5話 4年後
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ホイルアの崩壊から4年が経った。
一刻も早く冒険者になるために努力したとはいえ、俺はまだ14歳。
ちょっと早すぎる気がするが、冒険者入団試験を受ける条件は満たした。
けど今はラインさんに頼んである所に付いてきてもらった。
4年前、魔物が来る前にいたあの森。
「ここは…?」
「父さんが冒険者だった時に使っていた剣の1つがある場所です」
「1つ? ……そういえばあいつ、二刀流だったな」
そうだ。
だから、俺も父さんと同じく二刀流にすることにした。
父さんへの憧れや尊敬の気持ちを込めて。
父さん自身が、父さんともう1人しかこの場所を知らないと言っていた。
4年も経ってもあの時と様子は変わっていない。
やはりもう1人は亡くなっているのかな?
「にしても、あいつがこの剣を見せるとはね……こんなもの見せないと思ってた」
「見せられたというかなんというか……あの事件の直前、俺がいつの間にかここにいたんです」
「ん?すまん。意味が分からん」
「それは僕もなんで、気にしなくて良いと思います」
「……?そうか」
「…………………………」
しばらくの沈黙の後、俺はその剣に触れた。
父さん、俺が父さんの遺志を継ぐよ。
いいよね?
………勝手に剣取っちゃうけどいいよ、ね……?
祈るような気持ちで剣を抜いた。
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家に戻ってラインさんから貰った剣を取りに行った。
「二刀流、か。父親の真似か?」
「父さんの真似、というか二刀流の方が俺には合ってるような気がして」
「なるほどね。血筋かなぁ」
色々試したけど、結局これが一番馴染んだ。
実戦で通用するかどうかは分からないけど。
「……墓参り、行かなくていいのか?」
「……すみません。行きたく、ないんです」
「……そうか」
父さんと母さんが死んだのを、未だに受け止め切れていない。
そこに行ったら、それを認めてしまうような気がして中々行けない。
「……じゃあ行ってきます!」
「ああ、行ってらっしゃい!」
俺は冒険者になれるだろうか?
ここ最近ずっとそう思っていた。
俺はまだ14歳。
とはいっても、前世を含めると31歳以上になるおっさんだが。
死んで以降、精神年齢ですら成長した気がしない。
本当に大丈夫だろうか?
……これくらいの緊張感で挑んだ方がいいかもしれない。
よし、行くか!
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「ここ、か。」
たどり着いた。
ここに来るのに何年も掛かった。
いや、歩いた時間は2, 30分程度だが。
冒険者ギルド。
ここで冒険者の管理だったりが行われる。
「えっと、受付は―――」
あった。
えっと、番号は94番だったよな。
……合ってるな。
よし。
「こんにちは!入団試験を受けたいんですけど」
「本日はお越しいただきありがとうございます。番号とお名前をお願いします」
「えっと、94番 クラウス・アレリウスです」
「……はい。確認しました。では、あちらでお待ちください」
ふぅ~緊張する。
「時間になりました。受付を終了させていただきます」
「あっ、時間だ」
しばらく時間が経ち、遂に受付終了のアナウンスが聞こえた。
遂に始まるんだ……
「これからは私、ノージン・オリスがご案内します。ではまず、此方の部屋でこのスーツに着替えてください。ランプが付かなかったら教えて下さい」
渡されたスーツは見るからに特殊スーツだった。
戦闘用スーツということだろうか?
見た目もカッコいい。
「……ってあれ?すみません!ランプが付きません!」
「分かりました。ご両親にホイルア出身の人はいますか?」
「えっと、父が確かそうです」
「でしたら、このスーツは着用しなくて結構です」
「えっ!?なんで!?」
「このスーツは一般人が魔力に耐えるためのものです。ですが、ホイルア出身の人はスーツ無しでも大丈夫どころか、魔力を操作して魔法が使えるんですよ」
何それ初めて聞いた。
あっ、でも確かに父さんはスーツなんて着てなかったな。
カッコよかったのに、残念……
こうして、スーツ関連の話は終わった。
最終的に、スーツを着なかったのは俺含めて2人だけみたいだ。
ちなみに、俺はスーツの代わりに渡された戦闘服みたいなのを着ることになった。
「スーツの着用が終わりましたら、此方の装置を耳に装着してください」
なんだこれは?
見た目は何となくドラゴンボールのスカウターみたいだ。
けど、スカウターみたいに目の所にガラスが無い。
割とシンプルなデザインで、どちらかというと―――
「そこの人、作者がデザインまで考えてないのでそれ以上デザインについて考えるのは禁止します」
「は~い」
「装着したらここにあるボタンを押してください」
指示通りにボタンを押した。
これでいいのかな?
『起動中……』
「うわっ!」
思わず声が出た。
しばらく経ち、文字が表示された。
「サーディア……?これがこの機械の名前ですか?」
「そうです」
液晶とかはないのに空中で画面が映し出されたような感覚があった。
前世よりも技術が発達していて、嬉しいような悲しいような……
「サーディアは主に司令塔との連絡や大型の魔物のコアの特定などができます」
スマホ……というよりスマートゴーグルみたいなイメージでいいのかな?
凄い……
「では、護衛として現Aランク冒険者のロイター・エルドさんが付き添います」
「ロイターです。よろしくお願いします。皆さん、入団試験頑張って下さい!どれだけ仲間が増えるのか、楽しみにしています!」
ああ、遂に始まる。
「それでは、全員此方の部屋に入って下さい」
そうして部屋に案内されたが、そこには何もなかった。
「……?何もなくない?」
「それでは、皆さん頑張ってください!」
そう言った後、オリスさんは扉を閉め、どこかへ行ってしまった。
「何が起こるんだ?」
全員がざわつき始めた。
これからどうなるのだろうか?
直後、大きな振動があった。
数秒経つと振動は落ち着いた。
そして、気づいたら目の前に時空の裂け目みたいな不思議な何かがあった。
「結界外にはこの転送装置を通って外に行きます」
そう言って、ロイターさんは穴の中に入っていき、周りの人もぞろぞろと入っていった。




