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オラシオン  作者: とりあえず全国の山田に捧げる
Chapter:Ⅳ Second World
53/61

Episode 51 Escape




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「世界各国から宣戦布告、だってさ。多分もっと大きくなると思う」


「……………………なんでそうなるんですか」


「今まで表面化していなかっただけだ。あれはきっかけでしかない」


「これでようやく、戦争かぁ………厳しいなぁ………」


「なんで、あんな言葉で表面化するんですか!?神話って何ですか!?オラシオンって―――!」


「あなたの方が知ってるんじゃないの?あんなに古典文献読んだのに」


「いえ………俺は………」



戦争が始まる。

俺が選択を間違えたから。



「………ごめん。外行ってくる」



そう言って、どこかへ行ってしまった。



「……………ああっ!!もう!!どうすりゃよかったんだよ!!」



何か出来ることはないのか?

何か―――




---




「えっと、そもそも神話って何だ?」



何をすればいいか。

そんなの、思い付くわけもなかった。

とりあえず古典文献を読んで情報を集めることにした。



「あれ?こっちの本は日本語だ」



この世界の言葉と日本語では、似てはいるが所々違う。

ちゃんと解読は出来ていなかったのだろう。

そんな都合のいいのは、非常に薄い本1冊分しかないみたいだが。



「にしても、なんでこの本だけなんだろう………まあいいか」



その本に書いてある情報は多くは無かった。



「彼の命令通りこの本を残すが、実験体が読むかどうかの確証はない。もし呼んだのならば、この本は燃やしてくれ……って。燃やすわけないじゃないか。俺が実験体の可能性はあるけど………」



実験体とは、単に別世界への転生をした人間のことを指すのだろうか?

彼の命令ってのも良く分からない。

次のページをめくってみる。



「世界には存在してはいけない2つの神器がある。世界を意のままにする可能性を秘めた球体。彼はオラシオンと名付けた。オラシオンさえあれば十分だが、もう1つがあれば世界を別の方向性で根本から変えることが出来る」



オラシオンって確か………どこかの国の言葉で祈りって意味だよな?

世界を意のままにする可能性を秘めた球体、それが祈りとどうつながる?


それに、世界を別の方向性で根本から変えることが出来る、の意味が分からない。

他のページを読めば分かるか?



「………なんだよ。白紙かよ」



分からないことだらけ。

失敗だらけ。

後悔だらけ。


どうすればいい。



「クラウス様、ここにいましたか」


「あ、はい。どうかしました?」


「先程ディクソン様より、アレリウスの男性は一度広間に集まるよう命じられまして」


「分かりました。すぐ行きます」




---




広間に行くと、既に全員いるみたいだ。



「全員来たな。先日の騒動からこのような状況になり、不安だろう。監視という目的も兼ねて、このような映像を見てほしい」



そう言ってスクリーンに映し出されたのは、ルクスリアの腰や足など複数の場所で撮られた映像だった。



「なんですか………これ………」


「原生生物に喰われる人々だ。見ろ。この映像に映し出されているだけでも恐らく1000人はいるだろう。しかし、1秒間に3人は死んでいる」



喰われる者。

踏み潰される者。

高所から落下する者。


様々な死に方を一度に見た。



「万が一登って来れたとしても、門の前で待ち構えている我らに勝てるわけ無いのだ。人がいなくとも、今の時代には機械が自動で殺ってくれる便利なものもある」


「…………………」


「………………あの」


「あ?」


「…………………いえ、なにも」


「素晴らしい!我が国の技術力をもってすれば、いくら強国相手であろうと負けるはずがない!それに、我々は攻めるのではなく、ただ防衛するのみ。余裕の勝利が見えますな!」


「そうだろう!負けるはずが無いのだよ!今回も、戦わずして勝てるのだ!奴らは無駄に人員を投入し、無駄に殺しているだけなのだ!」



「…………………なに、笑ってんだよ」


「………ん?」


「こんなのが!!こんなのが面白いかぁぁあああ!!こんなのがァッ!!」



許せない。

真っ先に感じたのがそれだった。


どうしてこんな奴が生きているのだろう。

どうしてあんな人たちが死ぬんだろう。



「こんなの………!!」



言いかけて、奴の顔を見て無駄だと察した。

ディクソンがどんなことを思ったのか、俺には見当もつかない。



「…………………!!」



それ以上は何かを言うわけでもなく、その場から立ち去った。



「お前がどう思おうと勝手だが、お前はどこにも行けないとことを忘れるな」


「うるさい!!」




---




「敵はアイツだ。アイツさえ何とか出来れば………!」



黒幕ディクソンを倒すことができればいいんだ。

だが、エルドさんですら倒せなかった。

俺に倒せるか?



「アイツを倒すか、もっと酷い状況になる前に逃げるか………」



けどそんなこと俺に―――



「何してんの?」


「………!ロイド……」


「そんな簡単にここから逃げられると思わない方が良いよ」


「……分かってるよ」




「………お前、変わったな。悪い方に」


「……え?」


「前は人を死なせるなとか、そんなことバカみたいに言ってたくせに」


「…………!!…………………」



言い返せなかった。

俺は何を………考えているんだ。


そうだ。

ダメなんだ。

誰かが死んでは………


でも、どうやって?



「すーぐお前はそうやって考える」


「何、なんなの」


「どうすればいいかを考える。最善の策なんてすぐ思い付かないから、手当たり次第やってみたら?」



手当たり次第やってみる、か。



「もう今は人殺しは悪じゃないんだから」


「そんなこと、言うなよ………」


「でも本当だろ?」



俺は5年前まで平和しか知らなかった。

数ヶ月前まで戦争を知らなかった。


俺は、この状況をどうにかしたい。



「ロイド、お前も付いてきてくれるか?」


「なんでだよ。一人で行けよ」


「分かった。…………………ありがとう」


「…………………ん」



大した返事は無かった。


だけど、それでいい。




-----




まず初めにすることは、アストさん達と合流する。

転送装置もあるし、アストさんは何か知っている様子。


会えば何かあるかもしれない。

ただの勘だが、信じてみたい。



「脱出経路も確認したし、行くか」



進む。

平和をまた知りたい。


俺が知っている世界とは全然違う。

それでも、そう思うのはおかしいことでは無いと思う。



「クラウスくん、私達もいい?」


「………!って、アリスさんじゃないですか。他の人達も………」



アリスさんを含む4人が集まっていた。

4人の中には、あの赤ちゃんもいる。


この4人で一緒に逃げたいってことなのか?



「アリスさん、大丈夫、なんですか?」


「ええ、今は平気。それより、いい?」


「………分かりました。付いてきてください」



大丈夫だ。

今なら監視の目は少ないはず。



「この先を超えればいいんだけど………」



「何をしているのかな?」


「…………………!!」



ゼアドラ………!!


コイツは厄介だ。

どうにか逃げないといけないのに!



「行かせんぞぉっ!!」



完全に待ち伏せされていた。

10人以上はいるか?


情報が漏れてたのか。

だとしたら、ロイドが………!



「くっ………!」



即座にサーディアを起動、弾道予測を確認する。

今は後ろに人がいるから避けることは出来ない。

上手く弾を斬っていくしかない。



「早く隠れて!!」



頭を狙われ、タイミングを合わせて斬る。

今度は足を狙われ、再び斬る。


後ろの状況も確認しながら守るのは大変すぎる。

それに、このままじゃ埒が明かない。



「諦めろ!!たった1人で全員を守り切って、且つ!!我々を倒して逃げようなど不可能!!」


「く……そ………!!」



「なら2人はどうかな?」


「………!?」



直後、撃たれる弾の数が減った。

誰かが相手を倒したのだとすぐに分かった。



「誰だ!!」



暗くてよく見えなかった。

だが、声で誰がやったかすぐに理解できた。



「ロイド!!」


「何故!!お前達は仲が悪かったんじゃ………!!」


「情報が古リぃんだよ!!クソジジイ!!」



疑ってごめん………



「ありがとう!!来てくれて!!」


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