Episode 56 Anxiety
「お、この計器古っ!!いつの時代の奴だよ」
「操縦なんて出来るんですか?」
ずっと初見操縦のソアラさんばかり気にしていたが、いざ飛ぶとなるとアストさんの操縦スキルも気になる。
「そういえばやったことないなぁ~。まあ、宇宙船は操縦出来るし、多分大丈夫」
「それはそれで凄いけど大丈夫ですか!?」
「多分大丈夫じゃないかな?じゃあ行くぞ!」
適当過ぎる……
もう嫌になってくる……
「そっちは準備出来たか?」
『心の準備の方はまだ出来てない』
「じゃあ行くぞ!」
『行くの!?ああもうっ!!』
そう言って、ようやく発進した。
発進した直―――
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「おぎゃあ!おぎゃあ!」
「かわいぃ~!この子、名前なんて言うんですか!?」
「まだ決まってないの。予定より早く生まれてきちゃったから。良い名前思い付いたら教えてくれない?」
「いいんですか!?やった!
……あれ?クラウス、もう行っちゃうの?」
「あ、うん。何だかんだでほとんどここに入られなかったけど、久しぶりにまたここに来れて嬉しかったよ」
「……………あっ………。………………凄いね。私だったら、やり返すことなんて、怖くてできないのに」
「やられっぱなしは嫌だから。それだけだよ」
「あ、クラウスくん。ロイドってどこにいるか分かる?ちょっと話したいことがあって」
「あ、ロイドなら今向こうの方にいるはずですよ」
「そっか。ありがと」
「……じゃあ!頑張って!お父さんのためにも………頑張って」
「もちろん!全部終わったら、連絡するよ。帰るのには………ちょっと時間が掛かりそうだけど」
「そんな気がしてた」
「じゃあ行くね。ロイ!………ドはまだアリスさんと話してるか」
………あの時、2人は何を話してたんだろう。
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「――ろ!起きろ!」
「………………?」
「起きたか!?もう着くぞ!?」
「………!」
目が覚め、外の様子を確認した。
今はルクスリアの下腹部付近にいるようで、ここまでだったら軍人らしき人達が沢山いた。
もう都市の方まで攻め込まれていてもおかしくはない。
「ここは………?」
「そろそろ着くって言ったろ?」
「……追手も来てなさそうですね」
「また追手が来たら終わりだね。フレアはもう切れたから次ミサイル来たら死を覚悟するしかないね!」
「えぇ!?」
追手、やっぱり来てたのか。
ってか、そもそもフレアってなに……
「じゃあ最後に一つ聞いていい?」
「? なんです?」
「過去の記憶。本当に何も思い出せないの?」
過去の記憶。
俺が転生する前の転生する前の……
ややこしい。
前世は普通の人間だと思っていた。
けど、その時すでに何度も転生している状態だった。
それ以前の記憶なんて、これっぽっちもない。
「何も……思い出せません」
「……そうか」
この人には申し訳ないが、やはり会った記憶も無い。
顔も声も、口調すらも何も覚えていない。
「……じゃあ突撃するぞ!右のレバーを引くんだぞ?」
「分かってますよ!心配なのはあっちの方なんですけど……」
そう言って、チラリとソアラさん達の方を見たが、飛行が不安定で心配になる。
大丈夫なのか?
「321で行くぞ?3・2・1!!」
1と聞こえた瞬間にレバーを引き、戦闘機から脱出した。
一方戦闘機はそのままルクスリアに突撃し、爆発した。
肋骨が見える程度には傷が出来た。
「こんなに傷つくもんなんですか!?」
「コイツ死んでから何万年経ってると思ってるの!?なにより、中にガス溜まってるだろうよ」
それはそうと、ソアラさん達も上手く脱出出来たみたいだ。
無事でよかった。
「何万年も経ってるから鎧に使われてる金属もかなり古く―――」
「それより!これからどうすればいいんですか?」
「え?ああ、持って来た器具使って穴に飛び込む!名前なんだっけ?」
そう聞いた瞬間、すぐにフックショットを取り出し、引き金を引いた。
ルクスリアの体にぶつかるギリギリまで近づいた時に、
「今だ!左手のアレぶっ放せ!!」
アストさんの言葉を聞いて、すぐさま左腕を突き出し、ビーム砲を発射した。
直線状に発射されたビームは、戦闘機の突撃で空いた穴を広げ、肋骨や肺に穴をあけた。
「じゃあ肺の中に入って!」
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「全員いるね。登る途中で魔力の塊が見つかるはずだから、そこまで頑張ろうか」
「これ……登るのか……」
「ロイド君、私上手くいったんだよね……?」
「あーはいはいそうですね」
アストさんの予想……いや、予測通り無事にたどり着いたけど、問題はここから。
油断してられない。
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「来るならゆっくりね。落ちたらシャレになんないから」
「でも、結構登ったんじゃないですか?」
「まあそうだね。肺は抜けて、あとは気管だけだからね」
……にしても、アストさんは随分と余裕そうだ。
俺はもう疲れてきたというのに、凄い体力だ。
「って、あれって……」
「多分、魔力の塊」
水色に輝く巨大な正八面体が行く手を阻んでいた。
前に見たものより一回りも二回りも大きい。
あまりの大きさ故に、気管にすっぽりと嵌まっていた。
「もしかして、ルクスリアが死んだ理由って、これを喉を詰まらせたせい?」
「かもね」
いくら巨大だとは言え、今いる場所は生物の体内。
些細なことで死ぬこともあるだろう。
けど全長数万メートルもの巨大生物がこんな死に方するのは想像できない。
「ほら触って。ちょんっでいいから」
魔力の塊に手が届く所まで登り、恐る恐る塊に手を伸ばした。
触れた瞬間、あれだけ大きい塊は光の粒子となって消滅した。
「消えた……」
「見えないだけで、今出た光の粒子は全部君の体内に入っていったからね」
「え?それって大丈夫なんですか?」
「分かんない。多分大丈夫だと思うんだけどね」
……やっぱり不安だ、この人。
「あともうひと踏ん張り。ルクスリア口内まで頑張って登ろうか」
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「ハァ……ハァ……登り…切った……」
ここまでで体感5時間。
これから本当の作戦実行だというのに、しばらくは動けそうにない。
「ほらほら。まだ2時間程度しか経ってないんだよ?」
「ええぇぇぇ嘘おおぉぉぉ……」
「ちょっと、休憩しない………?私も………疲れたぁぁ………」
「なんだよ。動けるの俺だけか?」
「俺も行けます」
「おっ、ロイドくん優秀ぅ~」
ロイドの行ける発言が信じられず、思わず様子を見た。
呼吸も荒く、汗もかなりかいている。
やっぱり無理しているみたいで安心した。
「じゃあ休憩がてら、これからのことを今話すか」
「お願いしまぁす……」
「っと、まずここで新情報。ザクトリア市長のデスト・ザヴェスは俺達の仲間でーす!」
「「「はぁ!?」」」
当然、全員が驚いた。
市長がテロリストの仲間と知って驚かない方がおかしい。
「権力は全部アレリウス家の奴等が持ってるから、大した仕事がないとか色々不満があるんだとさ」
「ええと、つまり市長の力を借りて黒幕を倒す、と?」
「そういうこと。さ、5分経ったよ。あとは進みながら話すよ」
「まだ1分48秒しか経ってません」
「細かいなぁほら行くよ?」
「やだ!まだ休みたい!私はまだ疲れてます!」
「ソアラさん、諦めましょう……」
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「それで、そういう状況になった時は―――」
「アストさん、見えてきましたよ?何だか随分と明るい……」
更に進み、開いている口から外の様子が見え出した。
そして、ようやく現在のザクトリアの状況を知った。
「街が……燃えてる?」
「嘘……もう攻め込まれてるの!?」
街の一部は燃え、恐らく敵国の人間が攻め込んでいるのが少しだが見えた。
「予定より随分と早いな。………ライン、お前か?」
小声だったが、確かにアストさんはそう言った。
「こうなったらかなり楽に進めそうだ。作戦変更して、クラウスくんとロイドくん。2人で本丸を叩いてくれ」
「え?なんで……」
「いいからいいから。それはそうと、お菓子食べる?」
「いら……あ、これ……頂きます」
お菓子などが入っている袋を受け取った。




