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オラシオン  作者: とりあえず全国の山田に捧げる
2章 アルケニア
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15話 英雄

--ロイター視点--




「クソッ!いくら何でもキリねぇって!」



任せとけ、と言った割にかなり苦戦している。


理由は単純。

敵の数の多さと圧倒的な再生力。


この新種、今までで1番厄介だ。



「仕方ない。もっと広い場所に移動しないと」


「………いや、それも無理そうだよ。外見て」



そう言われ、外の様子を見てみた。

このセントラルタワーの下には真っ黒な景色が広がっていた。



「え?これ……全部魔物か?」


「そうみたい。そのうち中にも魔物が入ってくるよ。そうなれば、私達袋のネズミね」



この状況は流石にマズイ。

どうやってこの状況を切り抜けようか。



『確認だが、そっちに白色の魔物が襲ってきてはいないか?』


「今来てます!申し訳無いですが連絡どころじゃなかったんです!」


『先程シリンダー回収班から連絡が来て注意勧告のつもりだったが、遅かったか。この白色の魔物は通常の方法では倒すことが出来ない』


「はぁ!?再生力が高いから素早く攻撃して倒すとかじゃなく、倒せないんですか!?」


『そうだ。それに、一番厄介なのは“増殖する”ことだ』


「増殖!?」


『攻撃したら分裂してとかじゃなく、その敵の意思で増殖できるらしい』



なんだそりゃ。

そんなことが出来るのか?

だとしたらかなりマズイぞ。



「それで、その特殊な方法は?倒せるんですよね?」


『方法は2つ。1つは白色の生物の周囲に魔力が無い状態を少なくとも10分以上保つ』


「流石にその方法は無理ですね。もう1つは?」


『伝承に残された神の剣、現在クラウス・アレリウスという少年が所持している。その剣を使って倒すしかない。おまけに、剣の効力を発揮できるのは少年のみらしい』



………無理では?

最初の方法の方が出来る気がしてきた。



「え?じゃあ、どうします?」


『結界を閉じた後、全魔術師が結界内に残った魔力を魔法に変えてセントラルタワー周辺にいる魔物を一掃する。もちろん攻撃は魔法以外も使用する』


「それ、セントラルタワーは大丈夫なんですか?」


『セントラルタワーは特殊な素材を用いている。結界を操作する部屋などの重要な場所は破壊され無いはずだ』


「だったらいいんですが……」



心配だ。

特殊な素材と言っても、何かしらやったら壊れるだろうに。



『それに、今年はレイドさんの次に強い魔術師も出てきた』


「ほう。それは誰ですか?」


『レイドさんの弟だ』


「弟なんていたんですね。しかも、どっちも優秀ってことですか」



もう何か訳分かんねぇ……

俺は魔術なんて出来ないけど、この状態を何とか出来れば問題無い。



『ただ、作戦の決行には結界の回復が必須。ただ、結界の操作すらも困難らしい』


「作戦の成功どころか、作戦を開始できるかどうかも分からないってことですか」



結界の操作さえ行ければいいのだが、大丈夫だろうか?



「魔物が来てるよ!」


「ここまで来たのかよ……もっと上に登ろう。下はもうダメだ」



……いや、分かってる。

外にいる魔物は倒せても、内部にいる魔物は直接倒すしかない。


俺達だけでどうにかしないと、死ぬ。




--クラウス視点--




命令で地下室兵へ行き、そこで前世の俺を殺した自称神と会話し、その後母の仇と会う。


普通に考えたら意味分かんない状況だが、仇を取れるチャンスだ。

何としてでも、コイツを倒す……!



「逝けヤァッ!!」



相手の攻撃手段は今のところ打撃のみ。

回避は出来るが、こんな狭い所でなんかまともに戦えやしない。


何とかして上に行かないと。



「………え?」



一瞬のうちに、目の前の景色が変わった。

今は地上、外のどこかの建物の上にいる。



「やっぱり、ラインさんの勘は正解だったか」


「レイドさん!これって、どういう……」


「転移させた。危なかったね」


「1人でもやれましたよ……」


「それはない。敵の方が早かった」



すぐに否定された。

だが、合っているのかもしれない。



「じゃあ君はここで待機してて」


「分かりました」



そう言って、レイドさんはまたどこかへ行った。

さっきサーディアを介し、色々状況を聞いていたから結界を操作しに行ったのが何となく分かるが。



「……なんだ?地震?」



かなり大きい。

いや、真下?



「逃げるんじャねェ!」


「コイツ、まだ来るの!?」



地面も建物も壊して、さっきの敵が俺の方へ来た。

ここまで来るとは思わず、反応が遅れた。

その影響で、躱すことは出来たが、下にいた魔物の対処が上手く出来なかった。


喰おうと飛び込んできた小型の魔物の口を剣で抑え、回避しようとした。

回避が完全ではなく、右足の腿の部分が一部喰われてしまった。



「アァッッ!!」



血が止まらない。

立てない。

痛い。


それでも立たないと。

まだ敵が、魔物も目の前に沢山いる。



「早く……立たないと……」



立たないと、逃げないといけないのは分かってるのに動けない……

這って動いても意味がない。

相手との距離が近くて、今から逃げても間に合わない。



「クソ……」



血が弾け飛んだ。

地面が赤に染まった。





ただ、その血は俺のじゃない。

倒れた魔物の血。



「あ…………」



まだ、生きてる。

何故か?



「待たせたな」


「父、さん……!」



魔物を倒し、現れた。

英雄と呼ばれる、俺の父親が。


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