Episode 51 Escape
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「世界各国から宣戦布告、だってさ。多分もっと大きくなると思う」
「……………………なんでそうなるんですか」
「今まで表面化していなかっただけだ。あれはきっかけでしかない」
「これでようやく、戦争かぁ………厳しいなぁ………」
「なんで、あんな言葉で表面化するんですか!?神話って何ですか!?オラシオンって―――!」
「あなたの方が知ってるんじゃないの?あんなに古典文献読んだのに」
「いえ………俺は………」
戦争が始まる。
俺が選択を間違えたから。
「………ごめん。外行ってくる」
そう言って、どこかへ行ってしまった。
「……………ああっ!!もう!!どうすりゃよかったんだよ!!」
何か出来ることはないのか?
何か―――
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「えっと、そもそも神話って何だ?」
何をすればいいか。
そんなの、思い付くわけもなかった。
とりあえず古典文献を読んで情報を集めることにした。
「あれ?こっちの本は日本語だ」
この世界の言葉と日本語では、似てはいるが所々違う。
ちゃんと解読は出来ていなかったのだろう。
そんな都合のいいのは、非常に薄い本1冊分しかないみたいだが。
「にしても、なんでこの本だけなんだろう………まあいいか」
その本に書いてある情報は多くは無かった。
「彼の命令通りこの本を残すが、実験体が読むかどうかの確証はない。もし呼んだのならば、この本は燃やしてくれ……って。燃やすわけないじゃないか。俺が実験体の可能性はあるけど………」
実験体とは、単に別世界への転生をした人間のことを指すのだろうか?
彼の命令ってのも良く分からない。
次のページをめくってみる。
「世界には存在してはいけない2つの神器がある。世界を意のままにする可能性を秘めた球体。彼はオラシオンと名付けた。オラシオンさえあれば十分だが、もう1つがあれば世界を別の方向性で根本から変えることが出来る」
オラシオンって確か………どこかの国の言葉で祈りって意味だよな?
世界を意のままにする可能性を秘めた球体、それが祈りとどうつながる?
それに、世界を別の方向性で根本から変えることが出来る、の意味が分からない。
他のページを読めば分かるか?
「………なんだよ。白紙かよ」
分からないことだらけ。
失敗だらけ。
後悔だらけ。
どうすればいい。
「クラウス様、ここにいましたか」
「あ、はい。どうかしました?」
「先程ディクソン様より、アレリウスの男性は一度広間に集まるよう命じられまして」
「分かりました。すぐ行きます」
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広間に行くと、既に全員いるみたいだ。
「全員来たな。先日の騒動からこのような状況になり、不安だろう。監視という目的も兼ねて、このような映像を見てほしい」
そう言ってスクリーンに映し出されたのは、ルクスリアの腰や足など複数の場所で撮られた映像だった。
「なんですか………これ………」
「原生生物に喰われる人々だ。見ろ。この映像に映し出されているだけでも恐らく1000人はいるだろう。しかし、1秒間に3人は死んでいる」
喰われる者。
踏み潰される者。
高所から落下する者。
様々な死に方を一度に見た。
「万が一登って来れたとしても、門の前で待ち構えている我らに勝てるわけ無いのだ。人がいなくとも、今の時代には機械が自動で殺ってくれる便利なものもある」
「…………………」
「………………あの」
「あ?」
「…………………いえ、なにも」
「素晴らしい!我が国の技術力をもってすれば、いくら強国相手であろうと負けるはずがない!それに、我々は攻めるのではなく、ただ防衛するのみ。余裕の勝利が見えますな!」
「そうだろう!負けるはずが無いのだよ!今回も、戦わずして勝てるのだ!奴らは無駄に人員を投入し、無駄に殺しているだけなのだ!」
「…………………なに、笑ってんだよ」
「………ん?」
「こんなのが!!こんなのが面白いかぁぁあああ!!こんなのがァッ!!」
許せない。
真っ先に感じたのがそれだった。
どうしてこんな奴が生きているのだろう。
どうしてあんな人たちが死ぬんだろう。
「こんなの………!!」
言いかけて、奴の顔を見て無駄だと察した。
ディクソンがどんなことを思ったのか、俺には見当もつかない。
「…………………!!」
それ以上は何かを言うわけでもなく、その場から立ち去った。
「お前がどう思おうと勝手だが、お前はどこにも行けないとことを忘れるな」
「うるさい!!」
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「敵はアイツだ。アイツさえ何とか出来れば………!」
黒幕ディクソンを倒すことができればいいんだ。
だが、エルドさんですら倒せなかった。
俺に倒せるか?
「アイツを倒すか、もっと酷い状況になる前に逃げるか………」
けどそんなこと俺に―――
「何してんの?」
「………!ロイド……」
「そんな簡単にここから逃げられると思わない方が良いよ」
「……分かってるよ」
「………お前、変わったな。悪い方に」
「……え?」
「前は人を死なせるなとか、そんなことバカみたいに言ってたくせに」
「…………!!…………………」
言い返せなかった。
俺は何を………考えているんだ。
そうだ。
ダメなんだ。
誰かが死んでは………
でも、どうやって?
「すーぐお前はそうやって考える」
「何、なんなの」
「どうすればいいかを考える。最善の策なんてすぐ思い付かないから、手当たり次第やってみたら?」
手当たり次第やってみる、か。
「もう今は人殺しは悪じゃないんだから」
「そんなこと、言うなよ………」
「でも本当だろ?」
俺は5年前まで平和しか知らなかった。
数ヶ月前まで戦争を知らなかった。
俺は、この状況をどうにかしたい。
「ロイド、お前も付いてきてくれるか?」
「なんでだよ。一人で行けよ」
「分かった。…………………ありがとう」
「…………………ん」
大した返事は無かった。
だけど、それでいい。
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まず初めにすることは、アストさん達と合流する。
転送装置もあるし、アストさんは何か知っている様子。
会えば何かあるかもしれない。
ただの勘だが、信じてみたい。
「脱出経路も確認したし、行くか」
進む。
平和をまた知りたい。
俺が知っている世界とは全然違う。
それでも、そう思うのはおかしいことでは無いと思う。
「クラウスくん、私達もいい?」
「………!って、アリスさんじゃないですか。他の人達も………」
アリスさんを含む4人が集まっていた。
4人の中には、あの赤ちゃんもいる。
この4人で一緒に逃げたいってことなのか?
「アリスさん、大丈夫、なんですか?」
「ええ、今は平気。それより、いい?」
「………分かりました。付いてきてください」
大丈夫だ。
今なら監視の目は少ないはず。
「この先を超えればいいんだけど………」
「何をしているのかな?」
「…………………!!」
ゼアドラ………!!
コイツは厄介だ。
どうにか逃げないといけないのに!
「行かせんぞぉっ!!」
完全に待ち伏せされていた。
10人以上はいるか?
情報が漏れてたのか。
だとしたら、ロイドが………!
「くっ………!」
即座にサーディアを起動、弾道予測を確認する。
今は後ろに人がいるから避けることは出来ない。
上手く弾を斬っていくしかない。
「早く隠れて!!」
頭を狙われ、タイミングを合わせて斬る。
今度は足を狙われ、再び斬る。
後ろの状況も確認しながら守るのは大変すぎる。
それに、このままじゃ埒が明かない。
「諦めろ!!たった1人で全員を守り切って、且つ!!我々を倒して逃げようなど不可能!!」
「く……そ………!!」
「なら2人はどうかな?」
「………!?」
直後、撃たれる弾の数が減った。
誰かが相手を倒したのだとすぐに分かった。
「誰だ!!」
暗くてよく見えなかった。
だが、声で誰がやったかすぐに理解できた。
「ロイド!!」
「何故!!お前達は仲が悪かったんじゃ………!!」
「情報が古リぃんだよ!!クソジジイ!!」
疑ってごめん………
「ありがとう!!来てくれて!!」




