Episode 31 Power UP!
「あ、クラウスくん!剣あったよ!」
「ほんと!?」
確かに2本ともあった。
一本は見慣れたもの。
もう一つは……何だこれ?
剣のような形をしているが、刃は存在しない。
これ、剣として使えるの?
「確か新しい奴なんだよね?試してみたら?」
「そうするか」
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「よし……それじゃ!」
もう一つに魔力を流す感覚で……
「何これ!?」
剣に描かれていた線に光が循環し始め、本来刃がある部分に光の刃が浮き出てきた。
原理も状況も全く分からない。
「なんじゃこりゃ?」
「いや、分からないです」
恐らく、勝手な推測だが、通常の刃とは違う、この光の刃によって刃毀れがしなかったりなどのメリットがあるのでは?
吸い取られる魔力も前回とさほど変わらない。
「クラウスくん。その2本の剣、どれくらい扱える?」
「それなりには」
「……もっと強くなりたいか?」
「そりゃもちろん!俺は人を助けたい、死なせたくないって思ってこの道を選んだんですから」
「なるほどね……分かった。付いてこい」
「え?あ、はい」
どうしたんだろう。
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「ここは……誰の家ですか?」
「この村の中で1番強い人だよ」
「よせよ。今じゃロクに戦えねェクソジジイだよ。俺なんかよりアストの方が強いぞ」
「カリアンさん!そんは謙遜なさらずに」
出てきたのは、覇気のようなものを感じられる年寄りだった。
見るからに只者では無いのが分かる。
けどなんだろう。
懐かしい感じがする。
どこかで会ったっけ?
「そんで、この子は?」
「アレリウス家の子です。昔行方不明だったソティス・アレリウスの息子のようでして」
「クラウス・アレリウスです。よろしくお願いします」
「ん?ひょっとしてお前、ルークんとこの子供か?」
え?何で分かったんだ?
「はい。そうですが……」
「そうかそうか……大きくなったなぁオイ」
「はぁ……」
「知っているんですか?」
「知ってるってか……お前は覚えてないけどよ、一度会ったことあるんだぜ?赤ん坊の時だけどよ」
「ああ!」
思い出した!
生まれたばかりの時にウチに来てたあのお爺さんか!(1話に出てた奴)
「んん?覚えてたんか?結構記憶力イイじゃねェか」
「え?じゃあこの子がソティス・アレリウスの息子ってのは……」
「ああ、本当さ」
にしても、こんな遠くまでこの人は何をしているんだろう。
「そんで、剣士である父親夢見て自分も剣士になりました、と」
「そうですね。大型の魔物は近接武器しか効果がないからっていうのもありますが、父さんが沢山の魔物を倒してた映像を見て、剣士になるのを選びました」
「銃使えやいいのに。ま、男ってのは剣に憧れるもんだよなぁ」
剣への憧れ。
どうだろう。
それもあったのかな。
忘れてしまったけど、もっと別の何かの理由があった。
そんな気がする。
「ええっと……私には理解できないんですが……」
空気化していたエルドさんが話してきた。
まあ、エルドさんがこの話に付いていけるはずがないか。
「あぁお前は分かんなくていい。こっちの話だからな。そんで、用件はこの子を鍛えてほしい、と」
「はい」
「なるほどねェ……分かったよ」
「……!ありがとうございます!」
「そんで、いつまで?」
「計画の練り直し、戦力増強、ルートの確保なども考えて、2ヶ月か3ヶ月程かと」
「あい、分かった。アストは今どこだ?」
「ルートの確認ですね」
「強者は本当に大変だねェ」
アストって誰のことだろう。
ただ、強い人のは話の流れで分かるが。
「クラウスくんで合ってるよな。とりあえず中入れ。まずは話が聞きたい」
「じゃあ私はこれで」
「りょーかい。後は任せとけ」
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「そんで、今ルークは生きてるのか?」
「生きているはずです」
「そんで、ソティスの方は?」
「……死にました」
「死んだ、ね。……もし上に着いた所で、お前がアレリウスだってどう証明する?」
「それは……」
考えても無かった。
どう証明しよう……
「母親の遺品とか持ってねェの?」
「あ、遺品は無いですけど、写真なら」
前の服にあるポケットの中身は回収している。
ずっと肌身放さず持っていた、家族4人揃った写真。
ホイルアが落ち着いてから家に行って回収したんだっけ。
「写真ねぇ……これで証明できんのか?」
「分からないです。ただ、残ってるのはこれくらいしか……」
「……無いよりはマシ、か」
「すみません……大したもの持ってなくて……」
「いいよそんなん。とりあえず次来る時は持ってるもの全部持って来いよ」
「分かりました」
他にも何か、手掛かりのようなものがあればいいんだが……
「じゃ、とりあえず俺と戦おうか」
「分かりま……ハァ!?」
突然何を言い出すんだ?
「お前のこと強くするってのに、今どれくらいなのか見極めないとな」
そういえばそうだった。
完全に忘れてた。
「でも大丈夫なんですか?随分と……その……」
「大丈夫だ。それなりに年は行ってるが、一発位ならいけるさ」
一発でいいのか?
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「それじゃあ、行きますよ?」
「ああ、この棒が地面に落ちたら開始な」
そう言って見せつけた、一見変哲の無い棒を投げた。
地面に落ちるまでの1秒、その間に集中力を上げる。
コツン。
音が聞こえ、地面に落ちるのを確認してから動いた。
「………どうでしょ―――」
手応えはあった。
相手の行動もしっかりと見えていた。
そう思っていただけだった。
脇辺りの服だけが少し切れていた。
服だけ、身体に傷は無い。
「え?嘘……」
「ァ“ァ”ァ“ちょっっっち腰やったかも」
「えぇ!?大丈夫ですか!?」
「いてて…………ふぅぅぅ。久しぶりだからな、こうするの。まあ基本的なことは大体できてるな」
あの1撃で分かるのか。
この人、一体……
「まあ今後のことは任せとけや」
「あ、はい。よろしくお願いします。……それで、数ヶ月でどれくらい強くなれますかね?」
「任せとけっつったろ?俺はお前ンとこの親父を育てたんだぜ?」
え?この人が、父さんの言ってた人?
この人が、父さんの先生?
「まさか、父さんが先生って呼んでた人は―――」
「ん?ああ、俺のことだ」
本当にそうだった。




