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オラシオン  作者: とりあえず全国の山田に捧げる
2章 アルケニア
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10話 アルケニア奪還作戦


「お兄ちゃん……あの人……」


「うん……」



助けられなかった。

ガイトさんは俺達のために死んだ。



「あの……」


「あ、はい。って、あなたは確か冒険者ギルドの……最初に案内してくれてた人ですよね?」



「そうです。」


「さっきカイルから聞きました。ガイトさんの、弟さんだと。ガイトさんは……」


「……そうですか」


「すみません。力不足で……」


「いいんです。それに、兄は人を護って死んだ。命を懸けて護ったんです。だからそんなこと考えないで下さい」


「でも―――」


「貴方のお父さんなら、そう考えるみたいですよ」



父さんが?

……俺には、そんなの分からない。



「それはそうとして、志願者含め冒険者と軍人全員集まって欲しいとのことでしたので、呼びに来ました」


「あ、分かりました。すぐ行きます」



一体なんだろうか?

……とにかく行かなきゃ。



「じゃあね、エリス」




---




「今回の件で政治関係者が大勢失った。アルケニア国王も例外ではない。今回臨時で国王の代理を務めることになった、ライン・フェルターだ」



まさかラインさんが代理とはいえ国王になるとは思わなかった。

けど確かに初めて会った時、国王の側近みたいな立場だったのを覚えてる。



「そして、冒険者ギルドマスターの代理として、エレナ・ローゼが就くことになった」


「よろしく。それで、今回君達にはやってもらいたいことがある。アルケニアの奪還だ。1週間以内には必ず行う」



1週間か……



「君達もアルケニアの重要性は理解しているだろう。

現在世界のエネルギー源はほとんどが魔力だ。魔力というのは目には見えないが結界外にそこら中あるエネルギー、補充は専用のシリンダーを使用する。そのシリンダーの管理、そして結界外に行くための転送装置があるのはアルケニアだけだ。


アルケニア無くしては世界はすぐにエネルギー不足に陥る!ここにいる者の命の保証はできない!だが、世界を救うために今一度恐怖と戦ってくれないか!?大切な場所や人を護りたいのなら!どうか戦ってくれ!全て終わって、また笑いあえる日常を取り戻そうじゃないか!」


「「「おおおおおおおおお!!!」」」



アルケニアを奪還しないと魔力が手に入らない。

魔力が手に入らないと世界的なエネルギー不足に陥り大混乱……


あれ?待てよ?



「あの!転送装置なしでは結界の外に行けないんですよね?どうやってやるんですか?」


「現在結界の外には3英雄の1人、レイド・ベルフェドラがいる!彼は転送装置と同じようにエネルギーを用いて時空間を歪ませることができる!それを用いて結界の外に行く!」



確かに俺がアルケニアに来たときもそうだった…

イメージで変換することができ、時空を歪ませる程のエネルギーである魔力。

一体何なんだ?




「では作戦開始時刻が決まり次第連絡する!解散!」



「うっ……うう……」


「頭では分かってるけどよ……こええよ……死にたくねぇよ……」


「家族には不自由なく暮らして欲しい、けど、でも死にたくねぇよ……」


「死ぬ覚悟はできてる……けど、死にに行くのは違うよな……」



ラインさんの話が終わったらそんな声が聞こえてくる。


冒険者というのは結界の外の調査員、そして魔力の補充がメインの仕事だ。

だからこの作戦に冒険者が参加するのは心配もある。

とはいえ、軍隊も動くらしいからまだいいのかもしれない。


今俺達がいるスパリティアという国やその他の国からの軍隊も協力してくれるっぽいけども。

こんな様子じゃ不安だ。



「クラウス・アレリウスだな?君には本作戦に特別任務を課す」



さっきラインさんの隣にいた女性が話しかけてきた。

確か名前はエレナ・ローゼだったか?



「はい、確かに僕がクラウス・アレリウスです。けど特別任務ってなんですか?」


「レイド・ベルフェドラと共に行う任務だ。詳細はまだ言えない。ただ、君は特別だと言っておく」



俺が父さんの息子だから特別に……というわけでは無さそうだ。

でもなんでレイドさんと?

確か人類最強なんだっけ?

本当かどうかは知らないけど。




--ルーク視点--




「まだまだいるとはいえ、この大型の大群の終わりが見えてきた」


『本当か!?それはよかった』


「感謝しろよ~?マジで大変なんだからさ」


『とはいっても、ほとんどレイドくんが頑張ってくれてるおかげだろ?』


「分かってないな~ラインは。確かに世紀の天才魔術師レイドくんが全ての魔物の動きを止めてるとはいえ、大型を倒せるのは俺一人なんだから。おかげで俺血だらけなんだけど。帰ったら風呂入りてぇな~」


『はいはい、準備しとくよ。それでどれくらいで全部倒せそうなのか?』


「この調子だと~7,8時間くらいだな。あと気を付けろ?途中でどっかに行った奴も結構いるから作戦時に大型が一斉に襲ってくる可能性もあり得るぞ」


『分かった。まあとりあえず死ぬなよ?英雄2人も失ったらこの世界本格的に滅ぶぞ?』


「分かった分かった」


『それで、ここからの話だが……レイド以外には誰にも話すな?世界各国の首脳しか知らない情報だからな』


「ほうほうそれで?」


『君の息子、クラウスくんについてだが―――』




--クラウス視点--




翌日、父さんが帰って来た。



「おかえり!」


「ただいま!」


「お父さん……生きてた……生きてた!」


「ただいま、エリス」


「ちょっと、抱きしめる前に風呂に行きなよ。流石に血の匂いがヤバい」


「えぇ~ダメ?」


「ダメっていうか、普通に嫌」


「いいだろうが~。な?エリスもそう思うだろ?」


「ごめん。臭い」


「あっ……くっ……」



そういえばそうだった。

父さんってこんな感じだったな。

こんな感じの会話をするのも4年振りだ。

凄く懐かしい。



「ああそうだ。クラウス」


「何?」


「何があっても、お前は俺の息子だ」




---




数時間後、招集が掛かった。

思ったより早かった。



「作戦を伝える!現在ある対魔力スーツは358着。これを軍の精鋭、及び魔物との戦闘経験のある冒険者が着用してアルケニアの端にあるエルドリエ区に魔物を集める。できるだけ一か所に集められると尚よい!だがこの隊は囮だ!

その間に予め此方が指定した冒険者がアルケニアの中央塔、セントラルタワーにて魔力回収専用のシリンダーと結界の操作盤の確保をしてもらう。

結界さえ貼れば他国の軍と連携して一気に叩ける!それまでの辛抱だ!


1時間後に作戦を行う!それまでに準備をしておけ!」


「「「はっ!」」」



遂に始まるのか。



「クラウス!」


「カイル!今まで見掛けなかったけど、どこにいたの?」


「いや、ちょっとね。僕には特別にセントラルタワーに行くことになって、それで色々来てたんだ」


「カイルも特別任務?まだ冒険者志願者って立場なのに、なんでだろうね……こういうのは精鋭が行くものじゃないの?」


「僕は精鋭とチームで行動することになった。冒険者入団試験をやってたロイターも一緒だって」


「そうなんだ。俺はレイドさんと一緒に行くことになったんだよね。何はともあれ、頑張ろうね!」


「うん。頑張ろう」




-----




「家族や恋人、大切な人を護りたいならば戦え!今この瞬間に世界の命運は託されている!準備はいいな!」


「「「おおおおおおおおお!!!」」」


「作戦!開始!!」


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