27話 可能性
入り口と思われる穴に入ると、奥に巨大な扉があった。
「扉開いてないですけど、どうやって入るんですか?」
『あ~ちょっと待って。開くのにもうちょっと時間が掛かりそう』
そう言ったのにも関わらず、8秒程ですぐに開いた。
「早いですねー」
『まあね。これから君たちは、出てくる魔物や白い奴を討伐、人がいたら拘束してくれ』
拘束……紐とか持ってきてないけど大丈夫だろうか?
『じゃあ頑張ってくれよ。僕は他のことをするからあんまり手伝えなさそうだけど』
「だからそういうの先に言って下さいよ!」
ホント自由だなーこの人。
この人本当に俺の将来の姿?
いや、将来の姿っていうのも違うか。
「じゃあ行こっか」
カイルがそう言い、扉の中へ走り出した。
中は思ったより広い場所だった。
ただ、何かがあるような感じではない。
ここは何の部屋―――
「危ない!」
魔物が扉のすぐ横、死角になっている場所から襲い掛かって来た。
「気付いてる!」
横に飛び、回避した。
「さっさと倒そうか」
「いや、ちょっと待って。試したいことがあるんだ」
今はまだ空を飛ぶことが出来なくても、他のことなら出来るかもしれない。
周囲にある魔力を集めて、体全体に溜め込むイメージで―――
「何、それ……大丈夫!?」
「だい、じょうぶ!」
魔力を自分の力に変えるということができるのではないか?
そう思って試してみたが、想像以上に力が湧いてくる。
魔力もエネルギー。
変換効率は100%ではなかったため、体が急速に熱くなり、周囲に電気が走る。
強くなる肉体とは裏腹に、今後制御できるか不安になってくる。
「はあああ!!」
けれども、普段よりも遥かに速く、普段より強く剣を振れた。
勢い余って天井に着地した。
「ハァ……ハァ……痛っ」
身体強化ともいえるこの魔法。
これはその魔法を使った代償だろうか?
それとも単に制御できていないからか?
体全身が痛い。
「残りは倒しといたよ!」
「あ、ありが――ーうおあっ!」
天井に着地したのだから、すぐに落下した。
上手く着地したため、地面には叩きつけられなかった。
にしても、体中が痛い。
やはり制御は厳しかった。
「力の制御は、まだ無理そうだな」
「初めてでそれとは、見事だ」
声がした方向を見ると、この前の連中のリーダー格である木原さんがいた。
「木原さん!」
木原さんか俺か、どちらが敵かは分からない。
今やるべきことはーーー
「俺達、話し合って解決出来ないですかね!?」
「……君にも分かりやすく説明しよう。君は核を未来永劫廃絶することは可能だと思うか?」
「……え?」
核を廃絶する。
俺が知っている単語で言われたから、よく理解できた。
一時的には核廃絶は可能かもしれない。
けど、核を作る技術はある。
未来永劫なんて―――
「分かるだろう?不可能だ。武力を使ってでも不可能なことを、話し合いで出来ると思うか?」
何も、言い返せない。
「それだけじゃないんだ。今この状況は、もっともっと、複雑なんだ……だからお前は、唯一の救いなんだ。頼む。こっち側に来てくれないか……?」
俺にはその状況ってのが全然分かっていない。
「俺には、まだよく分かってない……けど、俺の仲間に手を出せば俺は容赦しない!最後の最後の最後まで諦めちゃダメだ!」
こんな言葉で意見が変わるとは思っていない。
けれども、少しは俺の考えを分かってくれるとありがたい。
「あなた1人が協力してくれればいいんです!あなたが、この世界で1番の権力者ですから!だから!お願いします!」
「そうだ。今この中で一番権力を持ってるのはお前だ、木原」
後ろから声が聞こえる。
振り向こうと思ったが、
「動くな」
振り向かせてくれなかったが、この声は北原さんだ。
「お前……何を……」
「見てわかるだろ?」
北原さんは何をしているんだ?
「分かってるだろ?世界を救えるのは僕だけだ。だから木原、死んでくれ」
「……………………」
「はぁ!?北原さん!?何を言ってるんですか!」
信じられなかった。
聞こえてきた言葉が。
俺は、こんなにも変わってしまうほどのことが今後起こるのか……?
「今だ!一斉に解放しろ!」
木原さんは突然そう叫び、どこかへ去ってしまった。
「僕が追う」
先程まで様子を見ていたカイルが最速で走り出した。
「待て。追わなくていい。まだチャンスはあるさ」
チャンス……
まだ、何とか出来る方法は無いだろうか?
その為にも、一刻も早く詳しい状況を聞きたい。
「……本気で撃つつもりないのバレてたかなー?」
「撃つ!?」
遂に振り向き、北原さんは拳銃を持っていたのを確認した。
「ごめんごめ―――何か来る」
「え?」
木原さんはさっき、解放しろと言っていた。
今、木原さんが何を解放したのかよく分かった。
「魔物がこんな大量に……!」
白い奴ではないとはいえ、魔物は十分脅威だ。
魔物の最も恐ろしい所は、圧倒的な数。
人を喰らう化け物がこんな数がいるんじゃ、もうどうしようも―――
「魔物は俺に任せとけ!」
「父さん!」
魔物を倒すスペシャリストが現れた。
本当にいつも助かる。




