14話 お前だけは
--カイル視点--
「………!」
「気付いたか?」
「ああ、いる」
誰しもが気付いた。
近くに魔物がいる。
やはり魔物は中にもいた。
この感じ、1体だけじゃない。
2、3……いや4体か?
「カイルくんは倒さなくていい。俺達がやる」
「分かりました」
「よし、じゃあ3,2,1で行くぞ?3,2,1……!!」
全員が一斉に立ち上がり、銃弾を浴びせた。
はずだった。
「……え?」
「聞いてない?」
「GAAAAAAA!!」
一瞬で違和感に気付いた。
コイツは白色の魔物。
魔物は通常、黒色か灰色をしている。
アルビノの可能性はあるが、他とは違う種の可能性の方が高い。
「それ以上は撃たないで下さい!コイツ多分新種です!恐らく再生するタイプかと」
「新種だって?」
『聞こえるか?22階と23階の間の非常階段の壁の奥に空間がある。そこに向かってくれ!』
「「「了解!!」」」
こんな状況下で連絡が入り、行く場所が分かった。
けどどうやって行こうか。
「カイルくんとセレナさん2人で先に行っててください。後は俺達で」
「了解」
「え?でもロイターさん―――」
「よく言うだろ?ここは任せて先に行けって」
「?」
あんまり分からないが、とりあえず先に行って任務を完了するのが先なのは分かった。
「ちょっと待っててね!15秒もあれば道を開けられるから!」
「お願いします!」
その後は凄かった。
道を開けるため囮になっていたのもあるが、敵が暴れて機械が壊れるのを極力減らすように動いている。
「今!行って!」
何とか出来た隙を突いて、すぐさま指令室から出た。
「後で追い付くさ!安心して先行ってろ!」
ロイターさんもそう言ってる。
大丈夫だ。
先に行こう。
---
「ここ、ですね」
「どいて」
そう言うと、セレナさんは壁に爆弾を設置した。
「これくらい離れればいいか」
そう言った直後、壁が爆破し、どこかに通じる穴が現れた。
「この先ね。行きましょう」
そして穴の中に入るも、すぐに扉が立ち塞がる。
「また扉……予備持ってきて正解だったみたいね」
いや、おかしい。
内部に何か……
そんなことを考えているうちに、セレナさんはまた爆弾を設置しようとしていた。
「待ってください!」
「何?ちょっと君、あんまり邪魔しないでほしいんだけど」
「いえ、ちょっと……中が少し変なんです。もう少し待っててくれますか?」
「んー分かった。確かに慎重に行かないとね」
内部に何があるんだ?
操作盤らしきものは―――
「あっ、操作盤ありました。けど、これって……操作盤、天井に張り付いてます」
「はい?」
「天井にぶら下がっている状態ですね。なんでこんなことに……それに……これ……!すぐに連絡しないと……!」
急いで本部に連絡しなければ。
確かこっちから連絡するのは―――
『どうかしました?』
「国王代理であるライン・フェルターさんに代わってくれ!」
『どうしたんだ?』
「今、操作盤がある部屋の前にいるんですが、何か仕掛けがあるようでして、ミスをすると中にある爆弾が作動する仕組みみたいです」
『何……?どうして分かったんだ?』
「魔力の反射具合で見たり感じたりすることがほんの少しですけど分かるんです。今仕掛けの内容を調べてる最中です」
魔力をこんな使い方するなんて思いもしなかった。
ただ、そのおかげで何とか生き残ってる。
「操作盤は天井にありました。それが関係あるかどうか分かりませんが、念の為。爆弾の名前は……G5?」
そんな映画とかのようなことがあるのか?
最初に確認した時はそう思った。
けど、事実だ。
『ちょっと待て、今G5って言ったか?』
通話していると、第3者の声が聞こえる。
ラインさんの方からではなく、全く別の所。
恐らく今は3人同時で通話している状態だ。
「誰ですかこの人」
『神、ゼウスだ』
「は、はぁ……」
『それで、本当にその爆弾にG5と書かれているんだな?』
「はい。確かにG5って―――」
『……G5は元々、僕らが作り出してしまった兵器だ』
……神々の世界での兵器?
『G5は魔力を利用して作られた兵器だった。実際に使ってみると、全ての生命体に悪影響を及ぼす。威力なんかは核を超える。史上最悪の兵器だ』
史上最悪の、兵器………
『爆弾はもちろんミサイルなんかに使われたら?もしそれが戦争に使われたら?
……だから製法を秘匿したり裏で色々手をまわしているんだが……』
「……まさか!」
魔力を利用した兵器。
だとしたら、魔物にはどうだろうか?
「アルケニア崩壊前、使われた兵器って、これじゃないですか!?」
『…………………………………………』
「ラインさん!」
『あの時、国が滅ぶ覚悟でミサイルを発射し、魔物を倒す。そんな作戦、聞いていなかった。国王がそんなことする人じゃないと思っていたが……まさか……』
『……入手経路は?』
ゼウスと名乗る男はラインさんに質問を続ける。
『知っている者は……軍事の最高責任者であるオーゴット・マルガレーと元国王……のみです』
『二人とも死んだから分からない、と』
『申し訳ございません……』
『分かった。もういい』
神は通話から抜けた。
「空間……じゃなくて転移魔法、でしたっけ?その魔法が使えるレイド・ベルフェドラさんを連れてきて、部屋に入らず直接操作するしか。それまで結界の操作は出来ないかと。」
「そうなるよなぁ……君がその魔法使えたらどれだけ良かったことか……」
--クラウス視点--
『待ってる所悪いね。ちょっと教えとかなきゃいけないことが出来てさ』
「教えとかなきゃいけないこと?」
『君のお母さんを喰い殺した魔物、覚えてる?』
「………!」
……忘れるはずがない。
母さんを喰った、あの白い魔物……!
『覚えてるみたいだね。その白い魔物ってのが特殊でね。君が右手に持ってる剣でしか倒せない』
「え?この剣が?」
『そう。そしてこれは君にしかできない。この世界に送り込んだ理由の一つがそれだ』
この剣だけが、アイツを殺せる。
これがあれば、仇を取れるかもしれない。
『だからこそ、君には絶対に生きてもらわないと困るんだ。頼んだよ』
そこで通話は切れた。
「とは言っても、すぐには母さんの仇なんて取れないだろーけどな」
「ハたシテそうカナ?」
後ろから声が聞こえた。
「誰だっ!」
「オレだよオレオレ。もう忘れチャッタのかァ?」
「いいからさっさと出てこいよ!」
周りを見渡してもどこにもいない。
もう一度前を向くと、大きく口を開けた奴がいた。
体は何とか反応し、咄嗟に避けれた。
「懐かしイナァ~覚えてるかァ~?オレは覚えてるぜェ~?女にガラスの破片ぶち込まれてよォ~?痛かったぜぇ~アレ」
姿が若干違う。
どことなく人のような見た目になっている。
けど間違いない。
コイツは―――
「だァ~から怒って1回噛みついたワケよ。なのにす~ぐ嚙み切れてよォ!そん時覚えてるぜェ~?お前すぐ逃げ出してたよナァ?」
「貴様ァァァァアアアアアアアア!!」
「まァ~だけど命令だからなァ……とりあえず生かしてやるからついて来いヨッ!」
「お前だけはっ……許さない……!!絶対!殺すッ!!」




