Episode 33 Let’s Go!
体全体に魔力を行き渡らせて……放つ!
「SMASH!!」
出来た……!
段々と成功率が上がってきてる……!
「何そのSMASHって……」
「昔読んだ本の内容思い出して、叫びました」
「そうか。もう叫ぶな」
1か月半が経ち、身体強化はかなり形に出来てきた。
制御して、やりすぎて、もっと優しくするイメージでやり直して……の繰り返し。
それでどれくらいの強さのイメージでいいかを何度も試してようやく出来た。
「にしても、ここまで思ったより早かったな」
「剣術を最初から鍛え直してくれたおかげもありますよ。体の使い方を色々教えてくれたおかげで身体強化の効率も上がりましたし」
「大体が独学でやったって聞いた時は驚いたよ。独学であのレベルまで行けるもんか。最近の若い子は凄いねぇ」
「ありがとうございます!」
制御が少しずつ出来るようになり、当初の目標は達成した。
あとは空を飛ぶのが出来れば………
「あれ?エルドさんじゃないですか。どうしました?」
エルドさんが来た。
滅多にこんな所に来ないから珍しく感じた。
「カリアンさん。クラウスくん、どうです?」
「思ったより早く出来たぞ。もっと時間があれば色々出来るんだが……もう時間か?」
「はい。先程アルトが帰ってきて、ここレクシオンと隣国のセディナとの戦争が始まりそうとの情報が……」
「……戦争が始まると国民総動員で戦場に連れてかれるから、早めにルクスリアに行こうってか」
俺まだ15だぞ?
それでも戦闘員に組み込まれるのか。
「まあこの状態が続けば、この国50年持つかどうかだしな。戦争起こるのも当然か」
修行はもう終わり、か。
思ったより早かったな。
「クラウスくん、とりあえず家に帰ろう」
「……分かりました」
予定よりも早い出発になってしまった。
まだ出来ることを増やしきれてないのに……
「クラウス、お前の母親と出会った時のこと、聞くか?」
「それはもちろん!是非お願いします!」
「即答か。……30年前くらいに、ルクスリアの腰付近でルークと修行をしていた」
「まさか、腰辺りで会ったんですか?母さんが、子供1人で危険な場所に?」
「そん時は奴らの拠点は背中、腰に近かったからその点は大丈夫よ」
「それで……?」
「それから数年間ちょくちょく会ってはいた。そんである日ソティスは、記憶を失った状態になってた」
「え?」
記憶喪失……?
そんな素振りあったか……?
「理由は分からん。ただ、その後は家に帰るのに酷く恐れるようになってたから、とりあえずそのまま俺が預かることにした」
「親の了承も得ずに!?」
「親がロクでもないのは聞いてたからな。その後に知ったんだ。あの子がアレリウス家だったこと、アレリウス家がどんな状況なのかとか」
「それ、俺にも教えてくれません?エルドさんに聞いても全然教えてくれないんです」
「……お前、必要とあらば人を殺すことはできるか?」
「え?」
俺は今まで人を助けたいと思ってここまで来た。
たとえ相手が敵だとしても、どうにかして平和な解決法を見つけたい。
そう思っている。
けど、必要に迫られたら、俺はどうするだろうか。
それでも変わらないだろうか。
1人でも殺してしまったら、俺は変わってしまうのだろうか。
「……分かりません」
「そうだよなぁ……やっぱりお前には言えねぇや」
「どうして!?」
「今言わなくても、その内分かる」
「そんな……」
結局教えてくれない。
やっぱり、直接行って確かめるしか。
「そろそろ時間だ。行くぞ」
「……分かりました。さようなら、カリアンさん。またいつか」
「来るのかね、そのいつかは」
「来ますよ、必ず」
絶対来る。
どれだけ後になろうと。
絶対に生きる。
生きて必ず―――
その場から離れ、カリアンさんもどんどん小さくなっていくように見える
「そうだ!最後に1つ!」
「……?」
「あの剣、本当に完全版って書いてあったんだよな?」
北原さんが残した剣のことかな?
確かにあの手紙には完全版って書いてあった。
「はい!確かにそう書いてありました!」
「北原は天才だ!そんなアイツが完全版と言っているんだったら、恐らくあれはただの剣じゃない!剣として以外に何かあるはずだ!」
「……え?」
何でカリアンが北原さんのことを知ってるんだ?
知ってるはずがないのに。
あの人が本名を明かしたのは、俺だけじゃないのか?
カリアンさんと北原さんの関係は一体……
「ちょっと!その話詳しく!」
「バカ野郎!もう時間ねぇっつってんだろうが!」
「ちょっ!放してください!エルドさん!」
「行くぞ!」
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「感染症対策の予防接種とかちゃんと打ってるよな?」
「大丈夫です」
「荷物は?」
「大丈夫です」
「もう、行っちゃうんだね」
「ミリア……」
この1ヵ月半、色々と話した。
色々あった。
「大丈夫、必ず帰って来るから」
「うん!待ってる!」
「それじゃ!」
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「じゃあこれに乗って」
「これ、バギーじゃないですか」
「これの名前そうなのか?」
「知らなかったんですか?」
「国からこれ使えって言われただけだから名前までは知らなかった」
マジか。
名前すら知らない状態で今までよく乗れたな。
「とりあえず乗って。仲間は先で待ってんだから」
「分かりました」
バギーに乗り、ルクスリアの元へ走り出した。




