェルトって外側からじゃ入れないけど、外に行くには問題無いの?」
「ううん。逃げ出してきた」
「いいのそれ?」
「知らない。大丈夫なんじゃないかな?」
大丈夫なのかな~?
「でさ、さっきから聞いていいか分からなかったけどさ、いい?」
「いいけど、何?」
「カイル、浮いてない?」
カイルは地面からほんの少し浮いていて、滑るような感じで移動していた。
こんなこと現実とは思えないのに、当然のように移動してたから聞いても良いか悩んだ。
「ああ、僕は魔術専門だからね。クラウスも練習すればできると思うよ」
「できるかぁっ!」
「ん~周囲にある魔力を体内に取り込んで、体全体にあるエネルギーを圧縮して手とか足とかに移動させるイメージ。手にエネルギーを移動させたらそのエネルギーを音とか光、電気とかに変換するのを想像して。魔法なんて全部イメージで何とかなるから。ほら、こんな風に」
「????」
「じゃあこれはどう?」
カイルはそう言いながら指先に炎を作り出した。
よく分からないが、イメージで何とかなるんだよな?
カイルがやったみたいに指先に炎を出してみよう。
体にあるエネルギーを圧縮、肩から手に、手から指先に移動させた後、エネルギーを炎に変換する……
「あっ!できた!」
「ね、簡単でしょ?」
「俺は無理そうだぞ」
「俺も無理だわ」
「私も」
さっきから呆気に取られていたガイトさん含め沢山の人達が話しかけてきた。
「魔術は人によっては向き不向きがあるから」
「要練習だな……」
一応これでも試験中だから走りながらも他の人達と話しをする。
なんだかさっきまでの緊張が嘘みたいだ。
「ホイルアの人達以外にも一応そのスーツで魔術を使うことが出来るんだっけ?」
「説明書にはそう書いてあったね。ホイルア人の研究の末に出来た特殊スーツって」
「つっても、君みたいに自在には無理そうだよ」
「まあ頑張ってよ。僕はもっと先に行くけど」
「その前に俺が先に行くから」
「でも魔術そんなに扱えてないじゃん」
「そうなんだけどさ……じゃあさ、浮くのはどうイメージすればいいか―――」
直後、後ろからとても大きな音が聞こえた。
「何だこれ……」
何も無い所から突然穴のようなものが現れた。
この穴、さっき結界外に出る時に見たあの穴に似て―――
「危ないっ!」
後ろを向くと、同じような穴から魔物の顔が突き出ている。
口を開けて俺を喰おうとしたのに気付いたが、もう遅かった。
俺は何もできないまま、魔物に喰われた。




