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オラシオン  作者: とりあえず全国の山田に捧げる
3章 ソトノセカイ
24/61

22話 真の敵

--クラウス視点--




「……う…………ううん…………」



目が覚めた。

寝ぼけていて記憶が曖昧だ。

ここはどこだ?


……どこだ?

しばらく時間が経ち、寝ぼけが直った。

確か拉致られてどこかに連れ去られたのは覚えている。

その先は覚えていない。


ただ、真っ暗で何も見えない。



「誰かいるか!?」



声に反応したのか、照明が付いた。

辺りを見渡しても、ただ広い部屋に閉じ込められたという情報しか手に入らない。



『おはよう。気分はどうだい?』



少し上の所にある窓が開き、そこに人が何人もいるのが見えた。

その中でリーダーのような人物が話しかけてきた。



「どこなんだここは!」


『質問には答えない、か』



窓に近づこうと思ったが、足に鎖が付けられて動けない。



「お前ら一体何なんだよ!これから何をするんだよ!」



そう言った後、窓の中に俺をこの場所に連れ去ったノージン・オリスがいた。



「おいお前………!何でこんなことしてるんだよ!」


『……………………』


「ここで何やってるんだよ!こんな意味分かんない所で意味分かんないことをして!」


『それに関しては私が答えよう。彼は元から我々の仲間、いや、同志だ』


「同志?」


『そうだ。お前たちの仲間でも、サポートしてくれる存在でも何でもない』


「何でだよ……」



ショックだった。

関わりがあったが、密接な関係とは言えない。

ただの仕事仲間というイメージではある。

それでも、ショックだった。



「…………言ったよな?お前のお兄ちゃんは死んだって」


『らしいな。もちろん―――』



リーダー格の人物が答えたが、これはお前に言ってるわけじゃない。



「お前の兄は!俺を庇い!人々のために死んでいった!人を護るために死んだんだ!兵器にやられて死体すらも残ってないだろうけど、それでも!あの人は立派だったのに!」


『………………は?おい、ちょっと待て』



向こうで、急に慌ただしくなった。

明らかに様子が変わった。



『本当にお前を庇ったのか?人のために死んだのか?不慮の事故でも何でもなく?』


「そう言ってるだろ!ガイトさんは立派だったんだ!凄い人なんだ!」


『どういうことだ……?……まさか自我が芽生え、裏切った?』


『ここ数日の様子は特に何も変わったことはありませんでした。自我が芽生えた様子はありません。逐一行っていたメンテナンスも全て正常でした』


『裏切ったわけではない。だとしたら………………まさか、偽物?』



自我が芽生えて裏切った?

メンテナンスって?

偽物ってどういうことだ?


聞こえてくる会話を聞き逃さないようにしているが、話している内容が理解不能だ。



『偽物って、そんなわけないじゃないですか。一連の流れの会話も全部盗聴して確認したじゃないですか。あの人はこの世界にいなかった。そうですよね!?』


『波長も、確かに向こうの世界の物でした。間違いはありません』


『ならやはり自我が芽生えた、というのが有力か。自我が芽生えて人を助ける行動に出た―――――いや、待て。だとしたらなぜ尚更人を助けた?この世界の人間の正体を知ってるはずなのに』


『奴等はそれでも生きている人を優先したんじゃないですか?』



この世界の人間の正体?


さっきから一体なんなんだ?



『もう1回、最初から調べ直してくれないか?』


『分かりました』





数分。

その間特に話が無い。

謎の単語や機械音が聞こえて来るだけ。


何を調べているのか、俺には全く分からない。


マイクが切れたので、その後の会話は良く聞こえなかった。



『一応君に確認するが、魔物や魔術についてどれくらい知っている?』



久しぶりに聞いた言葉は、そんなものだった、



「全然知らねぇよ!何も知らない相手を俺達は相手してんだよ!」


『そうか……なら、我々が魔物を作っているのは知らない、か』



ちょっと、待て。

今―――



「おい…………待て…………今、魔物をって、言ったか?」


『言ったな』


「何でそんなこと俺に言ったんだ!?」


『さぁ?どうしてだろうな』



どうしてだか想像ができない。

目的が分からない。


だから聞きたいこと、全部聞いてやる。



「お前らが、魔物を操ってるのか?」


『だったら何だ。お前は黙って―――』


「母さんや友達は魔物に喰われて死んだ!大勢死んだんだ!」



怒りが収まらない。

コイツ、どれだけの人が死んだと思ってるんだ。



「お前らがこんな意味分かんないことしてなかったら……!お前らの、せいで!!!母さんや友達を!返してくれよ!同じ人を殺して何とも思わないのか!?」


『お前が!人間を語るな!』



………はぁ?



『この世界の人々はちゃんと、生きている人間だと理解はできた だがお前だけは!お前なんかが!こんな、呑気に生きてて……!なんで……なんで…………妻と子供を……返してくれよ……」



……何を……言ってるんだ……?



「そっくりそのまま返すぞ。同じ人を殺して!何とも思わないのか!お前は!』



…………これ、俺に言ってるん、だよな?


俺が……何かしたのか?

そんなこと………………


何も覚えていない。

何も知らない。

けれども、その言葉に何も偽りはないと感じてしまった。



「…………………………ごめん、なさい。何も、分かりません」



『木原さん、落ち着いてください』



近くにいた人が話しかけ、その言葉で木原という人は落ち着いた。



『……すまない。取り乱した。とにかく、私は君のことが嫌いだ。死んでほしいとまで思っている。そこは理解して頂きたい』



というか待て。


木原?

日本人じゃないのか?



「ここは日本なのか!? 一体どこなんだ!?」


『答えるはずないだろう』



それはまあ、確かに。



『何者かに侵入されました!』


『奴か!?』


『今調べ…て……これって……』


『奴か!早く殺せ!何としてでも、このガキと接触させるな!』



誰だ?

誰が来たんだ?


これは逃げるチャンスではあるのだが、足の鎖が外せなくて逃げられない。

剣があれば切れるのに……



『……の拘束を解除しろ』



あまりに小声でよく聞き取れなかった。



『解除してどうするんですか!?』


『このガキを殺す!いいな!?それで!』


『そんな……そしたら私たちは何のためにここまで―――』


『全て消滅するはいいだろう!?やるんだ!』



会話の意味が分からない。

けど、逃げなければいけないのが分かる。


剣があればこんな鎖……!


剣さえあれば―――




その時、気を失うかのような、

でもそれとも違うような不思議な感覚を味わった。



『おい、待て!あれは!』



そして突然、目の前に剣が現れた。

父さんから受け継いだ、あの剣が。



『アイツと同じ事をするのか、コイツも……!』



アイツとは誰だろうか。


そんなことを考えながらも、腕の代わりに口で剣を咥えて鎖を斬る。



『マズいですよ!どうします!?』


『拘束の解除はまだか!?』


『あと11秒です!』



逃げるなら、今この瞬間のみ。


深呼吸して……




集中



『こっちに来る!』


『一旦逃げるぞ!』


『了解!』



窓を割り、別の部屋に侵入した。



「く、来る……!」


「止まるな!」



「撃てーッ!!」



待ち構えられていた人たちに一斉に銃弾を喰らった。



「フフフフ……」


「?」


「ハハハハハッ!!いいねェ~こういうのォ~!逆らう奴全員殺すから覚悟しろよォ~?」


「ヒィッ!」


「コイツ!腕も再生しやがった!」


「覚醒……?まさか!早く殺せ!」


「今拘束解除できました!」


「聞こえるか!?今すぐコイツを喰え!」


「誰に言ってるんだァ〜?おいィィ!」



「嫌だっ!来ないで!」



その言葉で、我に返った。



「なんだったんだ?今の……」



頭がおかしくなったのか?

何か、別の……



「今だっ!殺せーッ!」



ふと後ろを見る。


大きく口を開けた白い奴がいた。


1秒もしない間に、俺の首に牙が当たる。



あ、死んだ。









―――1036年4月11日 14時32分56秒 死亡

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