21話 そしてやってくる
--ライン視点--
「クラウスくんが、行方不明……か。どうしたものか」
「ラインさん。たった今情報が入りまして……」
「何だ?」
「セントラルタワー内部を調べた所、操作盤がある部屋には何も影響は無かったようで……」
「影響がなかった?まさしく、奇跡だな」
「いえ、近くには人間の肉らしきものがあったようです。身元は判別できないほど酷い様子でしたが、情報通りでしたら魔物を倒しに戻ったAランク冒険者のロイター・エルドかと」
「次期英雄とまで呼ばれた強者が……惜しい人物を亡くしたな」
確かルークに憧れてたんだっけか?
憧れでSランクに上り詰める実力を得るとは、裏での努力が知れる。
この戦いを生き残ったら間違いなくSランクに昇格だったが、残念だ。
……いや、功績を称えて彼を英雄とするべきか?
「それともう1つ」
「どうした?」
「クラウス・アレリウスのものと思われる腕が見つかりました」
「何!?クラウスくんは今どこに!?」
「それが、腕が落ちていた場所の周辺を探しましたが、見つからず……現在も捜索は続けていますが」
「そう、か。わざわざありがとう」
相変わらず行方不明、か。
確か自分で腕を切断したんだっけ?
「あ、近くにはこの折れた剣が落ちてました。それでは、私はこれで失礼します」
渡された剣は、俺が渡した剣だった。
一瞬、ルークの剣はまだクラウスくんの近くにあることを想像した。
何だか寂しくなる。
……あんな高さから落ちたんだ。
生きているわけがない。
突如、そんな考えが過ぎってしまった。
自分が塞いでいた考えが、出てきてしまった。
「……すまん。ちょっと、トイレに」
……いい子だったのに、なぁ
『トイレに行く前に、ちょっといいか?』
「……? どうか、されました?」
『そっちの世界に行くことになった』
「……え?」
『あと数時間したら着くと思う』
「ちょ…………え?」
『それを伝えに来ただけだから』
ゼウス様が、ここに来る?
『あとそうだ。あの子はこんな事じゃ死なないよ』




