表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/61

1話 全てを託された##

「――――・・・――――」



何だろう。

ぼんやりと何かが見える。



「可――赤―――。――――」



何かが聞こえる。

誰の声だろう。



「本―――――。――――」



段々と見えてきた。

知らない人達、知らない場所。


ここは病院か?

いや、今いる人たちは母さんでも看護師の人でも無さそうだ。

誰だ?



……体が上手く動かない。

確かに死ぬくらいの怪我をしたんだ。

当然っちゃ当然か。



……違う。

だんだん体が動くようになった。

けど、その体にかなりの違和感を感じた。


恐る恐る自分の手を見てみた。



今まで見てきた大きな手ではなく、赤ちゃんのような小さな手だった。



自分の中で1つの考えが出てきた。

それを否定するために、喋っても―――



「あう……ああい……」


「喋―――!」



今まで何もかも違う感覚だ。

あの手この手で確認しても否定したかった考えに近づいてく。



俺は、全く知らない人の赤ちゃんへと生まれ変わった。


絶望に近い感覚を味わった。


知っている人は誰もいない、赤の他人しかいない。

一人取り残された。

ただ、恐怖しか感じなかった。




-------------------------------1ヶ月後------------------------------




1ヶ月経ってようやく自分が生まれ変わったことを受け入れ始めた。


この子の両親には申し訳ないが、俺はすぐにでもこんな場所から逃げ出したかった。

何か不満があるわけではない。

ただ怖かった。


まだ “かあさん” に別れの言葉も言えてないんだ。

絶対に諦めない。



その為にまず確認したのはこの国の言語だ。


けどこの確認は意外とすぐに終わった。

日本語とあまり変わらなかったからだ。

というか、ほとんど日本語と言っても問題は無い。


両親は日本人のような顔つきでもなんでもないはずなのに。

日本に移住した外国人だろうか?

それだったら



次は自分や周りにいる人の名前。

父はルーク・アレリウス。

母はソティス・アレリウス。

俺はクラウス・アレリウス。


親戚はどれだけ待っても1人も来なかった。

父の友人らしき人は何人か来たが。

今も来ている。



「ベロベロ……バァ!!」


「………………」


「その子全然笑わないのよね……お乳も飲もうとしないし、何だか不安だわ」



そりゃそうだろう。

俺は貴方達の子供じゃない。

早くこんな所から逃げ出したいんだ。


しかも、ここはかなりの田舎。

元東京民の俺には満足できない。


早くこんな所から逃げ出したい。




---------------------------------半年後-------------------------------




半年が経った。

ハイハイができるようになり、活動範囲が大幅に広がった。

自分で移動できるようになったのは大きい。



ハイハイで外の様子を見に行った。


やはり田舎。

山で覆われている、というわけではない。

だが、目の前には畑や田んぼがあり、草木が生い茂っている。


周りに山が無い、ドが付くほどの田舎。

この条件に合う都道府県を考える。


田舎、ということもあり、中部か東北地方、中国地方辺りか?

それとも九州や四国?


気温は熱くも寒くもない。

となるとやはり沖縄や北海道ではない可能性がある。



……いや、色々考えても分かるわけない。

地図は無いのか?


……それだけじゃない。

仮に今、俺が死んだ年である2028年じゃなかったら?


何も分からない。

ここから抜け出したい。

だから無知なのは嫌だ。



家の中をくまなく探した。

地図は無いのか?

今の年月日時は?



引き出しの中や棚に置かれているもの、全て探した。



「ちょっと!動き回らないでぇ~!どこ行ったの~!?」



そして何かの本を見つけた。


最初のページにホイルア、と書かれている地図だった。

ホイルアという国は聞いたことが無い。

父か母の故郷だろうか?


更にページをめくると、ホイルアという国の歴史について書かれている本を見つけた。


その中に魔力や魔法についての記述があった。

そんなものが、実在するかのような書かれ方をしていた。



もしこの世界が俺の知らない、新しい世界だとしたら。

思わなかったわけではない。


そんな事実を否定したくてもっともっと、沢山調べた。



けど、歴史も何もかも違っていた。


“かあさん”には二度と会うことはできない。

友達と話す事もできない。

俺が知ってるあの世界を見ることすらできない。


その後のことはあまり覚えてない。

喋る事もできず、ただ泣いただけだったから。




--------------------------------6年後--------------------------------




「起きて!もう時間だよ!」



……眠い。



「……今何時?」


「7時くらい!ほら!」


「……あと5分」


「ダメ!ほら起きなさい!」


「……おはよ」


「おはよう!じゃあ早く着替えてご飯食べちゃって」


「は~い」



生まれ変わって10年が経った。

10年も経てば流石に慣れてきた。


実際の年齢は大体27歳。

本来だったら社会人になってちゃんと働いてる頃だろうか?



前世は漫画とか好きだったから、と色々なものに手を出しみた。

最終的に小説や漫画のようなものにハマった。

まあそれくらいしかやることが無いんだが。


結局俺は前世とあまり変わらない日々を過ごしている。


変わったことと言えば―――



「ほら!エリスも起きなさい!」


「んん……眠いよぉ…」



最近妹が生まれた。

名前はエリス・アレリウス。


前世は一人っ子だったから妹ができたのは嬉しい。

本来だったら結婚してこんな小さな娘を授かってる頃だろうか?

……考えないようにしよう。



というか、女の子って何が好きなんだろ……

エリスは寝て食べてばっかりだし。




「行ってきます!」


「行ってくる~!」


「行ってらっしゃい!頑張って!」




---




「そして2年前に起きた魔物の侵攻を防いだ英雄として3人のホイルア人が表彰されました」「これを機に魔法を使える人種である我々はそれまで差別されてきましたが、次第に認められるようになりました」



言い終わると、チャイムがタイミングを計ったかのように鳴った。



「じゃあ今日はこれで授業終わり」


「ありがとうございました~」



「いや~終わった~」


「クラウス!一緒に帰ろーぜ」


「おっけ、ちょっと待ってて」



学校では色々と話し合える友達もできた。

同じ趣味を持つ仲間がいるのはいいものだ(個人差あり)

実際の年齢差を考えると、友達と言っていいのかは分からないが。



「お待たせ。行こ!」




---




「最後のあれ、3人の英雄なんだよな、お前のお父さん」


「まあ、ね」



父さんは英雄と呼ばれるほどの強い冒険者だった、らしい。

実際それで冒険者への偏見とかが減ったりとか色々変わったらしいけど。



「で、どうよ。自分の父親が教科書に載る気分は」


「良いと思う?俺絶対冒険者なんかにならないのに」


「どうして?冒険者ってなんかカッコよくない?」


「いやだって死にたくないもん。魔物って人食べるバケモンなんでしょ?」


「そんな化け物を倒すのがカッコイイんじゃん。分かってないな~1回自分の父親の映像とか見てみ?」


「もう何度も見たよ……まあ確かにって思う所はあっても、あんな動き出来るわけないじゃん」


「まあ……確かに……」



何度も父が戦っている姿を見た。

周りには銃で戦っている人ばかりなのに、1人だけ剣なんかで戦ってるし。

まあそのおかげで特殊な魔物の撃退方法を見つけ出したらしいけど。



「それでさ~この前





「…………? この前どうしたの?」



返事が無いので不思議に思い、後ろを振り向いた。


動いてなかった、誰も。

他の人も、虫も、植物も。

まるで時が止まったかのような。



「うっ…あっ……」



そして、意識が途切れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ