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オラシオン  作者: とりあえず全国の山田に捧げる
Chapter:Ⅳ Second World
51/61

Episode 49 birth




---




「ぐはっ!」


「やっぱり弱い。本当に親戚なの?ざーこ」


「お前が強いんだよ!クソッ!腹立つ!」



俺は今、アレリウス家の男として剣の特訓をさせられている。

計7人で交代しながら1対1で戦うという実戦方式の特訓方法だ。


ちなみに、今までクソガキ呼びだったコイツの名前は―――



「ロイドには負けてばっかりだよホント………」


「お前いつも負けてるもんな」


「でも1回勝ったから!それに、魔法への対処は出来るようになってきたし、俺自身も魔法を交えた攻撃出来るようになったし」



レイドさんやカイルは規格外の攻撃をぶっ放している印象がある。

一歩ロイドは魔法を有効活用して、自身の機動力を上げたり相手の選択を阻めたりする。

割と頭脳プレイをしているから最初はついていけなかったが、結局は慣れが重要だった。



「へぇ~そりゃ凄い進歩だ。で、俺には?」


「負けてるよ!うるさいなぁもう!」


「世界一の魔法使いが剣を持ったらこういうこと。分かった?」



普通の軍人なら銃やらを使っているが、国を裏で操っている一族が使う武器は前時代的。

どうやら、アレリウス一族の中で最も強い男が権力を握るという伝統らしい。



「いやお前、空飛べたりしないだろ?俺が知ってる最強の魔法使いってのは空を飛んだり流星群みたいなのを振らせたりとか瞬間移動とかができる人」


「………マジ?」


「マジ」



正直、この生活には慣れたが、馴染めそうにはない。

だが、何か動きがあるまで我慢だ。

その後は隙を見て逃げて、アルケニアに帰ろう。


どうやって帰るのか?

帰る方向は?

距離は?

という疑問には答えられそうにない。

………………マジでどうしよう。



「はい!今日は終わり!」


「「「お疲れ様でしたー!!」」」



異様な光景。

これがいつまで続くのだろうか?

あれからもう1週間が経過している。



「お疲れー!はい水どうぞ」


「ありがとうございます」


「どう?あれから1週間位経ったけど」


「おかげさまで慣れてきました」


「それは良かった。また何かあったら教えてね」


「すみません、お腹に赤ちゃんがいるっていうのに………」


「大丈夫!まだ動けるみたいだし!」


「絶対無理しないでくださいね!?自分の体をもっと気遣って!!」


「大丈夫だって!」


「苦しくなったらすぐ言って下さいね、アリスさん」



心配………

一応、行動は無理しない程度に留めているみたいだけど。



「さ、次は俺の番だな。よろしく」


「よろしくお願いします、レクサスさん!」



そうしてすぐに打ち合いが始まる。




---




「ハァ………年下に負けるかぁ………」



俺もこの中では強い部類に入っており、2番目の位置にいる。

1位はアイツだけど。



「そういえばクラウスくん。聞いてもいいかな?国家反逆者になった理由とここに来た理由」


「え?」


「あ、いや、興味本位だから、嫌なら話さなくていい」


「嫌じゃありませんよ。そうですね。反逆者になったのは成り行きで、あなた達と話してみたいという目的のためにここまで同行したって感じです。ここに来たのも同じ理由です」


「え?そんな理由で………?」


「俺だってあの人たちがそんなことするって思わなかったんですよ。俺は無関係な人が死ぬのが嫌だから、知ってたら来なかった」


「そうか………意外だな。人が死ぬのをどうと思わない奴だと思ってた」


「ないです。そんな………こと………」



でも、俺は人を殺した。

後悔もある。

けど、そうしないと無関係な人が死ぬ可能性も捨てきれなかった。


仕方………なかった………



「………俺は、殺されるくらいなら敵を殺す。そういう奴だ」


「……え?」


「人を殺すのが好きなわけではない。無駄な殺しはしたくない。だが、自分が死んだら意味がない。そう思ってる」


「は、はぁ………」


「平和にするのは大変だぞ?まあ、完璧な平和なんて実現できるはずないけどな」


「見せかけの平和でも、何も起こらなければそれでいいですよ」


「そうか。じゃあ1ついいことを教えよう。今度君がいた所と交渉をするようだ」


「交渉、ですか?」


「エルドって名前だったかな?最近、無駄な殺しをしないって考えを改めたみたいだし、内容もいい感じだしでいい方向に向かってるみたいだよ」


「本当ですか!?」



いい方向に向かってる。

やっぱり、俺の選択は間違っていなかった。

良かった………よかった………



「この話、他の奴にも話していいか?まだ疑ってる奴もいるんだよ」


「大丈夫ですよ。俺―――」


「今日はここまで!」


「あ、もう終わりか」


「「「ありがとうございましたー!!」」」



………でもやっぱり、馴染めそうにない。




---




「クラウスくん」


「アリスさん?どうかしました?」


「聞いておきたくて。姉の………君のお母さんのこと」


「はい。俺が分かる事なら何でも」


「ありがとう。じゃあその、ソティス姉さんがいなくなってからのこと、分かる?」


「いや、母さんはあまり昔のことを話すような人じゃなかったので………」


「そ、そう………」



目に見えて落ち込んでいた。

母さんはあまり昔のことを話さなかったし、何より―――



「それに、ある人によると、ここから去る直前に記憶喪失になってたらしくて」


「記憶喪失?去る直前に?」


「はい。その前から父さんと何回か出会ってて、記憶喪失になった時に帰るのを拒否してた様子だったから連れて行ったとか」


「………え?そのある人って、誰?」


「カリアンって人なんですけど………知らないですよね」


「君のお父さん、確かルークって名前だったよね?」


「そうですけど、それが何か?」


「………私も、会ったことはある。といっても、かなり昔だけど」



会ったことがある。

母さんと父さんとカリアンさんの3人だけと思っていたが、勘違いだったか。



「それに、いなくなる日も私達は会っていた」


「………は?」


「私が少しよそ見をした瞬間に、3人とも消えたのよ」



どういうこと?

カリアンさんは嘘をついていたってこと?


………ダメだ。

何一つ分からない。


俺の周りには嘘をつく人、何も教えてくれない人。

そういう人ばかりだ。



「………ごめん。せっかく話聞いたのに、うまく頭が働かないや」


「俺もです。最近、何が何だか分からないことばかりで………」


「「……………ハァ……」」



俺には小さな謎もそうだけど、世界規模で分からないことだらけだ。

確か北原さんは、前世の記憶を完全に思い出せば全部解決する悩みなんだっけ?



「………何?」


「え?どうかし―――」



直後、大きな地震と音が訪れた。



「な、何が!?」


「とりあえず、皆と合流しましょう!」


「アリスさんは体に気を付けて!なんだったらクリスさんを呼びましょう!」


「………………………」


「………?どうしました?」


「ふぅ………ふぅ……………マズイかも」


「え?………まさか」



このタイミングで?



「生まれ、……そうかも………」



状況が状況。

全く喜べない最悪の状況。



「俺が守りますから!無責任で悪いですけど、我慢してください!」


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