11話 使命を背負う人々
作戦開始直後、まずは集められた人の大多数はそれぞれアルケニアの8か所に送られた。
俺は違う任務だから詳しいことは聞いてない。
けど、アルケニア中央のストレイト区から魔物を遠ざけて、できるだけ1か所に誘導してからミサイルとかを使って一気に倒す、としか聞いていない。
「じゃあクラウス、行ってくる」
「行ってらっしゃい……」
心配だ。
父さんは集まった魔物を倒す&大型が出てきたら対処する役割らしい。
片腕しかないから心配だ。
「あ、そうだ。その剣、大事にしろよ?元はと言えばそれ俺のなんだから」
「忘れてた。そういえばこれ父さんのだった」
「おいおい……」
「大丈夫!大切にするから!壊したりしないよ!」
「約束な!」
不安だった気持ちがスッと消える。
父さんなら大丈夫。
そんな気がする。
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『そろそろ、かな?行くよ』
「はい!」
「この作戦において、君たちが最重要なんだ。くれぐれも失敗しないように」
「もちろんです!」
「気を引き締めて行きます!」
『……頑張ります」
「レイドさん、もうちょい何かありません?」
レイドさんは口数が少ない。
……というかただのコミュ障では?
顔はいいのに勿体ない。
「じゃあ行くぞ!」
「「「おおおおおおおおお!!!」」」
外にいたレイドさんによって、アルケニアに通じる穴ができた。
全員一斉にその穴に飛び込んだ。
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「例の兵器のせいで辺りはまっさら。なのにここだけ無傷って、凄く異様ね」
辺りは瓦礫ばかり。
人が住んでいたとは思えない更地と化していた。
それなのに、アルケニア中央にあるこの塔だけは、無傷。
「かなり臭いな……まだ1日しか経ってないのに腐敗臭がすごい」
腐敗臭がするのってこんなに早かったっけ?
ここが異世界だから常識が違うとか?
「血の匂いも混じって気持ち悪くなる匂いだ」
あまりの臭さに鼻を覆いながらも、中央塔に着いた。
ここで、
・魔力を貯める専用のシリンダーの格納庫に行くチームA
・指令室にあるメインコンピュータを外部から操作できるようにする&結界の操作盤がある部屋(場所不明)に行くチームB
・レイドさんと俺での特別任務(内容不明)
のチームに分かれて行動する。
「じゃあカイル!頑張って!」
カイルは結界の操作盤がある部屋に行くチームBらしい。
歴代から見ても魔力の操作にかなり長けているから特別に選ばれたそうだ。
そんな理由ならレイドさんをチームBに入ればよかったのだが、何故俺と?
「じゃあレイドさん!俺達はこれからどこへ?」
「……いや、皆がいなくなるまで待って」
なんでだ?
特別任務の内容が一切聞かされてないから少し恐怖を感じる。
一体何をするつもりなんだ?
--カイル視点--
「僕たちの任務は、指令室に行ってメインコンピュータを外部から接続できるようにしておくんですよね?」
「それもあるが、それが終わったら指示があるまで待機。その後色々調べ終わったら向こうから連絡が来るはずだ。俺はコンピュータとかにはあまり詳しくないのだが、調べたら操作盤の場所が分かるらしい。連絡が来たら結界の操作盤があるであろう場所に向かう」
にしても何故こんな重要そうな任務に僕が入ることになったのか。
まだ冒険者ですらないのに。
……まさか、バレてるのか?
いや、そんなことよりも。
今回の件は謎が多すぎる。
何故王は結界の操作盤の場所を伝えなかったんだ?
最悪アルケニアの国そのものが消える可能性だってあったのに。
こんなことになることくらい分かってるはずなのに、どうして誰にも場所を教えなかった?
本当は聞いていたけど、誰かが隠しているとか?
……分からない。
こんなこと、誰かに相談もできない。
--クラウス視点--
「そろそろ行こう」
「どこへですか?」
レイドさんは目の前にあった像の裏にあるボタンを押した。
「そこ危ないよ」
「うおっと!」
突然、地面から階段が現れた。
階段なんてあるようには見えなかったのに。
アニメとかゲームとかまさか実際にこんなものを見るとは思わなかった。
階段を下っていくと、扉が見えた。
「鍵とかあるんですか?」
「なくても開くらしい」
扉を開けた先は、何もない、けれども広くて暗い部屋だった。
何のための部屋なのか考えたが、思い当たる答えは見つからなかった。
「こんな所で何をするんですか?」
「……こうする」
「え?」
レイドさんは魔術で俺の手や足を凍らせて、身動きが取れないようにした。
その上、俺の首根っこを掴んで床に叩きつけられた。
「痛っ……何するんですか!」
「ごめん。けど、命令だから」
「命令って……これから一体何を!」
『あーあー。聞こえるかい?』
「……! 誰だ!?」
『聞こえてるようだね。これから話すことは、他言無用で頼む』
どこからか声が聞こえてきた。
でもこの声、どこかで聞いたことがあるような気がする。
「誰だって聞いてるんですけど!?」
『僕は……君たちで言う所の、この世界の神“ゼウス”だ』
耳を疑った。
この声の主が、この世界の神?
だとしたら、こっちには聞きたいことが沢山あるんだ。
「お前の正体はなんだ!お前の博物館に宇宙服が飾ってあった!お前は地球人なのか!?ならここはどこなんだよ!教えろよ!」
『……もう一人の君、レイドって名前だっけ?』
「はい、そうですよ。まさかまたその声を聞くとは思いませんでしたけど」
『……やっぱバレるもんなのか。まあいいや、今の日時は?年月も教えて』
「1036年4月8日 8時51分08秒です」
『なるほど……大体合ってるか……で、クラウスくん。前世の記憶はあるかい?』
「……………………ぇ?」
なんでこいつが知ってるんだ?
『あるの?ないの?』
レイドさんがいるのに、そんなこと言っていいのだろうか?
けど……
「…………あるよ」
『ほう?どれくらい覚えてる?いつから前世の記憶を自覚した?』
「いつぐらいって……」
何なんだ、こいつ。
「赤ちゃんの頃の記憶……は無くて、幼稚園とかの記憶はちょびっと。小学校中学校で段々と覚えてる。前世の記憶は……最初から」
『なるほど。やっぱりそうか。前世の記憶は引き継がれてる、と』
「一体何なんだよ!早く要件を言えよ!」
『単刀直入に言おう。君を殺し、この世界に送り込んだのはこの僕だ』




