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オラシオン  作者: とりあえず全国の山田に捧げる
Chapter:Ⅳ Second World
52/61

Episode 50 Last Message

「何なんだよこれは………」



立つのが難しい程の揺れと爆音。

近くで何かがあったのが分かる。

この揺れと音、恐らく爆発が起きたのだろう。


だが何故?

そう考える暇もない。



「誰かーッ!!誰かいないのかー!?」


「あああああああーーーっっ!!」


「大丈夫!大丈夫ですから!落ち着いてください!」



アリスさんが苦しそうだ。

こんな顔、今まで見たことが無い。



「クリスさん!エルザさん!誰でもいいから来てくださいッッ!!」


「どうしたどうした!?」


「クリスさん!良かった、アリスさんが!!」


「………おいマジか。今は逃げるぞ!説明は後だ!」


「はい!」



そう言って、クリスさんがアリスさんを抱きかかえ、外へ向かった。


そんな時、ある人を見つけた。



「………!?エルザさん!どこに行くんですか!?」



ここのメイドさんだ。

色々と良くしてくれてる。

そんなエルザさんは、なぜか家の奥に行くのを見つけた。



「今は外に行くの優先でしょう!早く逃げないと!」


「古典文献の解読書を持って来なきゃいけないの!あなたが今まで解読したものよ!あれが無かったら―――」


「そんなの今どうだっていいじゃないですか!!なんでそんなもの!!」


「ディクソン様の命令なんです!逆らったら何されるか………」


「俺がまた解読しますよ!それに、そこまでまだ解読出来てないじゃないですか!」



時間がある時に古典文献の解読をさせられていた。

それが、俺がここにいる条件だった。


けど今はそんなに重要なものでもないだろう。

解読したって、今の所大した情報はないのもある。



「それに、逃げなくてもすぐ収まりますから!」


「なんで!?」


「それは………」


「まさか、アイツがやったことなのか?これは………」


「クリス様!アリス様も!」


「質問に答えてくれ………」


「………はい。例の者達の場所が分かり、10分前に爆破しました。現在、総長と思われる人物を含む4名が近くにやってきて、応戦している最中です」



………今、いるのか?

エルドさん達が、近くに?



「………!」


「あっ!どこへ!?」


「エルザさん、聞かなきゃ分からない?あの子、なぜか人が死ぬのを極度に嫌う。分かってるだろ?」


「…………え、えぇ……じゃあ、あそこに向かって………」


「そうだろうよ。そんなことより、あの子の言う通り、あんな紙取ってくるよりこっちを優先してくれないか?あなたは優先順位を間違える人じゃないはずだ」


「は………はい………」


「大丈夫だ。俺が何とかするから」




---




エルドさん達がいる。

近くにいるはずなんだ。



「エルドさん!アストさん!いますか!?どこにいるんですか!?」



大声で叫んでも、返って来るのは銃声、爆発音。



「どこにいるんだよ………」


「クラウス様!ここにいたんですね!?」



この国の兵士だろうか?

軍服のようなものを来た男性が声を掛けてきた。



「あなたはディクソン様の護衛に当たって下さい。200人もの大群を突破されるとは思いませんが、念の為とのことです」


「…………………分かりました」



見つからない。

一体どこにいるんだ?




---




「…………来たか。クラウス」



ディクソン・アレリウス。

コイツが黒幕。

一番の権力者。


そしてコイツが、この騒動の根源。



「…………………聞いたよ。これ全部あんたがやったことをな。お前が余計なことをしたから………!交渉は上手く行きそうって聞いてたのに!!」


「そんなことか。あんな奴等の言う事など、素直に従うわけないだろう」


「ふざけんな!余計なことして………どれだけ迷惑が掛かると思ってんだよ!!」


「奴等の根城を潰した。そして今、4人を斃せば、もう簡単には行動は出来ないだろう」


「大切な兵器取られたんだろ!?爆発したらどうなるのか分かってんのか!?」


「あそこに無いのは予め調べてある。にしてもまあ、世界中から人を募ったらしいが、ルクスリアにいる原生生物に数を減らされては意味がない。我々には到底―――」



コイツ、ダメだ。

ほとんど話したことが無かったが、こんな奴だったか。

コイツを―――



「まあまあ落ち着いたまえ坊主………」


「…………!お前は、確かゼアドラ、だっけか?」


「覚えているのかぁ~いやぁ~嬉しいなぁ~嬉しいなぁ~」



コイツのせいで散々苦しめられた挙句、半分以上俺のせいではあるが色んな情報を抜き取られた。

今までアレリウス一族に仕える奴かと思っていたが、このディクソンって奴の直属の部下だったか。



「報告!たった今3人を捕獲!」


「そうか。残り1人を捕まえるのも時間の問題か。おうし。公開処刑の準備を!ついでに、見せしめとして全世界に映像をばら撒く!もちろん、生放送でな」



4人中3人。

…………あと1人はエルドさんなのか?



「……………!誰だお前―――ぐわぁっ!!」


「残りの1人です!」


「さっさと捕まえろォッッ!!」



来た………!


俺は人が死ぬのは嫌だ。

悪人は殺すのではなく、しっかりと罪を償わせたい。

そう考えている。


けど、俺はどうするべきか?

止めるべきか?


こんな状況になっても、交渉での平和的解決を望むか?

そんなの成功するのか?



「俺は………」



どうすればいい?



「……………!!いた………っ!!お前が、黒幕かァッッ!!」


「エルドさん!!」



どうするどうするどうする。

どうすればいいどうすればいい。


黒幕を殺すか、最後まで対話を試みるか。



「クラウス!!止めるなァッ!!今止めたら、世界は終わるッッ!!」


「世界が終わるゥ?そりゃあいつかは滅ぶだろうな!!クラウス!コイツを殺せ!!」



俺は…………………


今のエルドさんを信じたい。



「うおおおおおおおお!!!」



一歩。

また一歩。


エルドさんは相手に近づく。

大きな剣を、両手で強く握り締めながら。



「これで………ぇぇぇえええええ!!」



最後の一振り。

世界で一番力の入った一撃を相手に食らわせた、


はずだった。



「…………………!なん、だ、これ……は………」



ディクソンの周りに貼られた結界。

攻撃は、結界によって止められた。



「どうしたよ!捕まえろ!」


「「「は、はっ!!」」」



結界。

俺が知っている、世界を覆うほどの巨大な結界以外、俺は見たことが無い。


あと、ちょっとだったのに。



「さあ!公開処刑だァ!!」




--ミリア視点--




「ミリアちゃん!」


「? どうしました?」


「あなたのお父さん、捕まったって!」


「………………え?」



転送装置を使って下界に降りて1週間。

何の音沙汰も無かったのに、急にどうして。



「これほら。映像流れてるわよ!」


「………………!!お父さん!!」



手足が拘束され、行動の自由がない状態の父親が現れた。



「お父さん、どうして…………!!」


『他の3人は自害しました』


『そうか。分かった。


この者は、我が国ザクトリアの反逆連中の最高者だ!!これから、我々に逆らうとどうなるかを見せつけるためにこの放送を始めた!!』



皆のことを誰よりも考え、世界のことを誰よりも考えていた、お母さん。

その遺志を継いだ、お父さん。


お母さんはもう死んだ。

けど今度はお父さんも………?



『30秒やろう。世界に晒されてる遺言だ。どんなこと喋るか楽しみにしようじゃないか!!』



神様、どうか、お父さんまで奪わないでください。

悪いのは、そこにいる人なのに。



『…………………ミリア、今まで、大変な思いをさせてきた。母さんがいなくなってから、俺なりに努力はしたが、昔みたいに笑うのが少なくなっていった。俺は………良い父親じゃなかった』


「そんなこと…………言わないで…………………」


『今、謝罪したい。これからも、迷惑を掛けると思う。だが希望は捨てないでくれ。どうせ死ぬんだから、死ぬまで生きてくれ』



やめてください……………

お願いします………………



『………………話は終わりか?』


『ディクソン、だったよな』


『………あ?』


『俺は、何としてでもお前の思うようにはさせてはならない。そう思っている』


『………………』


『どんなことをしてでも、どんなことを言ったとして、絶対に止めてみせる』


『あと5秒です』


『…………………ヒヒッ!どうするんだ?』



次が最後の言葉なのだろう。

父親は、大きく息を吸った。

吸って、吸って、吸って。



『神話は全て真実だ!!オラシオンは実在する!!』



最後の言葉だった。

その言葉が、世界に響き渡った。



『…………………!!殺せェェェェエエエエ!!!』



次に画面に映った父親の首はもう、無かった。


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