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オラシオン  作者: とりあえず全国の山田に捧げる
Chapter:Ⅳ Second World
40/61

Episode 38 Move On

「なんでコイツがこんな所に……!」


「変なこと言ってないでさっさと倒せ!」


「分かってますよ!!」



絶対に油断だけはしちゃダメだ。

前回は決着がつかなかったけど今度こそ……!



「攻撃してもすぐに再生しちまう。これじゃ埒が明かねぇ!」



他の人がサポートに回ってる。

絶対ここで倒すんだ!



「AAAAA!!」


「ここだっ!」



エルドさんが囮になってくれたおかげで攻撃がしやすい。

敵の背中に乗って剣を心臓に向かって突き刺す。

心臓の正確な場所は分からないから、勘で刺すしかないが。



「GAAAAA!!」



この反応……行ける!



「うおおおおお!!」



突き刺した剣を動かして傷口を深くする。

あとちょっとで倒せる!


そんな時、ふと思った。

コイツは言葉を話さない。

そして姿形も魔物に似ている。

確かカイル達が出会ったタイプだと思うが、白色にもいくつか種類があるのだろうか?



「何やってんだ!早く倒せ!」


「どう見たって倒そうとしてる最中でしょう、がっ!!」



突き刺した剣を動かしたおかげで内臓が見えてきた。

見えてる内臓に向かって何回も突き刺した。



「倒れろっ!!」


「AAAA……A……」



その直後、白い魔物は倒れ、破裂した。



「ふぅ……やっと倒しーーー」



倒し終わり、目の前の状況を見た。

さっきまであった街は半壊し、その場の雰囲気で仲間が死んだのが分かった。



「ダメだ。こっちは頭が潰されて、こっちは内蔵出ちまってるな。犠牲者は2人か」


「頭潰されたのがフレアで、こっちがヴェルダです」


「そうか……」



死んだの……?

さっきまで普通に話してた人が、死んだのか?


また、なのか……?




---




「……アイツ、今何やってる?」


「向こうで泣いてます」


「そうか……行ってくる」



……俺のせいだ。

俺がもっと早く倒せてたら。


強くなってると思ってた。

けど結局守れやしない。



「泣いてるのか?」


「エルドさん……俺のミスです。もっと上手く倒せてたら、2人は死ぬことはなかった……」


「あんな敵相手で犠牲になったのは2人だけだ」


「そんなの励ましになってないですよ!ヴェルダさんはこの世界について色々優しく教えてくれた。フレアさんは事あることに気遣ってくれた!なのに……俺は……」


「励ましじゃない。感謝だ。お前がいなければ大勢死んでた。というか、多分全滅だ」


「いや、あなたはあの時すぐ逃げる指示を出そうとしてたじゃないですか」


「多分その方が犠牲者が多くなってた。タラレバの話はいい。ほら、お前はこれ食え」



そう言って渡されたのは、肉が乗った皿だった。



「何でこんな時に肉なんかーーー」


「これは、アイツらの肉だ。これを喰って俺たちの血となり肉となる。アイツらのことは忘れやしない」


人肉。

仲間の、肉。



「そ……そんなの!食べれるわけないじゃないですか!!」


「……俺たちの中では、これを悪しき文化だとは誰も思ってない。だから、喰うなら喰え」


「いや……でも……」



これが彼らの望みだとしたら。

……いや、流石にダメだ。



「俺は……食べれません。人肉が嫌だとかじゃなく」


「……そうか。ならいいが」



俺は仲間を喰うなんて、そんなことできない。

だけど、見ていてください。



「大丈夫?」


「ソアラさん……」



この人もいつも優しく接してくれてる。

仲間は、大切にしなきゃ。

そう思ってはいるけど。



「ソアラさんは、辛くないんですか?」


「辛いよ。これまでも、大勢死んじゃったんだけど、君の言ってる通り乗り越えるのは簡単じゃない」


「…………………………」


「こんなことを言うのはあれだけど、みんな1つの目的のために命を懸けて戦ってる。だから、思ってることはみんな同じだよ」


「……命の使い道、か」


「ん?」


「前に父が言ったんです。母さんが繋いだ命を大切にって。あの時はよく分からなかったけど、今は何となく……まだちゃんとは分かってないですけどね」


「そ、っか」



そうだ。

命の使い道をどうするか。

いつまでも凹んだままじゃダメなんだ。

……そうは分かっていても。



「そろそろ寝ないと。確か、ケテラさんと一緒に寝るんだっけな」


「ケテラか~。アイツすぐに寝るから多少いじわるしても気づかないよ~?」


「一緒に寝たことあるんですか!?」


「えっ?まあ~……え~うん。お姉さんは色々経験済みなのです!」


「あ、そう、ですか……」



なんか、意外だな。

ケテラさんも優しいけど、ソアラさんと合うかと言われると……



「子供に変なこと言うんじゃないの!」


「あ、ケアラじゃん」


「ほら寝るんでしょ?テントあっちだよ」


「あ、ありがとうございます」


「おやすみなさい!」


「あ、おやすみなさい」




---




「起きたか?」


「はい」


「他の奴らも起きたし、出発するか」



結局あまり眠れず、一晩中色々と考えてた。


やっぱり、人の死はそう簡単に乗り越えられない。

ずっと引きずったままは行けないのは分かってる、けど。



「今日で股間から腰に回って一気に肩に行く。腰までたどり着いたらあとは早いが、最後まで気を抜くなよ!」


「「「了解!」」」



予定通り進むなら、今日たどり着くのか。



「クラウスくん。昨日あんまり寝てないようだけど、大丈夫?」


「ケアラさん。わざわざ心配してくれていありがとうございます。ですがほら。大丈夫ですよ。元気いっぱいです!」


「……そうは見えないけどなぁ。何かあったら言ってね?」


「はい。お願いします」




---




「そろそろ昼飯喰おうと思うんだが、喰うのはこの生き物でいいか?」


「喰うんですか!?こんなに小さくて可愛いのに!?」


「そんなの可哀想ですよ!」



さっきから俺達に付いてきてる、この白くて小さな生き物。

群れを作っていて、今は20匹くらいいるだろうか?

それくらいの数が俺達の後ろにいる。



「こんな生き物初めて見ましたね。本当にここには見たこと無い生物ばっかりだ」


「レクサスってホントお前生き物好きだよなー」



初めて見たのに喰おうとしてたのか……

だが、ウサギはおいしいと聞いたことがあるし……



「いや、この調子だとあと3時間くらいで肩に着くはずだ。久しぶりにちゃんとしたもの喰いたいだろ?ザクトリアに着いたらピザでも喰うか!」


「やったー!」


「約束ですからね!」



ザクトリア?

肩にあると言われている場所の名前なのか?



「あの、ザクトリアって?」


「俺達が目指してる場所だよ。結構大きい都市なんだよ?」


「そうなんですね。楽しみです」



予想通りか。



「っと。ここに着いたってことは……」


「腰にたどり着きましたね」



ルクスリアの腰にたどり着いた。

目の前にはらせん状の坂が永遠と続いている。

あとは道に沿って登るだけらしいが……



「最後まで気を抜くなよ!この穴には落ちないようにな!」



らせん状の坂道の中心には巨大な穴がある。

ここに落ちたら死ぬのだろう。

が、そんなにこの穴が深いようには見えない。



(うわああ!!)



突然、目の前の地面が崩れ落ち、何人もの人が穴に落ちていった。



「助けないと!」


(誰か!助けて!)


「届け……!」



あと少しで手が届く……

あと、少し……!



「バカ野郎!何やってるんだお前らはぁぁっっ!!」



その言葉でハッとした。


さっきまで感じていたものは全て幻覚・幻聴。

周りを見ると、同じような行動をとっている人が3人かいた。



「うわぁっ!!何だコイツら!」



地上には何か変な生物が一瞬だけ見えた。

幻覚とかを見せてたのはアイツらか?



「だぁぁっ!!」



エルドさんやアストさんも急遽飛び込み、俺達を助けようとしてくれていた。

俺達のことを捕まえたら上に戻るために、手にはシュワイザーを持っていた。



「お前ら!一ヶ所に集まれ!」



そう言うと、穴に落ちた俺含めた4人は空中で一ヶ所に集まろうと各自動き出す。

が、タイミングなどもあり上手く出来ない。



「届け……!!」



エルドさん達が間に合い、1人、2人とどんどん確保されていく。



「クラウス!手を!」



俺も手を伸ばす。

けど、届かない。


あとちょっとなのに……!



「ぐはぁっっ……!」



あとほんの少し届かなかったようだ。

穴の中にある地面に背中を強打した。

一度これよりも高い場所から落ちて生存したからなのか、どこか慣れてしまった感じがする。



「……どうやって戻ろうか」


「クラウス!早く登って来い!」


「登るにしても場所が―――」



その時、底の近くにあった穴からコウモリのような生き物が一斉に襲ってきた。



「うわっ!何だコイツ!?」


「クソッ!見えねぇ!どこだ!?どこにいる!?」


「俺はここ……邪魔だァッ!」



1体1体倒してもキリがない。

一体どうすれば―――



「ぐぁぁっ!!」



この生物は肉食だったのか、俺の肉を喰おうとしてくる。

致命傷になる場所の攻撃は躱し続けているが、このままじゃ―――



「伏せて!」



その言葉が聞こえた直後、ケアラさんが俺の上に覆い被さった。



「ぐ……がぁっっ……!!」


「ケアラさん!」



そんな……

また死なせてしまうのか?


嫌だ……

もう……嫌だ!



「うおおおああああっっ!!」



直後、俺の手から光り輝く何かが飛び出したかのように見えた。

どうなったのか、何が起こったのかは正確には分からない。

無我夢中だった。


だが今ので、さっきの生物はいなくなった。



「ハァ………ハァ………何、が……………!ケアラさん!大丈夫ですか!?」


「…………………………」



返事がない。

まさかもう……



「どけ!」



エルドさんが降りてきて、ケアラさんの状態を確認する。



「息はある。が、骨が見えてるくらい喰われてるな。あと5分くらいで死ぬな」


「そん……な………」



またダメなのか……

畜生……



「……クラウス。お前、昨日得た技術使って急いで登れるか?」


「………!シュワイザーのですか?行けます!」


「そうだ。急いで登って病院へ連れていけ」


「間に合いますかね?」


「間に合わせるんだ!」


「………!」



絶対間に合わせて見せる。

絶対に死なせない……!


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