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オラシオン  作者: とりあえず全国の山田に捧げる
2章 アルケニア
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19話 立場逆転

--ライン視点--




「名前、バレてたんですね。やっぱり兄から?」


「あ、レイドくんに聞いたんじゃないよ。あまり私達を舐めるな」


「流石ですね。じゃあもう1つ。なんでベルフェルトへの案内役は僕だったんですか?僕より兄の方が強いと思うんですが。」


「レイドくんはあの場にいた方が対処が早くていいだろ?」


「まあ、確かに」


「さ、着いたぞ」



目の前には禍々しい色をした結界がある。

その先に、ベルフェルトという国があると言われている。


自国独自に結界を貼ることができるほどの技術力の保有国。

世界一の技術力。

今はその力を借りたい。



「行くか」



本来ならこの結界、出ることも入ることも出来ない。

だから、ベルフェルト出身の者の力を借りるしかない。


カイルくんが結界に手を触れ、一時的に穴をあけた。



「入、れた」



結界の中には、文明が広がっていた。

100年後の未来のような光景が広がっていた。



「行くんじゃないんですか?」


「ああ、そうだった。行こうか」




---




「入れ」


「はっ!この度は勝手な入国、大変申し訳ございませんでした」


「外の者が何の用だ。それを言ったら即刻去れ」



聞いていた通りこの国は独裁国家のようだ。

それでいて



「では早速申し上げますと、この国の技術力を貸していただきたいのです」


「ならん。去れ。No.2、お前は来い。まさか発信機がある耳を切断して抜け出すことは想定外だったが、お前はこうして帰って来た。無理やりでも帰って来てもらうぞ」



それを聞いてカイルくんの方を見たが、確かに耳は存在しなかった。



「カイルくんはウチで預からせて頂きます。そして、この国の永続的な技術などを提供して頂きたいと思っています」


「そんな条件―――」


「その代わり―――――」


「……え?ラインさんそれは―――」


「カイルくん、分かってくれ」



この条件によってどんな結果がもたらされるか分からない。

けど、今はそうするしかない。



「…………しかし…………分かった。それが本物である証明は?」


「そこに行けば分かるかと」


「………信じてもいいのか?」


「騙したらどうなるかくらい分かっています」


「……分かった。可能な限りの協力はしよう」



………勝った。




---




「おかえりなさい!交渉、どうでした……?」


「上手くいった!」


「「「うおおおおお!!」」」


「やりましたね!」


「ああ、あとはゼウス様からの連絡だ」



ゼウス様から作戦の内容を聞く。

そして、作戦を成功させる。

それで全てが終わる。



「……ラインさん、ゼウス様からの指示を待つだけでいいんですかね?何か、上手いように乗せられてるだけな気がするんですよ、俺は」


「……信用できないか?」


「ああいえ!そんなつもりじゃ」


「俺は信用できない」


「……え?」



アルケニアは元はといえば宗教国家だった。

文明を作ったとされる実在する神。

しかし、今は不信感が拭えない。



「こっちは圧倒的に情報不足なのに、知っていても何も教えてくれない。これじゃ話し合いもロクにできない。敵は誰なのかすらも分かっていないのだから」


「敵、ですか」


「私は、敵は人間だと考えている。しかし、目的は分からない」


「まあ、確かに」



そんな時、着信音が聞こえた。



『もしもし。聞こえるかい?』


「ええ。はっきりと」


『それは良かった。遅くなってすまない。色々手間取ってね』


「それで、作戦の方は?」


『奴の体内、というか口の中のどこかにコアみたいなものがあるはずだ。それをクラウスくんが軽く叩いたりとかして刺激するだけでいいんだ』


「……では、我々はコアを破壊するように言っておきます」



ここからは賭けだ。

世界の命運を背負ってでも、このチャンスを逃さない。



『は?ちょっと待ってくれ』


「何度でも言いましょう。コアを破壊します。我々は敵を倒したい。二度とこんな恐怖を味わうことのない世界を望んでいます。私たちはそれで何も困りません」


『……………………………』


「我々は人間です。自らの意思で考え、行動することができる。貴方の言いなりになるだけじゃない。もう神の手助け無しでも進んでいける」


『……何が目的だ?』


「情報を下さい。貴方が知っている全てを。お互い、対等な立場として話し合おうじゃないですか」


『対等、ね』



神に喧嘩を売る人物なんて、後にも先にも出て来ないだろうな。

読みが当たっていればこの状況、こちら側がかなりの有利だ。


目的が分からないのは敵だけじゃない、神だってそうだ。



「ああそう。クラウスくんが行った地下をどうするかも我々次第なんですよ?」


『……なぜそれを?』


「クラウスくんが地下に行けば行くほど、通信が上手くいきませんでした。それは、非常に強力な魔力が地下に眠っているからではありませんか?」



クラウスくんに聞くと、嫌な予感がしたと言っていた。


人が強い魔力を受けた時、気持ち悪い、違和感・嫌な予感がすると言っていた。

嫌な予感の正体はこれでは無いかと考えた。


確証はなかったが、この反応は当たりか?



『……君だけには話しても良いかもしれない。だが予言しよう。君は情報を公表したりはしない』


「……今この場にいる者は一度出て行ってもらう。私が良いというまで誰も立ち入れさせるな」


「「「了解」」」



そう言い、話を聞く俺以外は出て行った。



『懐かしいな、この感じ』


「……懐かしいとは?」


『正直に言おう。やっぱりどうしても君達を人間とは思えなかった。全てを話す』



質問は無視か。



『どこから話すべきか……そうだな。僕達の世界における歴史から話していこうか』






『―-----------――』









---




「もう、大丈夫だ」


「それで、聞いた話については?」


「……すまない。しばらくは、言えそうにない」



そうだ。

まだ言えない。


まだハッキリと教えてくれなかった部分はあった。

だが、俺は知った。


白い敵、魔法、この状況になった理由、我々の正体。

そして、クラウスくんについて。




---




「俺は、人を助けるために冒険者になりました。けど、世界を救うなんてそんな、規模が大きすぎて実感が無いです」


「気持ちは分かる。だがそれでもやってくれ」


「もちろんです」


「メンバーはレイド、ルーク、そして君の3人で行ってもらう」


「……頑張ります」


「作戦は、明日0時。あと4時間後に開始する」


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